2001年に日本で公開されたスタジオジブリ作品『千と千尋の神隠し』(宮崎駿監督)は、空前のヒット作になりました。
その後、2002年の第52回ベルリン国際映画祭では最高賞の金熊賞を、2003年の第75回アカデミー賞では長編アニメーション部門を受賞し、多くの国々で『千と千尋の神隠し』が上映されました。
この日本を代表する映画作品『千と千尋の神隠し』が、なんと北サーミ語の吹き替え版が制作され、2020年1月16日のトロムソ国際映画祭で上映されました!
今回は、このプロジェクトのマネージャーを務めたInternational Sami Film Institute(国際サーミ映画研究所)のAnne Lajla Utsiさんに、お話を伺いました。
|『千と千尋の神隠し』を選定した理由
ーなぜサーミ語の吹き替え作品として『千と千尋の神隠し』を選んだのですか?
『千と千尋の神隠し』は、ご存知の通り美しい映画作品であり、私たちにとってこの名作が北サーミ語の吹き替え版で上映されることはとても名誉なことです。
『千と千尋の神隠し』の世界観は、私たち自身のサーミの物語の伝統を思い起こさせます。それゆえ、今回の吹き替え作品として『千と千尋の神隠し』を選びました。
ーサーミ語の吹き替え作品を製作するのはなぜですか?
サーミ語への映画の吹き替えは、『アナと雪の女王2』そして、このスタジオジブリ作品で、大きな話題を呼びましました。
私たちの言語での映画作品は、非常に少ないのが現状です。私たちは、サーミ語、そしてサーミ族という文化を後世に残していかなくてはいけないミッションがあります。
大人はもちろん子供も楽しむことができ、メッセージ性がある映画作品の吹き替え版を上映することによって、そのきっかけができると考えているからです。
|ノルウェーでのスタジオジブリ作品人気
ースタジオジブリ作品はノルウェーで人気がありますか?
もちろん!スタジオジブリの映画には、多くのノルウェー、そしてサーミの人々ファンがいます。
スタジオジブリ作品は、私たちが愛して止まない、そして何より美しい映画です!
ーなぜスタジオジブリの作品が受け入れられているのだと思いますか?
優れた物語と美しいアートワークのおかげだと思います。ノルウェー、そしてサーミの人々は良いものをきちんと理解し、受け入れる文化を持っていると私たちは考えています。
ーこの作業を完了するのに難しかったことは何ですか?
今回のプロジェクトは、国際サーミ映画研究所が行ったものです。
スタジオジブリ、スタジオジブリ映画作品の、北欧ディストリビューターであるアートハウス社、シネマモンド社と非常に良いコラボレーションがあったので、それほど難しくはありませんでした。
有名なサーミのアーティスト、マリボインや俳優のミケルゴープ、ネダラブバ、オレガブリエルブルジョなど、サーミの素晴らしい声の才能を見つけられたことも幸運でした。
ー今後、サーミの吹き替えでどのような作品に取り組むつもりですか?
どの作品にするかは、まだ決定してはいないですが、今年もサーミ語での吹き替え作品が上映できるよう準備をしている段階です。
ー日本のユーザーに伝えることはありますか?
まず、特にスタジオジブリに感謝を述べたいです。素晴らしい作品を生み出し、日本に止まらず、世界中の人々に届けてくれました。
スタジオジブリは企画の早い段階から、吹き替えのアイデアをサポートしてくれましたし、そもそもこのプロジェクトを可能にしてくれた事に、心から感謝をしています。
私たちは『千と千尋の神隠し』の北サーミ語版を作り上げられたことを、とても誇りに思っていますし、北サーミ語が『千と千尋の神隠し』にとてもマッチしていると感じています。
私たちは、先ほども述べたように、これからも映画作品のサーミ語吹き替え版制作を行っていく予定です。
日本の皆さんには、サーミという文化があるという事を少しでも知って頂けると嬉しいです。
『千と千尋の神隠し』の北サーミ語吹き替え版は、今後ノルウェー国内で一般上映されるそうです。
「International Sami Film Institute(国際サーミ映画研究所)のオフィシャルサイトはこちら」
|サーミ族とは
サーミ族とは、スカンジナビア半島(ノルウェー、スウェーデン、フィンランド)の北部、ロシアのコラ半島に住む少数民族で、トナカイと共に生活を送っています。彼らは、サーミ語(10種類程度と言われている)を話し、独自の文化形成を行なっています。
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