2025年1月、冬の澄んだ空気が漂う表参道で、北欧5か国が再び大阪万博に向けたビジョンを語る場が設けられました。
会場となったのは、北欧デザインの粋を集めた「カール・ハンセン&サン東京本店」。この特別な空間で、2025年大阪・関西万博に向けた北欧パビリオンの発表イベントが開催され、多くの関係者やメディアが集いました。
本イベントの主役は、デンマーク、スウェーデン、ノルウェー、フィンランド、アイスランドの北欧5か国が手を取り合い、大阪万博という世界的な舞台で何を伝えるのか。各国の政府代表やプロジェクトリーダーたちが登壇し、そのビジョンと情熱を語りました。
大阪万博の舞台で、北欧はどのような物語を紡ぎ、どのような感動を届けてくれるのか――その全貌に迫ります。
北欧の団結を象徴するパビリオン
イベント冒頭、レナ・アブラハムソン・ルンド氏が北欧5か国が協力する意義を強調しながら、「このプロジェクトに関わるすべての方々に感謝します」と述べました。
続いてヴィクトリア・リー駐日スウェーデン大使が、「大阪万博は北欧と日本の架け橋となる場です」と挨拶。
北欧パビリオンが1970年の大阪万博、2005年の愛知万博に続いて再び結集することの重要性に触れ、「北欧ブランドを強化する絶好の機会です」と述べました。
また、万博の6か月間を通じて生まれるパートナーシップやコラボレーションが未来への財産となることを期待していると語りました。
ステファン・オイクル・ヨハネソン駐日アイスランド大使も、北欧5か国の目標である「2030年までに世界で最も持続可能で統合された地域になる」というビジョンを強調。
「北欧各国がそれぞれの強みを持ちながら協力し合うことで、より大きな成果を達成しています」と述べ、万博が北欧の魅力を世界に発信する絶好の場であると語りました。
北欧パビリオンの最新情報
建設の進捗状況(ダグ・オラブ・コッペルビク氏)
プロジェクトマネージャーであるダグ・オラブ・コッペルビク氏が登壇し、北欧パビリオンの建設状況について次のように報告しました。
「昨年5月に掘削を開始しました。当初はスケジュール通りに進むか懸念がありましたが、現在では予定を上回るペースで進行しています。実際、北欧パビリオンは万博会場全体の中でも、最も順調に進んでいるプロジェクトの一つです」と自信をのぞかせました。
パビリオンの総面積は約1,500平方メートルで、北欧の伝統と革新を融合させた現代的なデザインが特徴です。
また、海辺に位置するため、美しいライトファウンテンや水上ディスプレイを楽しむことができ、訪れる人々を魅了するロケーションとなっています。
パビリオンの魅力(スティーネ・グルマン氏)
デンマーク政府代表のスティーネ・グルマン氏は、パビリオンの魅力と意義について次のように語りました。
「北欧パビリオンでは、北欧各国の個性と協力の力を同時に体験していただけます。ここは、北欧と日本がともに学び、未来を共創する場です。持続可能性と革新を体感し、新たな発見とインスピレーションを得られる場所になると確信しています。」
さらに、パビリオンの目玉として屋上に設置されるレストランについても触れ、「北欧の食文化を体感できる特別な空間です。訪れた方々に、北欧の伝統と革新が融合した忘れられないひとときを提供します」と述べました。
北欧ライフスタイルに基づくパビリオンの展示コンセプトについても語られました。この部分では、「サークル」というテーマが強調され、日本の伝統的な円の文化から着想を得た展示空間が紹介されました。
展示エリアでは、北欧5か国が共有する価値観を体験できるインタラクティブなインスタレーションが設置される予定。
このインスタレーションは、北欧の日常生活や働き方を映し出し、持続可能なデザインや社会的な解決策を提案するものとなるそうです。
また、入り口には環境に配慮したデザインが施されており、訪れる人々に北欧の革新的な取り組みを強く印象付けてくれるはず。
さらに、展示ではモビリティやグリーントランジション、循環型経済といった北欧の先進的な取り組みにも焦点を当てており、来場者はこれらのテーマを通じて北欧が目指す未来像を知ることができるのです。
