交通網の発達で地方の路線が廃線になるという話はみなさんも聞いたことがあるのではないでしょうか。今回ご紹介するのは、その危機を様々なアイデアで乗り切った、あるローカル路線の話。しかもそのアイディアの一つに北欧のキャラクターが使われています。
|千葉の房総に出現した「ムーミン列車」
今回話のメインになるのは千葉の房総を走るローカル路線「いすみ鉄道」。上総中野(かずさなかの)駅から、大原(おおはら)駅までの、全長26.8キロメートルのこの路線は、長年赤字続きで廃線の憂き目を見た路線でしたが、2009年に公募で当選し、代表取締役社長に就任した島塚亮さんが打ち出した様々なアイデアで現状を打破していきます。
そのアイデアのひとつが「ムーミン列車」でした。
いすみ鉄道が走る千葉の内陸部から海までのエリアは手つかずの自然がまだ残るエリアとしても知られ、春には様々な花が咲き誇ります。その環境とムーミン谷を重ねた島塚さんが打ち出したのがムーミン列車で、2009年10月から運行が開始されます。
特にこの春の時期は、菜の花が咲き乱れる中ムーミン列車が走るということもあり、いすみ鉄道に多くの人々が集まる時期。ということで、実際にいすみ鉄道に行ってきました!
|手作り感がほっこりする
まず訪れたのは「国吉駅」。もうのっけから手作り感溢れる看板でほっこりしてしまいます。
引き戸を開けて駅舎に入ってまず目に入ったのは、ムーミンの姿ではなく、昼寝をしている猫!間違いなくこの猫専用のクッションであろうものに、丸まって幸せそうに昼寝をしていて、多少の物音でも目を覚ましません(笑)。
ホームに出てみると様々な箇所でムーミンとその仲間達を発見することができます。ホームの駅看板はただの国吉駅ではなく、「風そよぐ谷国吉駅」と表現されていて、ムーミンの世界観を上手く演出しています。
この国吉駅には、「ムーミンショップ Valley Winds」も併設されていて、電車の待ち時間にじっくりショッピンも可能、しかもいすみ鉄道とのコラボ商品も置いてあり、ムーミンファンには見逃せない場所。
でも国吉駅のハイライトと言ったら、ここ。
線路を渡った箇所にある「風そよぐひろば」と名付けられた場所。広めの敷地に置かれているのは、これも手作り感溢れるムーミンや、ムーミン谷に登場しそうな建物。ムーミンファンも楽しめるでしょうが、小さいお子様も楽しく時間が過ごせる場所です。
その後お目当てのムーミン列車に乗り「大多喜(おおたき)駅」へ!車内は平日の昼間にも関わらず、地元の学生、そして観光客で大賑わい。観光と地元の足としてしっかり活躍をしている印象を持ちます。
今回は時間の関係で2駅しか訪問ができませんでしたが、見所は本当に沢山あります!
|スタンプラリーだけじゃない!ムーミン列車の楽しみ方
まずお勧めしたいのはこのスタンプラリー。通常電鉄で行われるスタンプラリーと異なるのは、スタンプを押せる場所が駅以外にもあるということ。駅以外、つまり列車にスタンプ台が設置されています。
いすみ鉄道内のムーミン列車は全部で6両あり、しかもそれぞれに違うスタンプが設置されているので、全部コンプリートするためには6両すべての列車に乗らなくてはいけないという、少々ハードルが高いスタンプラリー。でも集めたときの感動もまた一入でしょう。
その他にも、電車に乗っている際にある鉄橋でムーミンが釣りをしていたり、「スナフキンの池」と名付けられた池では、スナフキンとリトルミィが釣りを楽しむ姿を見ることができます。
|ムーミン列車を満喫するための注意点
ということで、ムーミンファンであれば間違いなく楽しめるいすみ鉄道ですが、気をつけなくてはいけないことが2つ。
まず先ほども触れましたが、ムーミン列車は6両あるのですが、毎回必ずムーミン列車というわけではないということ。これは当日の運行スケジュールに左右されるものなので、絶対ムーミン列車に乗りたいという方は、気長に待つか、その都度駅員さんに確認してみることをお勧めします。
そして次にいすみ鉄道の運行が1時間に1本程度ということ。こちらも行く際に時刻表を確認してから訪れることをお勧めします。
|多くの人に支えられている いすみ鉄道
今回感じたのは、本当に多くの人に支えられている、そして愛されている鉄道だということ。例えば線路の脇に生える菜の花も、地元のボランティアの方々が整備をされているという話や、枕木のオーナー制度でも沢山のプレートを国吉駅で見ることができました。アイデアを出して実行して行ったのは確かに島塚さんなのでしょうが、それを支持して支える人たちが多くいないと成り立たない世界です。今回訪れたいすみ鉄道では、存分にその支えを感じることができました。
この春は菜の花、そして桜に包まれながらムーミン達と一緒に過ごすのはいかがでしょうか?
©moomin characters TM
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