【北欧イベント】SOMPO美術館で「北欧の神秘 ノルウェー・スウェーデン・フィンランドの絵画」が開催中!

新宿のSOMPO美術館で展覧会「北欧の神秘 ノルウェー・スウェーデン・フィンランドの絵画」が6月9日(日)まで開催中。

本展覧会は、ノルウェー、スウェーデン、フィンランドの3カ国に焦点を当て、19世紀から20世紀初頭の国民的な画家たち、ノルウェーの画家エドヴァルド・ムンクやフィンランドの画家アクセリ・ガッレン=カッレラによる絵画が展示されます。

今回の展覧会は「ノルウェー国立美術館」「スウェーデン国立美術館」「フィンランド国立アテネウム美術館」、3つの国立美術館の協力を得て実現した物。

4章構成になっている充実した内容と見所をご紹介♪




序章:神秘の源泉ー北欧美術の形成

序章では、芸術の分野で長年、イタリアやドイツ、フランスに追従してきた北欧諸国が、19世紀に芽生えた北欧独自の芸術を紹介。

19世紀前半のロマン主義の影響を受けながらも、風景画、古くから語り継がれる北欧神話、そして芸術とは縁遠い庶民にもなじみ深い民話を描いた絵画が多く制作されました。


LifTe北欧の暮らし 新宿のSOMPO美術館で3月23日(土)から開催されている、スウェーデン、ノルウェー、フィンランドの国立美術館に協力を仰いだ展覧会「北欧の神秘」で展示される『滝のある岩場の景観』 マルクス・ラーション(1859年:スウェーデン国立美術館)
Photo: Nationalmuseum

『滝のある岩場の景観』 マルクス・ラーション(1859年:スウェーデン国立美術館)

マルクス・ラーション(1825〜1864)は、スウェーデンのロマン主義風景画を代表する画家。

デュッセルドルフで学んだ時期に海景画への関心を高め、荒れ狂う海で波にもまれる船舶や沿岸の風景を描きました。

1850年代後半には曇天の下、岩の多い森の中を流れる大河や滝をドラマティックに描きました。

本作は、崇高な自然の景観を主題とするラーションの風景画の特徴をよく示す物です。

Ⅰ:自然の力

19世紀後半になると、ヨーロッパで興隆した象徴主義は、北欧の絵画にもいち早く浸透しました。

その背景にあった急速な工業化と都市開発は、やがて原始の状態への回帰、あるいは自然との調和という理想を人々の胸に呼び起こします。

北欧独自の絵画を追求するが画家たちは、母国の地理的、気象的特徴に注目。雄大な山岳や森、湖と言った自然風景、そして北方の地に特徴的な現象である夏季の白夜、太陽が昇らない冬の極夜、そしてオーロラが多くの作品の題材となったのです。


LifTe北欧の暮らし 新宿のSOMPO美術館で3月23日(土)から開催されている、スウェーデン、ノルウェー、フィンランドの国立美術館に協力を仰いだ展覧会「北欧の神秘」で展示される『ユルステルの春の夜』 ニコライ・アストルプ(1926年:ノルウェー国立美術館)
Photo: Nasjonalmuseet / Frode Larsen

『ユルステルの春の夜』 ニコライ・アストルプ(1926年:ノルウェー国立美術館)

ニコライ・アストロプ(1880〜1928)は、ノルウェーのモダニズム絵画を代表する画家。

ユルステルはアストルプが生涯の大半を過ごした場所で、山々や湖、フィヨルドといった豊かな自然に囲まれ、民間に伝わる工芸や音楽などの文化的伝統を色濃く残したのです。

アストルプは、同じくノルウェーの画家エドヴァルド・ムンクに感化され、独特の鮮やかな色彩を用いて、ユルステルの自然や日常生活を描きました。


LifTe北欧の暮らし 新宿のSOMPO美術館で3月23日(土)から開催されている、スウェーデン、ノルウェー、フィンランドの国立美術館に協力を仰いだ展覧会「北欧の神秘」で展示される『冬の日』 ヴァイノ・ブロムステット(1896年:フィンランド国立アテネウム美術館)
Photo: Finlands Nationalgalleri / Hannu Pakarinen

