世界経済フォーラムが毎年発表する「世界ジェンダーギャップ指数」で、12年連続1位を獲得しているアイスランド。
つまり社会的進出や、基本的な権利が他の国に比べてしっかり男女平等に保たれているということ(最新のランキングでは日本では120位)。
アイスランドで女性の権利を男性と平等にする動きは、1975年の大規模なデモを契機に意識を含めた改革が加速度的に進み、その結果2010年以降常にジェンダーギャップ指数で1位を獲得し続けています。
その世界で最も男女平等が進んでいる、アイスランドの首都レイキャビクで1942年に創立した男女共学の家政学校に密着したドキュメンタリー映画『〈主婦〉の学校』が10月16日(土)から、シアターイメージフォーラム他全国ロードショーとなります。
みどころをご紹介♪
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ストーリー
1942年に創立された首都レイキャビクの中心部にある男女共学の家政学校「主婦の学校」。
白く美しい建物が優雅な雰囲気を醸し出すこの学校には、現在でもアイスランド全土から、様々な期待を胸にした学生が集まってくる。ここは学位のためではなく、学びたい人が自分のために行く学校だ。
「私は手仕事に興味があるわ」
「将来使える技能を学べるのを楽しみにしてる」
「服に開いた穴を直す方法も習えるかな」
彼らの多くは寮で共同生活を送りながら、一学期3ヶ月の間、あらゆる家事や手仕事を基本から学んでいく。
秋学期は草原でのベリー摘みから始まる。摘んだベリーはジャムやケーキに使われる。学校では、調理や裁縫、編み物、刺繍、洗濯、アイロンがけなど、一つ一つを実践的に教えている。毎日の食事も調理担当の学生がつくる。学生は多くの課題制作や試験もこなしていかなければならない。カリキュラムが半分を過ぎる頃には、学生の家族を招待して、制作した作品の展示や料理をふるまうパーティーが開かれる。
学校は地域に開かれ、学校開放日にはオードブルやケーキのビュッフェ、焼き菓子を販売する。そこで余ったケーキはホームレスの施設に届けに行く。学生は食べ物を無駄にしないことを学び、地域にも育てて貰っているのだ。
性別に関係なく、「いまを生きる」ための知恵と技術を身につけた学生たちが、今日も「主婦の学校」を巣立っていく。
『〈主婦〉の学校』見どころ
アイスランドらしい風景とどこを切っても絵になる学校
作品は、ほとんどの時間が学校内の授業ややり取りで進んでいきますが、時折出てくる風景は、アイスランドでイメージする荒涼たる雰囲気を感じ取ることができます。
また、学校の建物内がとても洗練されながらも温かみがある空間で、まさにどこの空間を切り取っても絵になります。敷地内の庭も緑で溢れ、季節の移ろいを感じます。
美味しそうな料理の数々
学校では、朝、昼、晩の食事は生徒たちが作るルール。夕方のコーヒータイムにはお菓子も生徒が用意します。
その料理やお菓子の数々が本格的!
