【2024 北欧旅日記 9日目】タンペレ<後編>

2024年冬の北欧取材9日目・後編。

午後は、街の魅力をじっくり感じるタンペレ散策へ。

“宇宙図書館”の愛称で親しまれるMetsoや、歴史と現代が交差する中央広場を歩き、猫のロゴが可愛い「Pella’s Cafe」でひと息。

夕方には、1906年創業のラヤポルティン・サウナで心をととのえ、夜は、旧フィンレイソン工場跡のレストランでクラフトビールとバーガーを堪能。

👉【2024 北欧旅日記 9日目】タンペレ〈前編〉はこちら

宇宙船のような外観が目を引く市民が愛する「タンペレ図書館(Metso)」-MAP①

LifTe北欧の暮らし 2024年冬の北欧出張9日目後編で訪れたフィンランドのタンペレにあるタンペレ図書館の外観 フィンランド建築界の巨匠ライリ&レイマ・ピエティラ夫妻による建築
後半は、地元の人々に親しまれているタンペレ図書館へ。

この建物、まるで“宇宙船”のようなユニークな外観から、地元では「宇宙図書館(Metso/メトソ)」の愛称で呼ばれています。

1986年に完成したこの図書館は、フィンランド建築界の巨匠ライリ&レイマ・ピエティラ夫妻によって設計されました。

実は、このペアは、ムーミン美術館が入っている「タンペレホール」の設計も手がけており、街のランドマークに多大な影響を与えた存在です。

有機的な曲線を多用した外観は、自然や動物のモチーフから着想を得ているので一見の価値あり。

建物に入る前から、「この中にはどんな世界が広がっているんだろう?」とワクワクさせてくれる場所です。
LifTe北欧の暮らし 2024年冬の北欧出張9日目後編で訪れたフィンランドのタンペレにあるタンペレ図書館の内観 フィンランド建築界の巨匠ライリ&レイマ・ピエティラ夫妻による建築
館内に足を踏み入れると、そこにはまるで美術館のような開放的な空間が広がっていました。

天井を見上げると、美しい円形ドームとやわらかな曲線で構成された建築に思わずうっとり。光が差し込むガラス窓と、壁を這うように配置されたグリーンが調和し、自然の中にいるような心地よさを感じさせてくれます。

そして印象的なのは、図書館なのに静まり返っていないこと。

フィンランドでは図書館が「地域のコミュニティスペース」として機能しているため、利用者同士が会話を楽しむ姿も当たり前のように見られます。

子どもからお年寄りまで、思い思いの時間を過ごす姿に、この空間が“市民のリビング”のように愛されているのを実感しました。

LifTe北欧の暮らし 2024年冬の北欧出張9日目後編で訪れたフィンランドのタンペレにあるタンペレ図書館内にあるムーミンとジオラマ
この図書館を歩いていると、あちこちにムーミンの気配が感じられるのも印象的でした。

児童書コーナーにはムーミンのぬいぐるみがちょこんと座り、地下1Fのショーケースにはおなじみのキャラクターたちが小さなジオラマで登場。まるでムーミン谷の一場面が再現されたような、心が和む展示です。

実はここ、かつて「ムーミン美術館」があった場所。

現在はタンペレホールへ移転していますが、その歴史を伝える小さなモニュメントが館内奥にひっそりと残されており、ファンにとってはまさに“聖地”のような存在です。

タンペレ図書館は、ムーミンの物語とともに街の文化を見守ってきた場所でもあるのです。

LifTe北欧の暮らし 2024年冬の北欧出張9日目後編で訪れたフィンランドのタンペレにあるタンペレ図書館内のキッズルーム フィンランド建築界の巨匠ライリ&レイマ・ピエティラ夫妻による建築
図書館の奥には、こんなスペースも。

子どもたちがくつろぎながらゲームに熱中する、いわば「キッズルーム」。ビーズクッションに座って、モニターを囲んでゲームを楽しむ姿は、まるでリビングのようなリラックス感です。

「図書館にゲームスペース⁉︎」と驚く日本人は少なくないかもしれません。でもここフィンランドでは、“遊び”も“学び”も、どちらも子どもの成長に欠かせない大切な時間。

