JR新潟駅から車で5分ほどのところにある「沼垂テラス商店街」。
沼垂という地域は1,400年というとても長い歴史があるそうです。そこに古くからあった長屋を改装したのがこの沼垂テラス商店街。
日本の各所にあるシャッター街、この沼垂もその一つでした。
2010年に佐渡生乳ソフトクリームと手作りデリの店「Ruruck Kitchen(ルルックキッチン)」のオープンを皮切りに、少しずつ若者を中心としてお店が開店をしていき、現在30店舗近くのお店が軒を連ねる活気ある商店街として復活をしました。
その沼垂テラス商店街の一つに店を構えるのが「Kippis7265」。今回はオーナーの猪股美保(いのまた みほ)さんにお話をお伺いしてきました。
ーまずは、この沼垂テラス商店街、とても趣深いですね。
そう言って頂けると嬉しいです。若手を中心として個性豊かなお店が集まっているので、面白いですよね。
ーはい、北欧のお店があったかと思えば、2件先では漬物が干されていますし(笑)
そこは昔からある八百屋さんなんです。古いものと新しい物が融合されているのがこの沼垂テラス商店街の良いところだと思っています。
|異業界から北欧の世界へ
ー猪股さんは、この「Kippis7265」というお店を始める前はどんなお仕事をされていたのでしょうか?
5年前からオンラインショップでオリジナルグッズを販売していました。
北欧フィンランド、デンマーク、スウェーデンの生地を購入して、新潟の工場に依頼をして母子手帳などを作り始めたのが最初です。
1年ほど経って、沼垂テラス商店街になる前に、様々な方が集まるマーケットが時々開催されたので、私も出店して試験的に販売をするようになりました。その後、沼垂テラス商店街が発足するという話が上がり、すぐ手を上げて、このお店をオープンすることにしたんです。
ーなるほど、ということは、オリジナルグッズを作る前は、それに近しい、いわゆる北欧関連のお仕事をされていたということでしょうか?
いえ、実は地域情報発誌の編集部に在籍をしていて、新潟のお店を取材したり紹介をしていたんです。当時から雑貨がとても好きで、インテリアショップや雑貨を取り扱うお店を回っているうちに、いつか雑貨のお店を自分でも持ちたいという気持ちが高まってきたんです。
ーでも、畑違いではありますよね。地域情報誌から雑貨店。
そうですね。なので私は東京にある短期ではあるのですが、雑貨店を開業するための学校に仕事をしながら通って勉強もしました。
ー新潟で仕事をしながら、東京の学校にも通ったということですか?
はい、その時は本当に必死でめまぐるしい日々でした(笑)。
ただ、その後すぐ開業というわけではなく、自分の結婚、そして出産があり、家事や育児に時間がかかるようになり、その夢は一旦しまうことにしたんです。
ただ、私が出産した後、可愛い母子手帳がなかなか見つからなかったんです。であれば、自分で作っちゃおうと思い、当時から好きだったマリメッコの布で母子手帳を作ったんです。
その時に、自分のようにママのための可愛い柄で作られたものがあれば、多くの人に喜んでもらえるんじゃないかと思い、知り合いの北欧雑貨店の方に相談をしたら、「北欧ヴィンテージの布が色々あるからやってみたら?」と言ってくださりました。
その後、自分で製品を作ってもらえそうな工場に直接赴いてお話をしていったところ、たまたま地元の新潟で少ないロットなのに、引き受けて頂けるところが見つかり、そこから全てが始まりました。
ー様々な方に良いタイミングでお会いできたのですね
本当に多くの方との出会いでこの「kippis7265」は成長することができたと思っています。
|kippis7265のスタート
ーそして、オンラインショップのスタートとなるわけですね。
はい、オンラインショップの販売当初は、母子手帳と、バッグとおむつポーチ、この3つのラインナップからスタートをしました。
ーちなみに猪俣さんは北欧はいつ頃からお好きだったんですか?
私は2002年頃から北欧デザインに魅力を感じてきました。最初のきっかけはマリメッコのウニコ柄だと思います。当時はまだ北欧ブームというものはなかったのですが、ビームスなどで展開されてたマリメッコのウニコ柄のデザイン商品に一目惚れして、そこからずっと北欧デザインを愛しています。
ー新潟には北欧好きな方は多いと思いますか?
