2014年にフィンランドのヘルシンキで設立された絵本専門の出版会社「Etana Edition(エタナ・エディション)」は、これまで70冊以上の絵本を世に出してきました。
彼らが出版する絵本は、子どもはもちろん大人が読んでもはっとするようなメッセージが込められていて、フィンランドを含め世界各国で支持を集めています。
質の高い絵本を続々と世に送り続けるエタナ・エディションの功績は広く認められ、これまでフィンランドはもちろん、スウェーデンやイタリアでも数々の賞を受賞してきました。
今回紹介するのは、日本で5月末に発売となった『エップのひっこし きいろいおうちのゆかいな人たち(原題:Talo kulman takana)』。
翻訳を、フィンランド在住のテキスタイルデザイナー島塚絵里さんが手がけたことでも話題になった本書の魅力をご紹介♪
『エップのひっこし きいろいおうちのゆかいな人たち』ストーリー
エップは、きいろいおうちの3階へ引越します。
このおうちには誰が住んでるの?
楽しい冒険の始まりです。
カラフルなイラストで眺めているだけで楽しくなる!
本作で大きな特徴となっているのがカラフルなイラスト。赤、黄色、黒、青などの色の他にも、絵本には珍しい蛍光色もふんだんに使用されています。
そのため、どのページをめくってもカラフルで楽しい世界が広がっていて、眺めているだけで楽しいのす。
また、絵のタッチもほのぼのとしているので、ほっこりしながら読み進めることができます。
多様な住人たち フィンランドらしさが根底にある作品
エップが引っ越しをしてきた"きいろいおうち"には、さまざまな住人たちが住んでいます。
ピンクが大好きな双子や、長さや重さを計りたがる家族、家の中が植物だらけの夫婦。そして引きこもっている男性まで、実に多種多様な住人たち。
時々ぶるぶるっと身震いしながらも、どんな住人にも挨拶をしにいいくエップ。気持ちよく部屋に迎え入れてくれる住人もいれば、入らせてくれない住人もいます。
ただ、エップは自分を入れてくれるからいい人、入れてくれないから悪い人などとは思わず、あるがままに住人たちと接していくのです。
このエップの姿は、人は人と違う、いろんな人がいるから個性があるという多様性を受け入れることの大切さを感じさせてくれます。
続きを感じさせる余韻、想像する力を育める
そして、この作品で感じたのは余韻の残し方。これから読む方もいらっしゃると思うので、深くは書けませんが、続きを感じさせる終わり方をしているのです。
そして、作品を読み終えた後も、その想像力をさらに拡げていく仕掛けが隠されています。
カバー裏に仕掛けられたワークショップシート!
本作品のカバー裏を見ると、なんと2種類のワークショップシートが付けられています。
1つは自分だけのドアを描いてみるワークショップ。もう1つは、自分の今の部屋と、住んでみたい部屋を描くワークショップ。
絵本は読んで終わりではなく、そのあとの展開や、それを読んでどう思ったかをお子さまと話すことによって、作品への理解も増し、なにより想像力が育まれます。
多様性を学びながら、読んだ後もワークショップシートを活用しながら想像力を育むことができるのが『エップのひっこし きいろいおうちのゆかいな人たち』。
絵本好きのお子さまはもちろん、読み聞かせが好きなご家庭にもおすすめの作品です♪
「『エップのひっこし きいろいおうちのゆかいな人たち』詳細はこちら」
翻訳はフィンランドで長年活躍する島塚絵里!
『エップのひっこし きいろいおうちのゆかいな人たち』の翻訳を手がけたのは、フィンランドで長年テキスタイルデザイナーとして活躍する島塚絵里さん。
近年は、テキスタイルデザイン制作の他、ジュエリー製作、絵本のイラスト、翻訳などもてがけ活躍の場を拡げています。
島塚絵里 プロフィール
フィンランド在住のテキスタイルデザイナー、イラストレーター。津田塾大学で国際関係学を学び、東京と沖縄で英語教員を勤めた後、フィンランドに移住。アアルト大学でテキスタイルデザインを学び、テクニカルデザイナーとしてマリメッコ社に勤務後、2014年より独立し国内外の企業にデザインを提供する。著書に『北欧フィンランド配色ブック』(玄光社)、『フィンランドで気づいた小さな幸せ365日』(パイ インターナショナル)など。
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