サウナは、ただ汗を流すための場所ではありません。
フィンランドの人々にとってそれは、心と身体を整え、日常のリズムを取り戻すための大切な時間。自然とともに暮らす北欧ならではの価値観が息づく文化でもあります。
そんなフィンランドのサウナ文化を、建築・デザイン・美術・暮らしの視点からひも解く展覧会「フィンランド スピリット サウナ ー建築、デザインからサウナハットまで」が、広島市現代美術館で3月14日(土)から6月28日(日)の期間開催されます。
「フィンランド スピリット サウナ ー建築、デザインからサウナハットまで」展

2000年以上の歴史を持ち、フィンランドの暮らしや文化、精神性と深く結びついてきたサウナ。
本展では、サウナにまつわる歴史や民話、人びとの日常との関わりを通して、フィンランドならではの豊かな暮らしの魅力をひも解きます。
会場では、アルヴァ・アアルトが手掛けた《ムーラッツァロの実験住宅》のサウナ小屋を実寸模型で再現。
さらに、図面や模型、サウナ関連アイテムなど約200点の資料を通じて、サウナ文化を多角的に紹介します。
展覧会のみどころ

アルヴァ・アアルトが設計したサウナ6作品を紹介
フィンランドを代表する建築家・デザイナー、アルヴァ・アアルトは、建築と自然、人の暮らしを調和させるデザイン思想で世界的に知られています。
家具や照明、ガラス作品まで幅広く手がけた彼にとって、サウナは単なる設備ではなく、心と身体を整える“暮らしの中心”ともいえる存在でした。
フィンランド文化に深く根ざしたサウナを、建築空間の一部としてどのように設計し、人々の生活に組み込もうとしたのか——。
本展では、アアルトが設計した6つのサウナを紹介します。
病院で働く人々の癒やしを考えたサナトリウムのサウナ、自然と一体になるように設計された住宅のサウナ、川辺の景観に溶け込むサウナなど、それぞれが異なる役割と物語を持っています。
なかでも注目は、ムーラッツァロの実験住宅(コエタロ)のサウナ。
アアルト自身が建築の実験を重ねた場所として知られ、本展ではこのサウナを実寸模型で再現。空間のスケール感や素材感を体感できる、貴重な展示となっています。
・幻の文化サウナ(ユヴァスキュラ、1925)[実現せず]
・働く人を癒やす、サナトリウムのサウナ(バイミオ、1932)
・母屋と渡り廊下でつながる、マイレア邸のサウナ(ノールマルック、1938)
・川の傍に建つ、ヨキサウナ(カウットゥア、1944–46)
・ムーラッツァロの実験住宅、コエタロのサウナ(ユヴァスキュラ、1952–54)
・暖炉のある部屋のついた、コッコネン邸のサウナ(ヤンヴェンバー、1967–69)
※※コエタロのサウナは、実寸模型で再現
フィンランドサウナのいまとむかしを体感
いつでも無料で観覧できるオープン・プログラム「フィンランドサウナのいまむかし」も同時開催。
空間スケールを体感できる70年代のサウナと現代のサウナを部分再現し、映像資料による小展示や関連書籍の閲覧コーナーも設けられます。
瀬戸内海に浮かぶ江田島のフィンランド式サウナ「NOT BUSY」セレクトによる書籍や、県内のサウナ情報も紹介されます。
展示構成
本展は、フィンランドのサウナ文化を多角的に理解できるよう、テーマごとに分かれた全5章構成で展開されます。
サウナの起源や精神性といった基礎から、歴史、芸術、建築、そしてデザインへと視点を広げながら、フィンランドの暮らしの中でサウナがどのような存在として育まれてきたのかをたどります。
それぞれの章を順に巡ることで、「なぜフィンランドにサウナ文化が深く根づいているのか」を自然と体感できる構成になっています。

第1章 サウナの本質
フィンランドでは、ほぼすべての家庭にサウナが備わっており、その数は推計320万。
人口およそ560万人の国民の59%は、週に1回以上サウナに入るといわれています。
「SAUNA」という言葉自体がフィンランド語であり、千年以上にわたり受け継がれてきた文化は、2020年にユネスコ無形文化遺産にも登録されました。
サウナは単なる習慣ではなく、人々の暮らしと心を支える文化として根づいています。
第2章 サウナの歴史
サウナの起源は明確ではないものの、蒸し風呂による発汗浴は古代から世界各地に存在していました。
フィンランドでは斜面に掘った横穴を利用していたともいわれています。
木造小屋で火を焚く現在に近いスタイルが確立したのは西暦600〜900年頃。
北欧やバルト諸国、ロシアなどにも広まりましたが、特に生活文化として深く根づいたのがフィンランドでした。