『冬の日』 ヴァイノ・ブロムステット(1896年:フィンランド国立アテネウム美術館)

ヴァイノ・ブロムステット(1871〜1947)は、フィンランドの画家で、挿絵やテキスタイルのデザインなども手がけた。ペッカ・ハロネンとともにパリに渡り、アカデミー・ジュリアンで学びます。

のちにゴーギャンに師事し、象徴主義や日本美術の影響を受けました。

19世紀後半に北欧諸国でナショナリズムが高まったのを背景として、フィンランド帰国後には、本作のように母国を特徴付ける冬の自然風景を描きました。

Ⅱ:魔力の宿る森ー北欧美術における英雄と妖精

19世紀のヨーロッパでは、国家的、民族的アイデンティティへの関心が高まる中、各地で急速に失われていく土着の伝統文化が注目されるようになりました。

北欧の民話やおとぎ話は、北欧神話、およびフィンランドの民族叙事詩『カレワラ』として知られる一連の物語から大きな影響を受けています。

これらの物語の多くが舞台とするのは深い森であり、そこは魔法やのろいが効力をもち、人や動物ではない存在が住まう場所。道の冒険や神秘体験へと誘う神話やおとぎ話の世界は、北欧絵画を特徴付ける主題となりました。


LifTe北欧の暮らし 新宿のSOMPO美術館で3月23日(土)から開催されている、スウェーデン、ノルウェー、フィンランドの国立美術館に協力を仰いだ展覧会「北欧の神秘」で展示される『トロルのシラミトリをする姫』 テオドール・キッテルセン(1900年:ノルウェー国立美術館)
Photo: Nasjonalmuseet / Børre Høstland

『トロルのシラミトリをする姫』 テオドール・キッテルセン(1900年:ノルウェー国立美術館)

ノルウェーの画家テオドール・キッテルセン(1857〜1914)は、自然の神秘的な側面に注目し、動物やトロル、妖精が登場する物語をイマジネーション豊かに描きました。

本作は、トロルと囚われの姫を描いた物。姫がトロルの身体のシラミを取り、トロルは眠っているシーンが描かれています。そしてこの後、そこへ少年アスケラッドが、姫を救出にやってくるのです。


LifTe北欧の暮らし 新宿のSOMPO美術館で3月23日(土)から開催されている、スウェーデン、ノルウェー、フィンランドの国立美術館に協力を仰いだ展覧会「北欧の神秘」で展示される『素晴らしい花』 フーゴ・シンベリ(スウェーデン国立美術館)
Photo: Cecilia Heisser / Nationalmuseum

『素晴らしい花』 フーゴ・シンベリ(スウェーデン国立美術館)

ガッレン=カッレラから絵を学んだフーゴ・シンベリ(1873〜1917)は、象徴主義と独自のユーモアや遊びを兼ね備えた作風で知られています。

空高く咲いた白い花が印象的な本作の主題は、貧しさと豊かさの対比。粗末な服を身にまとった男は、花をありのままに楽しみたいと願います。

一方で彼が悲しげに見つめるのは、高貴な身なりの男が、この花を独り占めするため、今まさに茎を切ろうとしている様子。

Ⅲ:都市ー現実世界を描く

19世紀における都市の発展は、人々の生活様式を大きく変化させただけではなく、諸芸術へも影響を及ぼしました。

神話や歴史上の一幕が重要な主題とみなされた絵画の分野においても、街の景観や都市生活が新たな主題として登場しました。

工場や整備された街路を望む都市風景、近代化の波を待つ郊外の風景が取り上げられました。


LifTe北欧の暮らし 新宿のSOMPO美術館で3月23日(土)から開催されている、スウェーデン、ノルウェー、フィンランドの国立美術館に協力を仰いだ展覧会「北欧の神秘」で展示される『工場、ヴァルデマッシュウッデからサルトュークヴァーン製粉工場の眺め』 エウシェン王子(スウェーデン国立美術館)
Photo: Erik Cornelius / Nationalmuseum

『工場、ヴァルデマッシュウッデからサルトュークヴァーン製粉工場の眺め』 エウシェン王子(スウェーデン国立美術館)