そんな価値観が空間づくりにも自然と表れているのが、なんとも北欧らしいところです。

市庁舎と現代アートが共存するタンペレの中心広場|「ケスクストリ(Keskustori)」-MAP②

LifTe北欧の暮らし 2024年冬の北欧出張9日目後編で訪れたフィンランドのタンペレにあるケスクストリ(Keskustori/中央広場)のタンペレ市庁舎
タンペレ図書館を後にして、駅に向かって歩くことおよそ10分。街の中心に広がるのが、この「ケスクストリ(Keskustori/中央広場)」です。

目の前に現れるのは、白く気品あふれるタンペレ市庁舎。19世紀末に建てられたネオ・ルネサンス様式の建物で、今も行政の中枢として機能しながら、街の“顔”として凛とした存在感を放っています。

その隣には、装飾の美しい石造りの建物が立ち並び、まるでヨーロッパの歴史絵巻に迷い込んだような気分に。

雪に包まれた石畳の上を歩いていると、どこかクラシカルで、でも温もりのあるタンペレの表情が感じられます。
LifTe北欧の暮らし 2024年冬の北欧出張9日目後編で訪れたフィンランドのタンペレにあるケスクストリ(Keskustori/中央広場)にある噴水カバー
広場の中央に設置されている、このガラスのドーム状の構造物。一見するとアート作品のようにも見えますが、実はこれは噴水を冬の寒さから守るための保護カバー。

中には、夏の季節になると稼働する噴水の装置があり、冬のあいだは雪や氷から守るためにこの透明なドームで覆われています。

よく見ると、ガラス面には可愛らしい模様があしらわれていて、単なる機能性だけでなく美的なアクセントとしても街の景観に溶け込んでいました。

歴史的な市庁舎のクラシカルな建物と、現代的なこのガラスドームが並ぶ光景は、まさに「過去と今」が交差するタンペレらしい一枚。

猫カップのロゴが可愛いカフェ「Pella's Cafe(ペラズ・カフェ)」-MAP③

LifTe北欧の暮らし 2024年冬の北欧出張9日目後編で訪れたフィンランドのタンペレにある人気カフェペラズカフェ pella's cafe
クラシカルな建物の1階に佇むこのカフェは、美しいアーチ窓と重厚な柱が並ぶ歴史を感じる外観に、どこか懐かしさと上品さが漂います。

ふと目をやると、窓ガラスには猫の形をしたコーヒーカップのイラストが。

そんな遊び心あふれるロゴマークが、このカフェ「ペラズ・カフェ」の目印です。

街の中心にありながら、ちょっと立ち寄るだけで日常を忘れさせてくれるような、そんな特別なカフェです。
LifTe北欧の暮らし 2024年冬の北欧出張9日目後編で訪れたフィンランドのタンペレにある人気カフェペラズカフェのリコリスとレモンのムース
ショーケースの中でひときわ目を引いたのが、こちらの「レモンとリコリスのムースケーキ」。

フィンランドらしいリコリスの風味がアクセントになった、ちょっぴり大人のスイーツです。

艶やかなブラックのグラサージュに、ふわっと軽いホイップクリーム。その上にはぷっくりとしたブラックベリーがちょこんと乗っていて、見た目も華やか。

甘さの中に、リコリス特有の独特な香りがふわりと広がり、レモンの爽やかさと合わさって、一口ごとにフィンランドの風が吹き抜けるような味わいでした。

このカフェには他にも、サンドイッチやキッシュなどの軽食メニューも充実していて、朝食からブランチ、おやつタイムまで、どんな時間帯でも立ち寄りたくなる居心地の良さ。

気づけばつい長居してしまう、そんな“とっておきの場所”です。

フィンランド最古の公衆サウナ「Rajaportin Sauna(ラヤポルティン・サウナ)」-MAP④

LifTe北欧の暮らし 2024年冬の北欧出張9日目後編で訪れたフィンランドのタンペレにある老舗サウナ ラヤポルティン・サウナ(Rajaportin Sauna)
日も傾きかけた頃、向かったのは街の北側にある「ラヤポルティン・サウナ(Rajaportin Sauna)」。