北欧各国のナショナルデー紹介
続いて、北欧各国の政府代表が、それぞれのナショナルデーについて発表しました。
🇩🇰 デンマーク(スティーネ・グルマン氏)
デンマークのナショナルデーは4月24日に設定されており、現在プログラムを準備中です。
この日は、文化イベントやハイレベルな公式セレモニーが予定されており、デンマークの美しい伝統文化を感じられる内容となる予定です。
夜には特別なショーも計画されています。
🇸🇪 スウェーデン(セシリア・エクホルム氏)
スウェーデンのナショナルデーは5月14日に開催されます。
1970年の大阪万博では5月15日にナショナルデーが行われており、50年ぶりの節目となります。
この日は「コラボレーションとパートナーシップ」をテーマに、ハイレベルなビジネス・デリゲーションを含むプログラムが展開されます。
科学やグリーントランジション、イノベーションに焦点を当てた取り組みが披露される予定です。
🇮🇸 アイスランド(ラグナル・ソルバルダルソン氏)
アイスランドのナショナルデーは5月29日に開催されます。
「世界で最も平和で平等な国からのインスピレーション」をテーマに、ジェンダー平等や女性のエンパワーメントに焦点を当てたイベントが予定されています。
また、アイスランドのミュージシャンによる音楽イベントや、文学と文化を紹介するプログラムも用意されています。
🇳🇴 ノルウェー(フィン・クリスティアン・オーモッド氏)
ノルウェーのナショナルデーは6月2日に開催されます。
エネルギー、宇宙技術、海産物といったノルウェーと日本のコラボレーションに関連する分野をテーマにしたプログラムが展開される予定です。
特に、ノルウェーの高品質なシーフードを味わえるイベントは、日本の来場者にとって特別な体験となるでしょう。
6月2日のノルウェーナショナルデーでは、新鮮なノルウェー産サーモンを中心とした特別な企画が用意されており、訪問者はノルウェーのシーフード文化を堪能できる絶好の機会となります。
🇫🇮 フィンランド(ロッタ・ハンスキ氏)
フィンランドのナショナルデーは6月12日に開催され、「幸福」をテーマにしたプログラムが予定されています。
フィンランドは7年連続で「世界で最も幸福な国」に選ばれており、その秘密を探る内容となります。
音楽やファッションショー、さらにはサウナ体験も計画されており、フィンランド独自のライフスタイルを体験できる1日となるでしょう。
特に注目すべきは、フィンランドの象徴的なキャラクターが登場するイベントです。
クリスマスに関連する「サンタクロース」と、人気キャラクターが来場者を迎え、特別な思い出を作る機会を提供します。
期間中開催されるイベントの紹介
さらに、イベント期間中に開催される特別なプログラムについても発表されました。
サステナビリティとイノベーションをテーマに(ミカエル・カルポニ・ケルク氏)
シニアアドバイザーのミカエル・カルポニ・ケルク氏は、北欧諸国が協力して行うイベントについて次のように述べました。
「北欧パビリオンでは、サステナビリティ、イノベーション、協力をテーマに、数百のイベントが開催されます。これらのイベントでは、北欧地域の最新の政策プロジェクトやレポートを世界に向けて発信する予定です。」
また、エネルギー分野やスタートアップ、持続可能な食文化に関する取り組みが強調され、北欧の価値観である「平等性」がすべてのイベントで根底にあると説明しました。
スタートアップとイノベーション(ニコラス・カルボネン氏)
コミュニティ・ディレクターのニコラス・カルボネン氏は、北欧と日本のスタートアップ企業の交流イベントを紹介しました。
「北欧のイノベーションエコシステムを日本に持ち込み、スタートアップ企業や大学、コワーキングスペースが一堂に会する特別な週間を計画しています」と述べました。
イベントでは、ピッチコンテストやデモ展示が行われるほか、起業家精神やインパクトドリブン投資についての議論が行われる予定です。
また、ゴールデンウィーク最終日の5月6日には、特別なネットワーキングイベントも開催されます。
エネルギーソリューションに関する議論(フィン・クリスティアン・オーモッド氏)
