皆さんも今まで経験があるであろう「ギフト選び」。受け手のことを考えて色々悩まれると思いますが、悩ませる要因の一つで「かさ」をあげる方も多いかもしれません。
「良いものなのにかさばって持っていけない(贈れない)」
もし、その「かさ」を気にしなくても良いものがあったらどうでしょうか?
今回お届けするインタビューは先日、東京ビッグサイトで開催された「インテリア ライフスタイル」で来日したフィンランド「Be&liv」のクリエイティブデザイナーのJanne uusi-auttiさん。
ーbe&livを立ち上げたのはいつ頃でしょうか?そしてその理由は?
もともとフィンランドの他のデザイン会社に所属をしていて、そこでいろんな商業デザインに関わってきた。フィンランド老舗製菓メーカーのFAZER(「Geisha」というチョコレートがお土産品としても有名)の商品なども手掛けたんだけど、関わったものは、たとえ良いプロダクツになっても、1回でデザインが変わってしまうことが往々にしてある。その時々の流行でデザインが変わってしまうこともあり、そして次の商品が生まれるとまた違うデザインになる。
これは世界各国で起こっている自然の環境なんだろうけど、僕達は永続的に続くデザインを生み出したかったんだ。それで4年前にこのbe&livを仲間と立ち上げることにしたんだ。
|美しく設計されたデザインで生活に「詩」を取り戻す。
ーbe&livのデザインコンセプトを教えてください
「詩」が重要なコンセプトの一つになっている。昔は日常的に「詩」があった。中世には吟遊詩人という職業があったくらいだから、今よりもっと「詩」が身近にあったのは間違いがないこと。
現代はその頃に比べて本当に利便性は高くなったけど、心のゆとり、余裕は非常に少なくなったと感じている。
僕たちがデザインするプロダクトは自然をモチーフにしていて、それに囲まれて生活することによって、自然に目が行き、心が少しても豊かになるような人が増えてくれたらと思っているんだ。
ー確かにbe&livのプロダクツはデザイン性に富んでいますが、デザイナーは何人で創り上げていくのでしょうか?
be&livのデザイナーは主に僕と、Emilia Hönöの2名。そして、その他にフィンランドを代表するデザイナーとコラボレーションして製作しているものもあって、Ilkka SuppanenとAlberto Medaがデザインで関わっているのはそういった理由なんだ。
ーIlkka SuppanenさんはMOMAで展覧会を、Alberto Medaさんは松屋銀座で個展をやっています。
そうだね、彼らのようなデザイナーとプロダクツを生み出せることは、とても光栄だし、これからは若手デザイナーとコラボレーションして様々なプロダクツを生み出したいと思っているよ。
|永くその人と年を重ねられるように
ーそして、be&livが生み出すプロダクツの大きな特徴のもう一つは、パッケージがすごく薄い!これはギフトの贈り手としては重要な部分となると思うのですが。
そう言ってくれると嬉しいよ。ここは僕らもとてもこだわっている部分の一つで、君が言うように、確かに贈るときに物がかさばらないというのはとても重要なことだよね。ただ、もう一方で物を販売する側にとっても大きなメリットなんだ。
ーなるほど、在庫スペースですね。
そう、販売側は常に商品をストックしておかなくてはいけなくて、そのスペースが馬鹿にならない。両者から見て商品を組み立て式にしてパッケージを薄くするというのは大きな利点なんだ。
もちろん、組み立てたあと、片付けたい時は簡単にバラバラにすることもできる。
ーこのアドベントなんか特にそういうニーズは強いですよね
そうだね、やはりクリスマスシーズンは1か月ちょっとだし、それが終わったら片付けなくちゃいけない。しまうスペースは少なくなれば少なくなるほど良い。そうすることによって、また翌年も使うシーンができる。使う人と一緒に永く年を重ねていけるような、そういう想いで創るようにしているんだ。
ーなるほど。ちなみにこの花のような大きな照明もパッケージされると薄いんですか?
そう、これはまさに「花」をイメージして創ったもので、このパッケージももちろん薄いよ(笑)。パッと見ると複雑な形状に見えるけどね。
ーでもこれを組み立てるのはとても大変そうですが・・
そんなことはないんだ。組み立てるときにネジなんかも必要ない。僕らが設計するものはとても緻密に作り上げられているんだよ。
ーそういえば、あなたはエンジニア出身でしたよね?
そう、その頃の経験が今とても役に立っているよ。プロダクツは全て高性能なレーザーで切断していくんだけど、細かいディテール部分はやはりエンジニアとしての経験がとても重要になってくる。
ーでは、あなたはクリエイティブデザイナー&エンジニアということですね?
まあ、そういうことになるね(笑)。
ー今後の展望をお聞かせください
現在、ヨーロッパ諸国以外だと、アメリカや韓国で僕達のプロダクツが販売されるようになっているので、より多くの国々、人々に広げていきたいというのが一番の要望だね。日本というマーケットはプロダクツをしっかり真剣に見てくれる土壌がしっかりできている印象があるので、もちろん日本でも多くの人にbe&livを手に取ってもらえるようになれればすごく嬉しい。
【インタビューを終えて】
デザインで心の豊かさを取り戻す
ファストファッション、ファストフードが世間を席巻する現代は、時代の流行に沿いながら目まぐるしく様相を変化させます。be&livのコンセプトはこの世界観の真逆に位置をしています。
Janne Uusi-Auttiさんが語った「詩」というキーワード。
「詩」という言葉を紐解くと、英語のpoetryやpoem、フランス語のpoésieやpoèmeなどの語は、「作ること」を意味するギリシア語ποίησις (poiesis)に由来し、技術を以て作り出された言葉を意味しているそうです。
詩を含んだ文学、そしてさらにそれを内包する芸術という領域で見ると、良いものは語り継がれていきますし、後世まで残っていきます。Janne Uusi-Auttiさんは後世まで永く使われるようにという想いと、高い技術で作り出されるbe&livのプロダクツをこの「詩」という言葉に託し、表現しています。
この日本でも近い将来、be&livのプロダクツが、人々の生活に溶け込み、永く使われ、そして、人々の心の豊かさを取り戻す一助になるかもしれません。
コメント
この記事へのトラックバックはありません。
この記事へのコメントはありません。