2018年12月にオープンとなったヘルシンキ中央図書館「OODI(オーディー)」。
木材を大胆に使用した流線型のフォルム、そして憩いの場として考えられた館内、機能性は、多くの人々を魅了し、既に200万人以上の来場者がありました。このOODIが、世界で最も優れた公共図書館に選ばれました!
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国際図書関連盟が決める"Public Library of the year"
この賞は"Public Library of the year"というもので、国際図書関連盟が毎年選出しているもの。
新築館もしくは図書館以外の建物を改築した公共図書館を対象に、デジタル開発・地域文化・持続可能性・利用者の要望への対応状況といった基準をもとに選出されたもので、Public Library of the year 2019の1位にこのOODIが選ばれました。
それでは、このOODIがいかに素晴らしい図書館になっているかをご紹介していきましょう!
誰もが息を飲む インパクトがある外観
まずは外観から。この流線型を帯びた外観には木材が大量に使用されており、大きな存在感があります。
OODIは巨大な建築物なので、遠くからも目立ちますし、待ち合わせ場所としても人気になっているそうです。
|OODIは3フロア構成
気になる建物内部ですが、OODIは3フロア構成となっています。
それぞれフロアに特徴があり、1Fはカフェ、映画館、展示場やイベントホールなどがあり、2Fは仕事や学びのためのフロアとして、ワークショップができる会議室やさまざまなスタジオ、個室、設備の揃った工房などがあります。
3Fは本の楽園をイメージしたフロアとなっています。
OODI 1F
正面入り口を入って左側にあるのがカフェ。大きな窓ガラスから入る自然光で落ち着ける環境。
カフェに限らず建物全体が曲線を帯びているので、どこを切り取っても映える空間になっているところはさすがです。
カフェは、サンドイッチやちょっとしたスイーツなどもあり、小腹を満たすには充分。1Fは他にも、映画館や展示用のイベントホールも用意されています。
OODI 2F
2Fは仕事や学びのためのフロアとして用意されています。
エスカレーターもしくはエレベーターで2Fに辿り着いた時にまず目に入るのは、外観とは対称的な直線を感じる休憩スペース。
訪れた人々が思い思いに本を広げたり、学生が勉強していたりしています。
考えられているのは、かなりの量のコンセントが設置されているところ。これはOODIに限った話ではないですが、フィンランドでは新しい施設だとコンセントは結構な頻度で用意されている印象があります。
学びのフロアということで用意されているのが「3Dプリンター」。
最新の3Dプリンターがいくつも用意されていて、誰でも利用が可能です。
図書館=本という今までの図式ではなく、新しいテクノロジーも体験し習得できる場という、図書館の新しい概念を作り出そうという気概が感じられます。
面白いのが、3Dプリンターの近くに設置された「ミシン」。
もちろんこれも使用可能で、訪れた時には、何やら女の子が作業中。
そしてびっくりしたのが「ゲームルーム」。
アメリカやヨーロッパではゲームは「Eスポーツ」という分野にもなっていて、大きな大会も頻繁に行われています。この日も多くの子供達が真剣に画面に向かう姿が・・
OODI 3F
最上階は、10万冊の所蔵を誇るまさに「本の楽園」。
書籍、雑誌、新聞はもちろん、ボードゲームなども豊富に用意されています。
子供達が遊べるオープンなキッズスペースもあり、子供達が楽しそうに遊んでいるのを優しく見守る大人達の姿もありました。
そして、3Fにもカフェがあります。フィンランドの人々はコーヒーが大好き。多くの人がコーヒーを飲みながら談笑したり、本を読んだりしています。
3Fで目を引いたのが、やはりこの大胆に作られた寛ぎスペース。
端に向かって上がっていくような傾斜で作られたスペースは、見ているだけでため息が出るほど美しい設え。
もちろん多くの方がここで本を広げたり、調べ物をしたりそれぞれの時間を過ごしています。
OODIは多くの写真スポットがありますが、このスペースも人気があるスポット。
特に傾斜の頂上付近がOODIの端に当たる部分なので、ガラスに囲まれるような感じなります。
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|OODI 他の見どころ
という感じで、OODIには見どころがたくさんあるのですが、他にもまだまだあります。
3Fのカーペットはフィンランド若手デザイナーによるもの
3Fにはところどころカーペットが敷かれているのですが、これはフィンランド若手デザイナーが今回のOODI開館に合わせて作り上げたものです。
フィンランドの偉大な作家や詩人がテーマとなり、そこからイマジネーションを膨らませて7人の若手デザイナーが手がけています。
それぞれ特色があるので、全部見つけてみるのも面白いかも。
LifTe編集部で特にオススメだったデザインがこの2つ。
Pentti Sarikoski by マッティ・ピックヤムサ
強烈な赤が印象に残るカーペットデザインを手がけたのは、日本でも人気があるイラストレーター"マッティ・ピックヤムサ"によるもの。彼が描いたのは"ペンティ・サーリコスキ"というフィンランドの著名な詩人です。
Minna Cant by ピーア・ケト
蛇が描かれたカーペットデザインを手がけたのは、アラビアにもデザイン提供をしている"ピーア・ケト"。
題材となったのは、フィンランドにおける女性の権利を底上げしたとして知られている、女流作家の「ミンナ・カント」。
彼女が生き抜いて来た苦しいイメージを、ちょっと悪いイメージがある蛇になぞらえています。
ミンナ・カントは、「手工芸は女性と共にあった」という言葉を残しているので、当時の織りの技術を取り入れた大作です。
男女共用のトイレ
OODIらしい設備は、地下1Fにもあります。
地下1Fに設置されているのは、最近フィンランドの公共施設に多くなっている"ジェンダーフリートイレ"。
つまり男女兼用のトイレです。全て個室になっていて、日本人だと入ってちょっとびっくりしてしまうかもしれません。
共用になっている手洗い場は、子供も利用できるように、低めの台も設置されています。
|螺旋階段に書かれた無数の言葉
最後にご紹介したいのは、ODDIの建物、ほぼ中央に設置されている螺旋階段。
ここも見どころの1つです。上から見ても下から見ても絵になる階段なのですが、注目したいのは書かれている言葉。「お酒が好きな人」「内向的な人」「怠惰な人」「希望を見出したいたい人」「やけになっている人」1つ1つを見ているとこのような言葉が書かれています。
これは、ODDIのコンセプトの1つでもある「全ての人のため」から来ています。
このコンセプトをこうした言葉で表現していく手法は脱帽ものです。
|OODIのコンセプト
OODIが掲げるコンセプトは「人々が交流するリビングルームであり、すべての人々に開かれた文化の発信地」。
各フロアを見学して感じたのは「静かではない」ということ。もちろん学習用のスペースや部屋は静かですが、オープンになっているところは、結構人々が喋っている風景を目にしました。
これもOODIのコンセプトに准ずるもので、訪れる人たちが交流できる場にしっかりとなっているという事です。
デザインだけではなく、開かれた場所、そして機能性、こういった部分をしっかり追求している図書館だからこそ、今回のPublic Library of the year 2019受賞に繋がったのだと思います。
ヘルシンキに訪れた際には、足を運んで見てはいかがですか?
※3Fのカーペットデザインを手がけた新進気鋭デザイナーのインタビュー記事は、こちら!
|アクセス
【OODI】
開館時間:8:00〜22:00(月〜金)
10:00〜20:00(土・日)
住所: Töölönlahdenkatu 4, 00100 Helsinki, フィンランド
電話:+358 9 31085000
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