ノルウェー政府代表のフィン・クリスティアン・オーモッド氏は、エネルギーに焦点を当てたイベントを紹介しました。
「再生可能エネルギーやオフショア風力発電、エネルギーの市場取引に関する議論を通じて、北欧と日本の連携を深めたい」と述べ、2日間にわたるプログラムを発表しました。
イベントの初日は大阪のパビリオンで、2日目は東京で開催され、エネルギー分野での連携を促進する予定です。
ライフサイエンス分野の協力(スティーネ・グルマン氏)
デンマーク政府代表のスティーネ・グルマン氏は、ライフサイエンス分野における北欧と日本の協力について次のように語りました。
「高齢化社会やデジタル化による質の高い医療など、世界的な課題に取り組むため、北欧と日本の連携を深めます。」
このイベントでは、公的機関や民間セクターの専門家が参加し、基調講演やパネルディスカッションを通じて知識を共有します。
「3日間にわたるこのイベントが、より良い未来の実現に向けたインパクトをもたらすことを期待しています」と述べました。
レストランとショップの最新情報(ソフィー・シェルストロム氏)
北欧パビリオンのもう一つの目玉は、屋上に設置される北欧フードバーと併設されるショップです。
レストラン・ショップ企画責任者のソフィー・シェルストロム氏は、これらの詳細を次のように説明しました。
「北欧ショップでは、北欧5か国を代表するデザインブランドを取り扱い、小さな雑貨から高級アイテムまで幅広い商品を揃えています。また、屋上の北欧フードバーでは、各国の食文化を味わえるメニューを提供します」。
「北欧フードバーは、持続可能な食材を使用した創造的な料理が特徴です」。
「スウェーデンの有名シェフであるフローラン・ブレデル氏が監修し、日本人パティシエのヴェントゥラ愛氏が北欧5か国のデザートを手掛け、デンマークのヘッドシェフであるエリック・ソレンセン氏が総料理長を務めるメニューが構成されています。ゼロフードウェイストを目指した取り組みも行われ、北欧と日本の食文化が融合した新しい体験を提供する場となる予定です」。
「さらに、北欧パビリオン内のショップとフードバーでは、持続可能性とデザイン性を両立した商品や料理が展開され、訪れる人々に北欧の魅力を多角的に体感してもらえる場となるでしょう」。
ノルウェーからの特別なシーフードプログラム(ヨハン・クアルハイム氏)
ノルウェー大使館水産部水産参事官のヨハン・クアルハイム氏は、万博期間中の特別なシーフードプログラムについて次のように語りました。「ノルウェーは世界第2位のシーフード輸出国であり、日本は私たちにとって非常に重要な市場です。実際、日本国内で消費されているサバの約50%はノルウェー産です。」
さらに、ノルウェー産サーモンが日本で寿司の人気ネタとなるきっかけを作った1985年の出来事についても触れ、「ノルウェーと日本のシーフード関係は、長い歴史と深い絆で結ばれています」と述べました。
北欧パビリオンでは、ノルウェー産シーフードの試食や文化的なイベントが開催される予定です。
「来場者にはノルウェーの新鮮なサーモンやその他のシーフードを体験していただき、北欧の食文化をさらに深く知っていただける機会を提供します」と語り、シーフードを通じた日本との関係強化への期待を表明しました。
この発表イベントを通じて、北欧5か国が大阪万博に向けて築くビジョンがより鮮明になりました。建設の進捗状況や持続可能な未来への取り組み、そして文化の融合。そのすべてが、日本、さらには世界をつなぐ新たな物語となっています。
北欧パビリオンは、単なる展示空間ではありません。訪れる人々に新たなインスピレーションを与え、未来の可能性を示す場となります。
美しいデザインと革新的な取り組み、そして五感で楽しむ北欧の文化。2025年大阪万博では、それらが一つに結集し、特別な体験を生み出します。
ぜひ、大阪万博で北欧パビリオンを訪れ、その壮大なビジョンを体感してみてください。
👉EXPO 2025 大阪・関西万博公式Webサイトはこちら
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