エウシェン王子(1865〜1947)は、1887年から1889年にかけてパリへ留学し、スウェーデンのロマン主義を代表する風景画となりました。

本作で描かれているのは、1905年に移り住んだ地から、旧都の古い工場を望む光景。

ストックホルム中心部にほど近い位置にありつつ、田園地帯が残る地域で、写実性よりも個人の感覚の表現を追求しました。

また、このように人工の光に包まれた夜景は、世紀転換期のスウェーデンで繰り返し描かれたモチーフです。


LifTe北欧の暮らし 新宿のSOMPO美術館で3月23日(土)から開催されている、スウェーデン、ノルウェー、フィンランドの国立美術館に協力を仰いだ展覧会「北欧の神秘」で展示される『画家の母』 アクセリ・ガッレン=カッレラ(1896年:スウェーデン国立美術館)
Photo: Bodil Beckman / Nationalmuseum

『画家の母』 アクセリ・ガッレン=カッレラ(1896年:スウェーデン国立美術館)

アクセリ・ガッレン=カッレラ(1865〜1931)は、フィンランドの民族叙事詩『カレワラ』を題材にした作品でよく知られています。

画家の母は、神秘主義や神智学(しんちがく)へ大いに関心を寄せていました。ガッレン=カッレラが自然主義から象徴主義へと転校したのは、彼女の影響が大きいと言われています。

瞑想にふける姿と、その背景にある幻想的な光景が、彼女の思想を視覚的に表現しています。

北欧の絵画にスポットを当てた充実した内容!

LifTe北欧の暮らし 新宿のSOMPO美術館で3月23日(土)から開催されている、スウェーデン、ノルウェー、フィンランドの国立美術館に協力を仰いだ展覧会「北欧の神秘」で展示される『ベランダにて』 エドヴァルド・ムンク(1902年:ノルウェー国立美術館)
Photo: Nasjonalmuseet / Børre Høstland

『ベランダにて』 エドヴァルド・ムンク(1902年:ノルウェー国立美術館)

SOMPO美術館の展覧会「北欧の神秘」は、現地の美術館から協力を得た本格的な展覧会です。

エドヴァルド・ムンクに加えて、森にすむ動物や怪物の登場するおとぎ話の世界を描いたテオドール・キッテルセン、そして19世紀の北欧で最も重要な作家のひとりとしても知られるアウグスト・ストリンドバリの絵画も出品されます。

北欧と聞くと、シンプルで機能的な家具やキッチン雑貨、そして可愛らしいデザインの雑貨や服をイメージする方も多いかもしれませんが、今回の展覧会「北欧の神秘」を通して、北欧の新たな一面に気づくことができるはずです。

「北欧の神秘-ノルウェー・スウェーデン・フィンランドの絵画」オフィシャルサイトはこちら

開催概要

LifTe北欧の暮らし 新宿のSOMPO美術館で3月23日(土)から開催されている、スウェーデン、ノルウェー、フィンランドの国立美術館に協力を仰いだ展覧会「北欧の神秘」で展示される
■展覧会名:「北欧の神秘-ノルウェー・スウェーデン・フィンランドの絵画 The Magic North: Art from Norway, Sweden and Finland」
■会期:2024年3月23日(土)〜6月9日(日)
■会場:SOMPO美術館
■休館日:月曜日(ただし4月29日、5月6日は開館 振替休館無し)
■開館時間:10:00〜18:00(金曜日は20:00まで)
※最終入場は閉館30分前まで
■観覧料(税込):一般 1,600円/大学生 1,100円/高校生以下無料
身体障がい者手帳・療育手帳・精神障がい者保健福祉手帳を提示のご本人とその介助者1名は無料、被爆者健康手帳を提示の方はご本人のみ無料
※購入方法等詳細は美術館ホームページをご確認ください
■主催:SOMPO美術館、NHK、NHKプロモーション、朝日新聞社
■特別協賛:SOMPOホールディングス
■協賛:DNP大日本印刷
■特別協力:スウェーデン国立美術館、フィンランド国立アテネウム美術館、ノルウェー国立美術館、損保ジャパン
■協力:フィンエアー、フィンエアーカーゴ
■後援:スウェーデン大使館、フィンランド大使館、ノルウェー大使館、新宿区
■企画協力:S2
■問い合わせ:050-5541-8600(ハローダイヤル)




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