とても多いと思います。今は北欧が一般的なものになってきている印象がとてもありますね。北欧っぽいデザインが好きな方も多いですし、ここに置いてあるムーミンコーヒーも人気商品の一つですね。
ーお店の人気商品はどれになりますか?
やはり、最初に始めたこの手帳ケースですね。あまり他のお店でこれを大量に展開しているところがないというのもあると思いますが、多くの方に愛用されていますね。もちろん最初は母子手帳ケースの使用目的で作りましたが、保険証でもパスポートでも、ダイアリーでも様々なものに使えるので、今は「マルチケース」という商品名で販売をしています。
そして、おむつポーチも人気なのですが、こちらは「インナーポーチ」という商品名で展開をしていますが、バッグインバッグにもなりますし、一眼レフのカメラなどを入れる用途で使用されているお客様も多いですね。
お店を構えるようになってからは、オリジナル商品以外にも北欧関連のものを仕入れて販売もするようになっています。
|新潟、そしてフィンランドといえば
ーそして、なんでも田中亜土夢選手のファンでもいらっしゃるとお聞きしましたが
はい!学年は全然違うのですが、同じ中学校卒業ということと、やっぱりアルビレックス新潟ファンでもありますので、中心選手として活躍していた田中亜土夢選手はずっと注目していました。
そして、彼がフィンランドのHJKヘルシンキに移籍したのは衝撃的だったのですが、田中亜土夢選手が日本とフィンランドの架け橋になるべく活動をされているのを拝見していて、私も微力ながらもそう言った役割になれればと思っています。
ー以前田中亜土夢選手が、「新潟とフィンランドは似ている」というお話をされていますが、猪股さんはどう感じますか?
私も本当にそう思います。特にヘルシンキも新潟も港町ですし、人は奥ゆかしいですが暖かみがありますし、そして何より冬が長い(笑)。
曇り空も多いこんな風土だからこそ、暖かみのある北欧のデザインがお客さんを安心させるのではないかと思っています。
|次のステージ、そして豊かな暮らしとは
ー猪股さんの今後の夢をお聞かせください
やはり最初のスタートが母子手帳ということもあるので、北欧の子供服を展開してみたいと思っています。北欧ヴィンテージの布って一点ものになるので、大事に育てたい子供に可愛いデザインをあしらった服を買ってあげたい、しかもそれが一点もの。それを喜んでくれそうなママ達がとても多い気がしているので、次のステップで挑戦してみたいですね。
ー次のステップもあり、ますます忙しくなりそうですね。最後に、猪俣さんにとっての「豊かな暮らし」とはなんでしょうか?
日常にある喜びを感じられることが、私にとっての豊かな暮らしだと思っています。
例えば、食卓でも気に入っている食器で料理を味わうとか、家のインテリアでもおばあちゃんが使っていたものを受け継いで大事に使ったり、飾ったりするとか。
これは多分北欧の方々の暮らしにも通じるものなんじゃないかなと思います。
本当に小さいことかもしれないですけど、そういった少しずつの日常の喜びが、積もり重なって豊かな暮らしに繋がっていくのだと思っています。
|インタビューを終えて
新潟駅から車で5分のところにある「Kippis7265」。
雪が積もる時期に取材をしに行ったということもあり、お店の中にいるとここは北欧?と一瞬思ってしまうような錯覚を感じました。
猪股さんは優しい語り口ではありましたが、ご自身がやりたいことを実現してきた芯の強さも感じました。次のステップとおっしゃっていた子供服の展開も近い将来実現するでしょう。
「Kippis7265」は火水日がお休み。毎月第1日曜日は沼垂テラス商店街のイベントが開催されます。その時は沼垂テラス商店街のお店は全部オープンして、それにプラスしてテントも張り出され、来場者も多い時は1,000名以上が集まる大きなイベントになります。その時は「Kippis7265」はオープンしていますので、気になる方は、第1日曜日に行くのがオススメです。
※12月〜3月冬の期間はイベントでのテントの張り出しはございません
kippis7265のサイトはこちら
沼垂テラス商店街のサイトはこちら
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