2019年3月5日(火)〜8日(金)の4日間、幕張メッセで開催された「FOODEX 2019」。食べ物関連の展示会としてはアジア最大級ということで、開催は今回で44回目。今年も日本を含めた世界各国99カ国から出展があり、3,000を超えるブースが立ち並び、多くの来場者で賑わいを見せました。
FOODEXは、基本的に一般の方向けの展示会ではなく、レストランやホテル、商社や輸入会社、スーパーマーケットや百貨店などを対象としたもので、それゆえにまだ日本未上陸の食品や飲料に出会えるという魅力があります。
|青と白を基調としたフィンランドパビリオン
幕張メッセ全館を使用するため、1つ1つブースを見ていくとあっという間に1日が終わってしまうくらい敷地も広大。目的地を探し当てるためにも一苦労という状況です。そんな中フィンランドパビリオンは青と白を基調とした、とても目立つデザイン!
昨年に引き続き、フィンランドから著名なシェフArto Rastas(アルト ラスタス)さんが来日し、出展社の食品、飲料を使いながら目の前で調理を行い、料理を通して食品を知ってもらう、感じてもらうというデモンストレーションも好評でした。
今回のフィンランドパビリオンでは、「Food from Finland」と題して多くの企業が出展しましたが、その中でもLifTe編集部が注目した3社をご紹介します!
|地球にも優しい、世界初のグルテンフリービール「Kukko」!
まずご紹介したいのは、この「Kukko(クッコ)」というビールを作っている、ライティラン醸造所。クッコはフィンランドのレストランやバーで多く目にすることができる、人気の銘柄です。このライティラン醸造所は、ビールだけではなく、ソフトドリンクや、シードル、フィンランドの国民的アルコールロングドリンク(ロンケロと良く呼ばれます)の生産も行っていますが、今回お披露目されたのは、多くの「グルテンフリービール」!
グルテンフリー関連の食品は日本でも着実に増えていますが、欧米と比べてしまうとまだまだ選択できる種類は限られています。嗜好品のビールにもグルテンフリーの波がここまで来たかと思わせるほどのラインナップ。今回用意されたビール9種類のうち7種類がグルテンフリーマークを取得している商品。IPAからピルスナーまで様々な味わいがあるので、普通のビール好きの方も満足できる出来栄えです。
そしてこの醸造所のもう一つ面白いところは、100%風力と太陽光発電で操業をしているところ。常に新しい試みを続けようとする姿勢が頼もしい限りです。
|食感が楽しいレイパユースト!
次にご紹介するのは、このチーズ。フィンランドでは「チーズパン」もしくは「ラップランドチーズ」という名称で良く知られているものです。なんといっても特徴的なのは「食感」。口に入れて噛むと「キュッキュッ」もしくは「キシキシ」という音がします。初めて食べる方は、ほぼ間違いなくびっくりする食感です。
味わいは製作工程がやや似ていることもあり、モッツァレラチーズに近い味わいで、チーズ特有の癖は、ほとんどありません。
Vaalan Juustola(ヴァーラン ユーストラ)は、フィンランドの中央部「バーラ」で、30年以上このレイパユーストを作っています。Pirkko Suhonen(ピルッコ・スホネン)さんに、オススメの食べ方を聞いてみると、「味わいは、モッツァレラに近いということもあるので、サラダなどとの相性もいいですが、オススメしたいのはデザート。特にベリー系のジャムとの相性は抜群で、コーヒーと一緒に食べた時の味わいは格別よ!」と笑顔で答えてくれました。その日は残念ながらコーヒーはなかったので、ブルーベリーと一緒に頂きましたが、デザートとしてオススメするのが納得。チーズが苦手!という人にも是非トライしてもらいたい逸品でした。
|お父さんが息子のために作った愛情あふれる食品!
最後に紹介するのは、こちらのTwo Dads社が作っているシリアルとジュースとスムージー。会社名からして何か意味合いがありそうなので、代表のTino Singh(ティノ・シン)さんにお話を伺いました。
自分の子供のために立ち上げたブランド
早速名前の由来を尋ねると「僕も含めて、2人の父親で立ち上げたブランドなんだ」と嬉しそうに話すティノさん。元々はマーケティングの分野にいたティノさんは、自分の息子が食べる食品に危惧していたそうです。「フィンランドの子供向け食品は、添加物や糖分がまだまだ多いんだ。そこで引き起こされるのが肥満なんだけど、ヨーロッパでは3人に1人が肥満児というデータさえある。自分の子供が健やかに成長するために、なんとかしなくてはいけないという思いで、僕と一緒の想いを持った友達と作り上げたんだ」。
専門機関という後ろ盾を作る
彼らがまず行ったのが、ヘルシンキ大学や医療機関等の専門機関への協力依頼でした。マーケティング分野にいたティノさんが考えていたのが「説得力」。Two Dadsのwebページを見ると協力者として、錚々たる方々が掲載されています。
気になる味は・・・
彼らが展開している、シリアル、ジュース、スムージーをそれぞれ試食してみました。びっくりしたのはジュースとスムージー。糖分をカットしているにも関わらず、しっかりとした甘みを感じます。添加物を使用していないので、変な後味がなくスッキリと飲める味わい。そしてシリアルに関しては、2種類の味共に、ほんのりと甘みを感じます。
ただ、この感想は大人の感想。子供に受け入れられなければ意味がありません。そこで、僕の息子(7歳)と娘(3歳)にもシリアルを食べてもらったところ、「美味しい」と好評。シリアルに関しては、食べるさいに果物などや、牛乳やヨーグルトを加えるとさらに美味しく食べられます。
ティノさんは、自身のブランドについて最後に語ってくれました。「子供達が健やかに成長するためには、食べ物以外にも、運動や良質な睡眠なども重要な要素です。どこかが欠けても良くない。僕はこのブランドを通じて、そのことを多くの人に知って欲しいと思っているんだ」。
人々の嗜好性が多様になることによって、食の世界も年々豊かになってきています。そしてその一方で伝統的な食品も、きちんと支持する人達がいれば残っていきます。今回のFOODEX 2019のフィンランドパビリオンでは、このことを強く感じました。これからのフィンランドフードの「進化」、そして「深化」が楽しみです。
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