北欧に根差した文化や思想は、いまや私たちの暮らしや創作のなかにも静かに息づいています。
その“北欧の深層”に迫るシンポジウムが、2025年7月19日(土)、東京・立教大学で開催されます。
今回のイベントタイトルは、「中世を語り、分析し、描くこと:中世アイスランド文学から現代日本の歴史創作へ」。
実はこの立教大学では、過去にも中世アイスランド文学をテーマにしたトークイベントが開催されており、LifTeでは2019年にその模様を現地取材しました。
あのイベントは『ヴィンランド・サガ』を軸に、ヴァイキングの暮らしや思想、中世北欧の物語世界に迫る内容で、北欧の文化と物語をつなぐとても濃密な体験となりました。
そして今回のシンポジウムも、北欧中世を「研究・翻訳・創作」の観点から深く掘り下げる、注目の内容。
登壇者には、第一線で活躍する研究者や表現者が揃い、前回とはまた違った広がりと発見が期待できる一日となりそうです。
👉2019年 立教大学で開催されたトークイベント「『ヴィンランド・サガ』からみたアイスランド」の記事はこちら
北欧中世の第一人者&人気作家が一堂に会する、極めて豪華なトークイベント

このシンポジウムの最大の魅力は、登壇者の顔ぶれにあります。
幸村誠さんは、アニメ化もされた大人気漫画『ヴィンランド・サガ』の作者。作中では中世のバイキングたちの生活や価値観を、驚くほど緻密な考証と描写で描き出しています。
小澤実さんは、来年(2026年初頭)刊行予定の古代北欧歌謡集『エッダ』の監修者でもあり、日本における北欧中世文学研究の第一人者。
とくに1970〜80年代に日本で巻き起こった「北欧中世ブーム」の背景や、それを支えた『エッダ』(1973年)、『アイスランド・サガ』(1979年)の意義と、その後の変遷にも光を当てます。
松本涼さんは、昨年(2024年)6月に出版された『アイスランド・サガ』の監修を担当。谷口幸男訳の古典的翻訳を現代に引き継ぎながら、作品の魅力を新たな視点で読み解いてきた方です。
このように、北欧中世を「描く・読む・研究する」すべての視点の第一線の人物たちが一堂に会するというのは、まさに夢のようなシンポジウム。
北欧好きも、物語や歴史が好きな人も楽しめる2部構成

【第1部】21世紀の北欧中世研究
松本涼(東海大学准教授)
昨年刊行された『アイスランド・サガ』の監修を務めた立場から、作品世界の魅力と、現代における読み解き方を紹介。
小澤実(立教大学教授)
来年刊行予定の『【完全版】エッダ古代北欧歌謡集』の監修に携わる小澤実さんが、1970〜80年代の北欧中世ブームを起点に、日本でどのように中世北欧が語られてきたかをひもといていきます。
山田慎太郎(東京大学大学院附属センター)
デジタル技術を活用し、中世アイスランド文学を新たな視点から分析。
【第2部】歴史創作と西洋中世
幸村誠(漫画家)
『ヴィンランド・サガ』の制作秘話や、中世バイキングを描くうえでのリアリティへのこだわりを語ります。
佐藤二葉(作家/パフォーマー)
東ローマ帝国の皇女を描いた歴史創作『アンナ・コムネナ』を通して語る、西洋中世の表現と可能性。
クロストーク(全員参加)
翻訳・研究・創作、それぞれの視点から、中世の物語や価値観が、現代の創作や文化にどうつながっているのかを語り合います。
あわせて、日本における北欧中世研究と創作の現在地、その特徴や今後の可能性についても掘り下げていきます。
このシンポジウムは、単なる学術イベントではありません。
北欧中世の思想や物語世界が、現代の日本人の創作・表現活動とどうつながるのか。
その「橋渡し」を感じられる内容だからこそ、北欧が好きな方や、物語の背景に興味がある方にとっても、思わぬ発見があるかもしれません。
会場での参加はもちろん、オンラインでも視聴できるので、気になった方はぜひチェックしてみてください。
開催概要
◾️イベント名:公開シンポジウム「中世を語り、分析し、描くこと:中世アイスランド文学から現代日本の歴史創作へ」
◾️日時:2025年7月19日(土)14:00~17:30
◾️場所:立教大学 池袋キャンパス(東京都豊島区)
◾️形式:対面+オンラインのハイブリッド開催
◾️対面参加:先着順(定員あり)
◾️オンライン参加:定員なし
◾️参加費:無料
◾️住所:東京都豊島区西池袋3-34-1
◾️申込方法:上記の立教大学公式ページより事前申込
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