2024年冬の北欧取材12日目・前編。
この日は再びヘルシンキを歩き、地元に根づいた風景をめぐります。
朝は、人気カフェ「ティン・ティン・タンゴ」で朝食を。
その後は、シベリウス公園や湖畔の「カフェ・レガッタ」で焚き火のマッカラを楽しみ、ヘルシンキを一望できる塔もある隠れた観光スポット「オリンピックスタジアム」へ。
👉【2024 北欧旅日記 11日目】ヘルシンキ〈後編〉はこちら
地元に愛されるカフェ「Café Tin Tin Tango(ティン・ティン・タンゴ)」で朝ごはん -MAP①

この日の朝は、宿泊しているアパートメントホテルの1階にあるカフェ「ティン・ティン・タンゴ」へ。
レトロな字体の看板が目印で、ヘルシンキの中心部・トーロー地区で1994年から営業を続けている人気カフェです。
地元の人たちにも長く愛されるこのカフェは、“All Day Breakfast”というモーニングプレートが1日中提供されていることで有名です。

店内は朝から大にぎわい。地元の常連さんから観光客まで、幅広い層が思い思いに朝の時間を過ごしています。
あたたかな照明と木の家具に囲まれた空間は、どこか懐かしさも感じられます。

人気のモーニングプレートは、素朴ながら栄養バランスも抜群。
ライ麦パンやナッツ入りロールパン、ヨーグルトにゆで卵、ハム&チーズと野菜、フルーツにジュースと、フィンランドらしい“しっかり朝ごはん”が楽しめます。
シベリウス公園で、自然とアートと運動にふれる -MAP②

朝食のあとは、トーロー地区にある「シベリウス公園(Sibelius Park)」へ。
ヘルシンキ市民の憩いの場として親しまれるこの公園は、広々とした緑地に岩や木々が点在し、自然の静けさと都市の穏やかな空気が調和する場所です。
公園内の一角に現れるのが、こちらの「シベリウス・モニュメント」。波のようにうねるステンレス製のパイプが集まって、まるで音楽が形になったかのような印象を与えます。
この彫刻は、フィンランドを代表する作曲家ジャン・シベリウス(Jean Sibelius)の功績を称えて制作されたもの。
手がけたのはフィンランドの女性彫刻家エイラ・ヒルトゥネン(Eila Hiltunen)で、1967年に完成しました。600本以上のステンレス製パイプを組み合わせており、その姿はオルガンの音色や森を吹き抜ける風の音を象徴的に表現しています。

公園内には、なんと屋外フィットネス器具も設置されていて、地元の人たちは散歩の途中に立ち寄って体を動かす姿も。
写真の器具は、スウェーデンのブランド「HAGS」による「HEALTH WALKER」。足を前後にスライドさせて、まるで空中を歩くような動きが楽しめます。
他にも、ぶら下がり運動や腕の回旋運動ができる器具など、年齢や体力に合わせて使えるフィットネス設備が複数設置されていて、まるで“屋外ジム”のような充実ぶり。
ヘルシンキの冬の空気を感じながら、身体もリフレッシュ。旅先でちょっとした運動ができるのも、北欧ならではの魅力かもしれません。
焚き火でマッカラを焼く楽しみも。赤い小屋の「Café Regatta(カフェ・レガッタ)」で過ごす冬時間 -MAP③

自然と静けさに包まれた公園でひと息ついたあとは、湖沿いを歩いてもうひとつの人気スポット「カフェ・レガッタ」へ。
向かう途中、冬のフィンランドらしい遊び心ある光景にも出会いました。氷に覆われた入り江で、地元の親子が何やら楽しんでいます。
よく見ると、湖の氷を円形に切り取った部分を、中央の支柱に取り付けた棒でぐるぐると手動で回す“氷上メリーゴーランド”!
回転する氷の上に子どもを乗せて、くるくる回して遊ぶ姿は、シンプルだけどなんとも楽しそう。
フィンランドの冬は寒いけれど、こんなふうに自然の中にある“遊びの知恵”があちこちにあるのが印象的でした。