第3章 サウナと美術
画家マルッタ・ヴェンデリン(1893–1986)の作品を中心に紹介。
彼女はトゥースラ湖畔の芸術コミュニティで活動し、家庭雑誌『Kotiliesi』の表紙絵などで広く知られています。
サウナを含むフィンランドの日常を描いた作品から、当時の暮らしの温度感が伝わります。

第4章 サウナと建築
フィンランドを代表する建築家アルヴァ・アアルト(1898–1976)は、建築とともにサウナ空間も数多く手掛けました。
彼の事務所では、独立型サウナ29棟(うち23棟実現)、住宅内サウナ48室(うち38室実現)が設計されています。
本章では、建築の中に取り込まれたサウナの思想と空間設計に迫ります。

第5章 サウナとデザイン
フィンランドの人々にとって、サウナは四季を通して自然とつながる場。
ロウリュの音、立ち上る蒸気、木の香り——その体験を支えるのが、丁寧にデザインされた道具たちです。
白樺のヴィヒタ、木製の桶やひしゃく、伝統的なサウナストーブからマグカップ、温度計、サウナハットまで、約130点を展示します。
展覧会カタログ、オリジナルグッズやメニューも充実

【展覧会カタログ】フィンランド スピリット サウナ
■価格:2,600円+税
■仕様:B5変型、188頁
■企画・編集|アルヴァ・アアルト財団、ギャラリー エー クワッド、S2
■装幀・編集デザイン|株式会社D_CODE(垣本正哉、河野素子、堂島徹)
■発行|株式会社国書刊行会

展覧会オリジナルのサウナハット
ミュージアムショップ「339」では、本展オリジナルのサウナハットやタオルを販売。
サウナの精霊トントゥやサウナストーンなど、フィンランド輸入雑貨も会期限定で展開されます。

スモークサーモンのオープンサンド
カフェ「KAZE」では、レギュラーメニューに加え、本展に関連した特別メニューも期間限定で登場します。
※写真はイメージです
フィンランドの人々にとって、サウナは日常の延長にある“特別な時間”。
建築やデザイン、美術、そして暮らしの文化を通して見えてくるのは、心地よさを大切にする北欧ならではの価値観です。
広島にいながら、まるでフィンランドを旅するようにサウナ文化の奥深さに触れられる本展。
サウナが好きな人はもちろん、北欧の暮らしやデザインに惹かれる人にも、きっと新しい発見をもたらしてくれるはずです。
👉「フィンランド スピリット サウナ ー建築、デザインからサウナハットまで」展詳細はこちら
開催概要&アクセス
▪️会期:2026年3月14日(土)〜6月28日(日)
▪️開館時間:10:00〜17:00(入場は閉館の30分前まで)
▪️会場:広島市現代美術館 展示室 B-2、B-3
▪️休館日:月曜日(ただし5月4日は開館)、5月7日(木)
▪️観覧料:一般1,100円(850円)/大学生800円(600円)/高校生・65歳以上550円(400円)/中学生以下無料
※( )内は前売り及び30名以上の団体料金
※本展チケットで同時開催中のコレクション展も観覧可能
※原爆障害者章、身体障害者手帳ほかをお持ちの方と、その介添者は無料
▪️前売券取扱:販売は3/13㊎まで広島市現代美術館受付、オンラインショップ「339」
▪️主催:広島市現代美術館
▪️特別協力:アルヴァ・アアルト財団、公益財団法人ギャラリーエークワッド
▪️後援:フィンランド大使館、フィンランドセンター、広島県、広島市教育委員会、中国新聞社、朝日新聞広島総局、毎日新聞広島支局、読売新聞社広島総局、中国放送、テレビ新広島、広島テレビ、 広島ホームテレビ、広島エフエム放送、尾道エフエム放送
▪️協力:トゥースラ美術館、株式会社メトス
▪️協賛:DNP大日本印刷
▪️企画協力:S2
▪️住所:広島県広島市南区比治山公園1-1
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