2025年7月16日(水)より全国巡回がスタートした展覧会『トーベとムーミン展 ~とっておきのものを探しに~』。
その開催に先駆け、東京・フィンランド大使館にて、メディア向けのレセプションイベントが開催されました。
当日は本展に全面協力しているヘルシンキ美術館(HAM)から、館長 アルヤ・ミッレルとキュレーター ヘリ・ハルニが来日。
フィンランド大使館のレーッタ・プロンタカネン報道・文化担当参事官も登壇し、トーベ・ヤンソンとムーミンの世界に込められた思いが語られました。
「ムーミンが日本で愛され続けている理由が、ここにあります」

イベント冒頭、フィンランド大使館のレーッタ・プロンタカネン報道・文化担当参事官が登壇。
「トーベ・ヤンソンはフィンランドで最も愛されている芸術家・作家の一人です」と語り、日本におけるムーミン人気の背景について次のように述べました。
「トーベの作品には、愛・自由・寛容・勇気といった普遍的な価値観が込められており、それが日本人の心にも深く響いています。今回の展覧会では、原画やスケッチを通じて、彼女の芸術的な表現と人生観に触れることができます。この展示が“ムーミンの魔法”を感じられる時間になればうれしいです」。
「トーベの作品は、美しさだけでなく“立ち直る力”も教えてくれる」

続いて登壇したヘルシンキ美術館の館長、アルヤ・ミッレルは、本展の意義と美術館との深い関係性について語りました。
「私たちの美術館は、1100点以上のコレクションを擁し、その中でもトーベの作品は非常に特別な位置にあります。彼女が1947年に描いたフレスコ画《都会のパーティーと田舎のパーティー》は、本人が“最も重要な公共作品”と語ったもので、今も常設展示されています。ムーミンの物語にある“共生”や“寛容”の精神は、フィンランドの国民性とも重なり、日本でも深く共感を得ている理由の一つだと思います。トーベの作品は、美しさだけでなく、困難なときに“立ち直る力”を与えてくれる存在でもあるのです」。
👉ヘルシンキ美術館で、今年の4月6日まで開催していた “トーベ・ヤンソンの壁画と出会う展覧会『Paradise』” を紹介した記事はこちら
「トーベの創作の裏側まで感じられる、扉が開かれた展覧会に」

その後のクロストークでは、キュレーターのヘリ・ハルニが展覧会の構成や見どころを紹介。
「“扉はいつも開かれている”という言葉をテーマに、訪れた人がトーベの世界へ一歩踏み出せるような展示にしました」と語り、こう続けました。
「ムーミンだけでなく、画家・舞台芸術家・作家としてのトーベの多面的な姿を知ってもらいたくて、彼女の“スタジオ再現コーナー”も設けています。特に印象深いのは、展覧会準備中に偶然見つかった大量の未公開スケッチ。日本には持ち込めなかったのですが、特別映像で紹介しています」。
さらに、来館者の層について問われた際には、「子どもだけでなく、大人の観客にも深く響く展示になる」とコメント。
トーベが“ムーミンにとらわれることの苦しみ”を抱えながらも、夜に物語を描き、昼は壁画制作に没頭していた日々が紹介されるなど、彼女の創作への覚悟や苦悩にも迫っています。
フィンランド大使館で行われた今回のレセプションでは、ヘルシンキ美術館の膨大なアーカイブをもとに企画された本展の背景や、展示に込められた想いが丁寧に語られました。
“ムーミン”という柔らかな世界の奥にある、トーベ・ヤンソンという一人の芸術家の真摯なまなざしや、創作への葛藤。
その物語が、どのように展覧会として表現されていくのか、期待が膨らむひとときとなりました。
7月16日(水)から、六本木の森アーツセンターギャラリーで始まった「トーベとムーミン展~とっておきのものを探しに~」は、北海道、長野、名古屋などに巡回予定。
どうぞ会場で、トーベ・ヤンソンの繊細で奥深い世界観をじっくりと味わってみてください。
👉全国巡回予定「トーベとムーミン展~とっておきのものを探しに~」特設サイトはこちら
「トーベとムーミン展~とっておきのものを探しに~」開催概要

会期:2025年7月16日(水)~9月17日(水)
時間:10:00~18:00 (金・土・祝前日は10:00~20:00)
※入館は閉館の30分前まで
※土・日・祝日および平日のうち特定日(お盆期間の8月12日〈火〉~15日〈金〉、会期最終週の平日9月16日〈火〉、17日〈水〉)は日時指定制)
会場:森アーツセンターギャラリー(六本木ヒルズ森タワー52階)
※開館時間・休館日については、決定次第、展覧会公式サイトで発表予定
主催:朝日新聞社
企画協力:ヘルシンキ市立美術館
後援:フィンランド大使館
協賛:インペリアル・エンタープライズ、NISSHA
協力:ライツ・アンド・ブランズ、S2、フィンエアー、フィンエアーカーゴ、TOKYO MX
巡回情報(予定)
2025年10月1日(水)~11月24日(月・振休):北海道立近代美術館
2026年2月7日(土)~4月12日(日):長野県立美術館
2026年4月~6月:名古屋・松坂屋美術館
※各会場の詳細情報は、詳細が決定次第、展覧会公式サイトで発表予定
※会場により、一部展示内容が異なる場合あり
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