今年のゴールデンウィークは、おうちでゆっくり過ごしている方も多いのではないでしょうか?
そんな時にお勧めしたいのが、読書!
今回は、映画化も予定されている実話の作品や、ムーミンの原作者トーベ・ヤンソンが残した短編集、スウェーデンの18世紀をどっぷり楽しめる良質なミステリーなどバラエティ豊か!番外編もあり!
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『愛の自転車 インドからスウェーデンまで最愛の人を追いかけた真実の物語』(ペール・J・アンデション 著/タカ大丸 訳)
本作は、極貧のインド人青年PK(読み:ピーケー)が、最愛の人ロッタを追って、ひとり自転車でインドからスウェーデンを目指して旅をした実話。
世界15カ国で翻訳されベストセラーとなり、ハリウッドでの映画化も予定されています。
物語は主人公が生まれた頃の話から始まり、今でもインドに残る差別への内面の思いを描きつつ、二人の出会い、そして自転車での旅へと進んでいきます。
インドからスウェーデンへの旅は過酷ですが、様々な人から助けをもらいながら主人公はひたすら前を向き続けます。その手助けは運が良かったと言えるかもしれませんが、彼の前向きな姿勢には、心打たれます。
作品の中では、再会を果たした二人の写真も収められており、現在、PKはスウェーデンの高校で美術教師を、ロッタは音楽教師を務め、二人の子どもにも恵まれる。そして、現在も仲睦まじく、スウェーデンの湖畔で暮らしているそうです。
「「愛」さえあれば、絶望的な困難をも乗り越えられる!」ということを伝えてくれる、清々しい程の王道のラブストーリーです。そして、ひたむきに進み続ける主人公の姿から、きっと元気を貰えるはずです。
『メッセージ トーベ・ヤンソン自選短篇集』(トーベ・ヤンソン 著/久山葉子 訳)
こちらは、ムーミンの原作者"トーベ・ヤンソン"が執筆した短編をまとめた作品「メッセージ」。彼女が生涯最後に編んだ傑作選であり、フィンランド、スウェーデンでは1998年に発刊されています。
トーベ・ヤンソン没後20年という記念の年に、今まで未邦訳だった7編を含む全31編が本作品として日本で遂に発売となりました。
ムーミンの世界観があまりにも有名なため、彼女が他にどんな作品を執筆していたかを知らない方もいらっしゃるかもしれませんが、本作品で垣間見られるのは、彼女の人柄、そして卓越した表現力です。
友達と交わした手紙では、優しい人柄が現れ、父親と交わす言葉や、彼女が幼い頃のエピソードにはユーモアも感じます。そして、短編ながらも情景がありありと目の前に浮かぶようなフィンランドの自然の姿にも心奪われます。
本作品には、挿絵等は一切入っていませんが、数組のカップルが森の中で愛を育む様子が描かれた表紙の絵がとても素晴らしい出来栄えです。
表紙をめくると、同じ絵が使用されていますが、表紙と違うのが右下に描かれたイラストと文字。ここでも彼女のユーモアを垣間見れるはず。
本作品に収められている31編の物語には、トーベ・ヤンソンという一人の女性の魅力がぎゅっと詰まっています。今年は彼女を題材にした映画も秋に公開予定。
ムーミンの楽しさとまたちょっと違う魅力を感じる本作品で、彼女の人柄に触れてみませんか?
『1793』(ニクラス・ナット・オ・ダーグ 著/ヘレンハルメ美穂 訳)
こちらは、1793年のスウェーデンの首都ストックホルムが舞台となっている推理小説『1793』。
1793年、秋。湖で発見された男の死体は四肢と両眼、舌と歯を奪われ、美しい金髪だけが残っていた。警視庁から依頼を受けた法律家ヴィンゲは、風紀取締官カルデルと共に捜査に乗り出す。重い結核に冒されたヴィンゲの捜査は、時間との闘いでもあったーというストーリー。
本作は、推理小説に多い、警察や探偵が事件を推理して解決していくものとはちょっと違います。展開が気になる、ハラハラするという部分はあるのですが、事件を解決していく手法は、洗練されているというよりも、泥臭い人間臭さを感じるのです。
それは、当時のストックホルムの街、人々、風景が細かく描かれていることにも起因しているかもしれません。現在の石畳で綺麗なストックホルムを知っている人であれば、目を疑うような描写がたくさん出てきます。
ただ、この描かれ方がとても細かいため、映像が頭に描かれ、物語に没入してしまうのです。法律家のヴィンケと、風紀取締官カルデルが解決しようとする謎も、大きな陰謀が渦巻くというよりも人間臭さ、人間の本性が見え隠れするもので、妙なリアルを突きつけられるような感覚は、普通の推理小説では得られないものでした。
この感覚が不思議と心地よく、世界観に入り込んでしまうと、最後まで一気に読み切ってしまいました。最後まで一気に読み切ったのは、章構成の素晴らしさもありました。特に4章からラストまでの流れは本当に秀逸です。
冒頭には、当時のストックホルムの地図が描かれており、地名が出るとこの地図に戻って確認して、また文章に戻るという繰り返しをしましたが、この反復もとても楽しい時間でした。
特に実際にストックホルムに行ったことがある方であれば、自分が訪れた場所と、本書に描かれている230年程前の場所を、頭の中で重ね合わせる楽しみは格別のものです。
北欧のミステリー小説では、当時の社会問題を取りれたものが多いですが、本書も当時の様々な社会問題が描かれています。王道の推理小説とは異なりますが、歴史に関心があったり、少し変わったヒリヒリする小説を読みたい方には、是非手に取って頂きたい作品です。
番外編:『終末のワルキューレ』(梅村真也原作、フクイタクミ構成、アジチカ作画)
番外編でご紹介するのが、コミック『週末のワルキューレ』。
1000年に1度、全世界の神が集まり「人類を終焉させるか否か」を決める会議が開催されます。多くの神が堕落した人類を滅亡させるべきとし、決議が下されたが、ブリュンヒルデ(北欧神話のワルキューレの1人)の提案により、全世界の神VS偉人、武人、傑人のタイマン勝負が開催されます。
つまり、世界の神々対、人類史上最強の13人の戦士たちの戦い。人類は滅亡を避けるために神々に勝つことはできるのか!?というストーリー。
人類側で登場するのは、三国志で圧倒的武力を誇る"呂布"や、宮本武蔵のライバルとして知られる"佐々木小次郎"など力自慢や剣豪として知られる強者ばかり。
そして人類の敵として描かれる神々には、北欧神話のロキ、オーディーン、トールなども登場します。
ベースは純粋なバトル漫画ですが、それぞれのキャラクターの背景にも触れられるので、この漫画をきっかけに北欧神話に触れていくというのも面白いかもしれません。
また、読み進めているとフィンランド好きの方はクスッとなってしまう例のお菓子が出てきたり、人類側では「白い死神」と称されたフィンランドの軍人"シモ・ヘイヘ"も登場したりもします。
熱いバトルが好きな方はもちろん、北欧神話や歴史的偉人に関心がある方にオススメの作品です。
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