ここは1906年創業という、現存するフィンランド最古の公衆サウナのひとつ。飾り気のない素朴な外観に、“SAUNA”の文字が静かに刻まれていて、まるで時が止まったかのような佇まいです。

建物の中に入ると、薪でじっくりと熱されたサウナ室が待っています。

肌をじんわりと包み込むようなやわらかな熱気に、体の芯からほぐされていく感覚。

そして、ここでもやっぱり見られたのが、ロウリュの前に「やってもいいですか?」と周囲に声をかける光景。

何度かサウナを訪れてきた中で、こうした小さな気配りこそがフィンランドらしさだと、あらためて感じました。

サウナがただの個人空間ではなく、“みんなの場所”として大切にされている―そんな文化が、この静かな熱気の中にもしっかりと息づいています。
LifTe北欧の暮らし 2024年冬の北欧出張9日目後編で訪れたフィンランドのタンペレにある老舗サウナ ラヤポルティン・サウナ(Rajaportin Sauna)
そして、サウナのあとはお楽しみの外気浴。

タオル一枚で外のベンチに腰かけ、冬の澄んだ空気を肌で感じながら静かに深呼吸。

頭上には小さな光が灯り、隣では常連たちがドリンクを片手におしゃべり。そんな光景に混じっていると、まるで地元の一員になったような気分に。

真冬の冷たい空気と、心地よく火照った身体のコントラスト。この瞬間こそが、フィンランド式“ととのい”の真髄なのかもしれません。

歴史建築で楽しむクラフトビールと絶品バーガー「プレヴナ・パニモラヴィントラ(Plevna Panimoravintola)-MAP⑤

LifTe北欧の暮らし 2024年冬の北欧出張9日目後編で訪れたフィンランドのタンペレにあるプレヴナ・パニモラヴィントラ
夜のタンペレで訪れたのが、赤レンガ造りの重厚な建物が目を引くこの場所。
ここはかつて、フィンランド最古のテキスタイルブランド「フィンレイソン(Finlayson)」の工場だったエリアをリノベーションしたカルチャースポット「Finlayson Area」。

19世紀に建てられた産業建築が、いまではレストランや映画館、美術館などが集まる複合施設として再生され、街の新たな顔として人気を集めています。

そんな歴史ある建物の一角にあるのが、今夜の目的地「プレヴナ・パニモラヴィントラ」。

クラフトビールの醸造所を併設したレストランで、地元の人たちにも愛される名店です。

LifTe北欧の暮らし 2024年冬の北欧出張9日目後編で訪れたフィンランドのタンペレにあるプレヴナ・パニモラヴィントラのビール
まずは、醸造所直送のフレッシュなクラフトビールを一杯。

口に含むと、ホップの華やかな香りとほどよい苦味がバランスよく広がり、「これぞブルワリーレストランの特権!」と思わず唸る、出来たてならではの味わい。

照明がほのかに揺れるバーのカウンターで、ゆったりと流れる夜の時間と一緒に楽しむ一杯は格別でした。

LifTe北欧の暮らし 2024年冬の北欧出張9日目後編で訪れたフィンランドのタンペレにあるプレヴナ・パニモラヴィントラのクラフトバーガー
ビールに合わせたのは、看板メニューの「Plevnan Burger(プレヴナ・バーガー)」。

ジューシーな地元産ビーフのパティは、肉の旨みがギュッと詰まっていて、ふんわり香ばしいブリオッシュバンズとの相性も抜群。

たっぷりのレタスやトマト、ピクルスがシャキッとした食感を添え、仕上げにはディルが香る自家製ハウスマヨネーズがとろり。

このソースがさっぱりしつつもコクがあり、フィンランドらしい爽やかさを引き立ててくれます。

添えられたフライドポテトもカリッと揚がっていて、自家製ビールとの“幸せなループ”が止まりませんでした。

👉【2024 北欧旅日記 10日目】タンペレ<前編>へ続く




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