氷上で遊ぶ親子の姿にほっこりしたあとは、いよいよ「カフェ・レガッタ」へ。
赤い木造の小屋のような建物に、緑の“REGATTA”の文字が映えるこのカフェは、地元の人にも観光客にも長年愛されている名物スポットです。
湖畔にたたずむ赤い小屋が目印。外にはメニュー看板がずらり。冬でもテラス席を楽しむ人の姿もちらほら見かけました。

店内に一歩入ると、アンティークや食器がぎっしり飾られたレトロで温かみのある空間が広がります。カウンター越しに注文を待つ人たちも、どこか楽しそうな雰囲気。
このカフェの魅力は、なんといっても“可愛らしさ”と“ローカル感の絶妙なバランス”。
どこを切り取っても絵になる佇まいに加え、セルフサービスで外に持ち出せるスタイルや、気さくなスタッフの対応が居心地の良さを後押ししています。

店内でのんびり過ごすのも素敵ですが、もうひとつの人気コンテンツが屋外での“Makkara(マッカラ)”体験です。
フィンランドの定番ソーセージ「マッカラ」を自分で焚き火で焼くことができるのです。
店内で注文すると、外の焚き火スペースで焼けるよう準備をしてくれます。
スタッフさんが手際よく薪を組んで着火してくれるので安心。火が安定したら、専用の長いフォークにマッカラを刺して焼いていきます。

じっくりと火を通していくと、表面が香ばしくパリッと焼けてきます。炎を見ながらゆっくり過ごすこの時間こそ、レガッタならではの楽しみ方。

焼き上がったら、お好みでケチャップやフィンランドの定番マスタード「Sinappi(シナッピ)」をオン!
ちょっと甘みと酸味のあるこのマスタードが、香ばしいマッカラと相性抜群なんです。
建築好きも必見!隠れた観光スポット「ヘルシンキ・オリンピックスタジアム」 -MAP④

お腹も心も満たされたあとは、トーロー地区の西側へ少し足を延ばしてみることに。
目指すのは、知る人ぞ知るスポット「ヘルシンキ・オリンピックスタジアム」です。
1952年のオリンピックでメイン会場として使用されたスタジアムで、通常の観光ルートにはあまり出てこないけれど、建築好きや歴史好きには実はおすすめのスポット。
高さ72mのタワーが印象的なスタジアムで、白と黒のコントラスト、緩やかな曲線のフォルムも美しい。
このスタジアムを手がけたのは、フィンランド人建築家のユリョ・リンドグレンとトイヴォ・ヤンッティ。
1930年代の設計当初から「機能美」を追求したデザインで、フィンランド機能主義を代表するモダン建築のひとつとされています。
外観は極限まで装飾を削ぎ落としながらも、スタジアム全体がしなやかな曲線を描き、高くそびえる白いタワーとの対比が印象的。
2020年には大規模な改修も行われ、当時の意匠を大切に残しつつ、現代的な機能が加わっています。

オリンピックスタジアムの象徴ともいえるのが、高さ72メートルの展望タワー。
入場は有料(大人7.5ユーロ)ですが、登ってみるとその価値はしっかり感じられます。
タワーからは、ヘルシンキ市街がぐるりと見渡せるパノラマビュー。
中央駅方面の街並み、バルト海の水平線、遠くの煙突まで視界が開けていて、“冬の北欧の広がり”を実感できる風景が広がっています。

反対側には、スタジアム全体を見下ろせるアングルも。
楕円形にぐるりと囲まれた観客席とトラック、そして冬季でも手入れされたフィールドが真下に見え、まるで建築模型を俯瞰しているような感覚に。
展望エリアは屋外で風も冷たいけれど、「登ってよかった」と思える充実の眺望。
歴史あるスタジアムと、冬の都市風景を一度に味わえる、ちょっと特別なひとときです。

展望タワーのふもとには、オリンピックスタジアム公式のミュージアムショップも併設。
観光地っぽさ全開のお土産ではなく、スタジアムや建築モチーフを活かしたシンプル&実用的なアイテムが並びます。
写真左は、スタジアムの象徴・タワーをデザインに取り入れたコースターや、フィンランドらしいサウナマット。右は、展望タワーをモノクロでプリントしたトートバッグや、スタイリッシュなストラップなど。
主張しすぎない北欧らしいデザインで、“通なヘルシンキ土産”としてもおすすめです。
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