ハンバーガー、手作りベリージャム、チョコレートベリーケーキ、白身魚のソテー、ブルーベリータルト、バラエティに富んだオープンサンドなどなど。
卒業生が、ここにいるだけで10キロ体重が増えたというのも納得できるほど美味しそうな料理にただただ圧倒されます。
主婦の意味と男女平等の本質
今回メガホンを取ったのは女性監督の"ステファニア・トルス"。学校の名前は創立当時は「主婦の学校」、1970年代に「家政学校」という名称に変更をしていますが、監督はあえて「主婦」という言葉をタイトルに採用しています。その理由をこう語ってくれました。
「映画のタイトルを決める行為は、私に取ってとても難しいことです。今回の作品も当初は全く違うタイトルでした。作品を撮影進めるにつれて、男女問わず受け入れる学校の姿勢、そして学ぶことで様々なことに気づいていく生徒の姿をみてこの「主婦」という言葉をタイトルに入れることが自然と感じたのです。主婦という言葉に私はリスペクトしています」。
また、長年この学校の校長を務める"マルグレート・ドローセア・シグフスドッティル"さんは、この学校の姿勢が男女平等に貢献していると説明してくれました。
「本校の授業は、男性、女性、全く同じ授業を行います。男女平等の機会を与えることが本校では普通なのです。家事においても仕事においても、ジェンダーに関係なく助け合うことが、男女平等の基礎になるのです」。
学ぶことによって育成される豊かな心
本作品は、ある年に入学した生徒たちの入学から卒業までを密着し、生徒たちが、料理、裁縫、テーブルコーディネート、アイロンのかけ方など様々なことを学ぶ様子が描かれます。
「様々な分野を学ぶことで興味が広がり、趣味を見つけられる。興味を持つことで人生が楽しくなる。それがかけがえのないこと」と、卒業生が語るように、ここで学ぶことによって、1人1人の人生が豊かになり、幅が広がっていきます。
また、学校で作られた料理が余った場合は、ホームレスの施設に提供するなど、フードロスを防ぐ取り組みにも積極的です。裁縫を習うことによって、穴が空いた洋服を直して長く使うことも可能です。
つまり、この学校で学ぶことによって、いま盛んに言われるようになった「環境問題」への意識を高めることもできるのです。
このように、通常の勉強ではなく、人生を豊かにしてくれる知恵や技術を与えてくれる「主婦の学校」だからこそ、創立してから80年経った今でも、アイスランド全土からの入学希望が後を絶たないのです。
「〈主婦〉の学校」で学ぶことは、実は当たり前のことだったりもします。ただ、この当たり前のことがおろそかになってしまったり、気づかないのが現代に住む我々。『〈主婦〉の学校』は、その当たり前の事に気付かせてくれる作品です。
人生を豊かにするきっかけを探している方には、特におすすめです♪
『〈主婦〉の学校』予告編
キャスト・スタッフ
【キャスト】
アゥスロイグ・クリスティヤンドッティル(卒業生・1947年在学)
ラグナ・フォスベルグ(卒業生・1967年在学)
ラグナル・キャルタンソン(卒業生・1997年在学)
グズムンドゥル・インギ・グズブランドソン(卒業生・1997年在学)
ヒルマル・グズヨンソン(卒業生・2005年在学)
2016・2017・2018年の在校生
マルグレート・ドローセア・シグフスドッティル(校長)
カトリン・ヨハネスドッティル(教師・刺繍/洋裁担当)
グズルン・シグルゲイルスドッティル(教師・調理担当)
エッダ・グズムンドスドッティル(教師・織物/編物担当)
インギビョルグ・オラフスドッティル(寮母)
【スタッフ】
監督・脚本・編集:ステファニア・トルス
製作・音楽・音響:ヘルギ・スババル・ヘルガソン
音楽:フリス
ダビズ・ソル・ヨンソン(グランドピアノ)
ヘルギ・スババル・ヘルガソン(ドラム)
ヴァルディマル・コルベイン・シグルヨンソン(ダブルバス)
シィグズル・グズムンソン(ボーカル)
録音:フィオズリティ・グズムンドゥル・クリスティン・ヨンソン
サウンドデザイン:スタジオ・フリズランド・フリズオン・ヨンソン
イラスト&グラフィックデザイン:エルサ・ニルセン
アニメーション:ラグナル・フィヤーラル・ラゥルソン
2020 年/アイスランド/アイスランド語/ドキュメンタリー
78 分/カラー/ビスタサイズ/ステレオ/DCP
原題:Húsmæðraskólinn/英題:The School of Housewives
字幕翻訳:高井清子
後援:アイスランド大使館
提供・配給:kinologue
© Mús & Kött 2020
10月16日(土) よりシアター・イメージフォーラムほか全国順次ロードショー
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