先日駐日フィンランド大使館で開催されたのが「ムーミンアラビア」に関するイベント。
来年2025年は、ムーミンの小説が発表されてから80周年を迎えるということで、フィンランドのフィスカース社から関係者が来日し、今後の展開やムーミンアラビアに対しての愛が存分に語られた内容になりました。
フィンランド大使館関係者も大好きなムーミンマグ
イベントの開催に先立ち、駐日フィンランド大使館のタンヤ・ヤースケライネン大使と、レーッタ・プロンタカネン報道/文化担当参事官からそれぞれ挨拶がありました。
レーッタ・プロンタカネン報道/文化担当参事官
レーッタさんからは、本日参加した人々への感謝が述べられたあと、この日の朝もムーミンマグでコーヒーを飲んできたエピソードが明かされました。
タンヤ・ヤースケライネン大使
「レーッタ報道・文化担当参事官からも話がありましたが、私も実は朝、ムーミンマグでコーヒーを飲んだところでした(笑)。これはあるあるネタで。たぶんフィンランド外交官の夫人はみんなムーミンマグのコレクションがあると思います」。
続いて登壇した大使からは、微笑ましいコメントのあと、ムーミンとフィンランド文化のつながりに関してのスピーチが。
「偉大なるトーベ・ヤンソンによって生み出されたムーミンは、単なる愛されるキャラクターだけではなく、それ以上の価値があると思います。ある意味、フィンランド文化の核心を突いていて、社会に深く根付いていて、例えば優しさであったり受け入れる寛容さ、そして平等さを現しています」。
-イメージ写真
「今回はさまざまなムーミンマグがディスプレイされていますが、フィンランドには一杯のコーヒーを楽しむ文化があります。フィンランド語でカハヴィタウコ(コーヒー+休憩)という言葉があります。単なる休憩ではなく、一息ついて、みんなと一緒に元気を取り戻すための時間。相手は家族であったり、同僚だったり、有人だったりそれぞれ違いますけど、あたたかいマグカップを持ってシンプルにコーヒーを頂くのは、特別な時間となります。それは、おもてなしでもあり、忙しい今の時代に静寂の時をもたらしてくれる物でもあります。その際、時代を超えて愛されるムーミンのマグカップでこの時間を共有することほど素晴らしい物はないのではないでしょうか」。
「来年は、ムーミンの物語が誕生して80年を迎えます。ムーミンの物語で表現される、それぞれへの寛容や理解という精神は、我々全員が目指していることでもあります。お互いの話に耳を傾け、手を差し伸べて、違いをたたえる世界です。ムーミンたちは与える喜び、自分らしくある勇気、そして他人や自然と調和して生きる知恵を私たちに教えてくれます。この美しいマグカップの芸術性と職人技だけではなく、カップが伝える物語や思い出を味わう時間を皆さんで楽しんでくれることを願います」。
ムーミンアラビアとフィスカース
大使からのスピーチ後に登壇したのは、今回のイベントに合わせてフィンランドから来日した、ムーミンアラビア社の副社長ペッカ・サルミさん。
ペッカさんからは、ムーミンアラビアの歴史、そして来年への展望が解説されました。
「ムーミンアラビアは、80年にわたるムーミンの歴史、そして150年にわたるアラビアの歴史が合わさった物ですが、このライセンスの合意は1+1が3になるようなコラボレーションだと常々思っていました。さまざまなアイテムがつくられてきましたが、ムーミンマグに関しては1990年からスタートして、現在まで実に150種類以上のデザインが製作されています」。
「ムーミンアラビアは現在、375年以上歴史がある、フィンランドのフィスカースグループの一員で、実に100以上の国々でアイテムが販売されています。これほど有名なブランドになったのは、トーベ・ヤンソンがつくりだしたムーミンの世界観に大きな価値があったからだと思っています」。
「来年はムーミンアラビアにとって、とても大切な年です。特別なムーミンマグも登場する予定ですし、店舗数も拡大する予定です。そして日本でも4月から開催される大阪万博にも関わる予定なので、是非楽しみにしていてください」。
トーベ・ヤンソンとトーベ・スロットがつくりだしたムーミンマグ
続いて登壇した、デザインチームの責任者アンニカ・ティックルさんからは、ムーミンアラビア製品のデザインに関する解説。
「ペッカからも話がありましたが、アラビアとムーミンのコラボレーションは1950年代から始まっていました。ムーミンマグがスタートしたのは1990年代のことです。当時のアラビアデザインチームに所属していた"トーベ・スロット"が陶器のデザインをしてクリエイティブがスタートしました。このトーベ・スロットがトーベ・ヤンソンと一緒に、ムーミンのスピリットとストーリーを正確に伝わるように丁寧に製品作りを続けてきたのです」。
30年間でトーベ・スロットさんが手がけたマグは100種類以上。引退して、アンニカさんがデザインチームを率いることになり、プレッシャーもあるそうですが充実した日々を送っているそう。
「ムーミンのデザインを引き継いでいくというのは、我々にとってとても名誉なことですし大きなことです。ムーミンはフィンランドの人たちにとって宝でもあるし、我々のDNAでもあるのです。トーベ・ヤンソンが作り上げたオリジナルデザインのアーカイブから、商品を通して新しい息が吹き込まれるようにと思っています。ストーリーのシーンからいろいろな絵を抜き出して、それをまた新しい一貫したストーリーに作り上げていくのが私たちの仕事なのです」。
これまでのムーミンマグで一番のお気に入りは「スニフ」が描かれたマグカップだとにこやかに語るアンニカさんは、マグカップをとりながらその理由を語ってくれました。
「スニフはちょっと貪欲なところがあり、あまり性格は良いとは言えないけど、トーベ・スロットは彼のソフトな面をうまく取りだしているのでとても好きなんです。猫を抱っこしていて、夏の日を満喫しているようすが描かれています。キャラクターの性格の一部をこのように感じることができる作品にしあげることができればと常々思っています」。
陶器から始まったムーミンとアラビアのコラボレーションは、近年ムーミンマグやプレートにとどまらず、タオルやベットカバーなどのテキスタイルなどの製品展開にまで広がっています。
「ムーミンアラビアのミッションは、ムーミンのストーリーで感じ取ることができる、冒険心だったり、わくわくする気持ちなどを、商品を通して表現していくことだと思っています。そして、遊び心を持っていることも大切なことだと思っています。いま、世界では、深刻なことが色々起こっています。そのような時でも、われわれの製品を通して、少しの楽しさをおうちに持って行けるということが我々の仕事の楽しく素晴らしいことだと思います。これからのムーミンアラビアに是非ご期待ください」。
トーベ・ヤンソンがムーミンたちに愛を注いだように、ムーミンアラビアのスタッフもムーミンたちへの愛情にあふれているのが伝わるイベントでした。
2025年は、トーベ・ヤンソンがムーミンの最初の物語『小さなトロールと大きな洪水』を発表して80周年の大切な年。どんなアイテムが誕生していくのか、これからも注目です。
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