フィンランドにとっての雪 そして11月の関係性

今年は日本でも日本海側を中心に豪雪で様々なニュースで取り上げられました。雪はロマンティックな印象を与えることもありますが、深刻な被害を呼ぶこともあります。

今回はその雪をフィンランドの人がどう思っているかというお話。



朝が来るのは遅いし、夜が来るのは早い

フィンランドに降り立ったのは雪シーズン真っ盛りの時期。ヴァンター空港を降りて一面真っ白の風景を見て、「あ、フィンランドに来たんだな」と感じたことを覚えています。

LifTe ヘルシンキ中央駅
ヘルシンキ市街地も雪に包まれていて、スーツケースが思うように進まず宿泊地まで結構難儀をしながら移動しました。

夕方16時を過ぎると暗くなりだすし、朝7時に起きてもあたりは真っ暗長い冬を家の中でどう楽しめるか、その考えがフィンランドデザインを作り上げていった一つの要素というのも腑に落ちました。

その日稀に見るほどの豪雪というか吹雪。文字どおり雪が顔にぶつかってくるイメージで、トラムが運休するという状態。当日の様子はこちら。

その時びっくりしたのが、誰もトラムの停留所で文句を言わない、目的地まで黙々と歩く姿。

諦めなのか、いつものことなのかそこまでは分かりませんでしたが、静かにひたすら足を一歩ずつ前に進める彼らの後ろ姿は、ある種畏敬の念を覚えました。

街ではフィンランド語が溢れる

そんな雪の中街を歩いていて感じたのは、当然といえば当然なのですが、フィンランド語の多さ。

話をすると英語ができる方がとても多い印象を受けますが、看板や案内などの表記は基本フィンランド語、あってもスウェーデン語(フィンランドの公用語はフィンランド語とスウェーデン語)。

LifTe ヘルシンキショップ

お店の入り口などでは日本で言うところの「月~金 10:00~19:00」の表記もあるのですが、ぱっと見全然わからない。調べてみると曜日の名前に意味があることがわかりました。

例えば「火曜日」は「tiistai(ティースタイ)」と言うのですが、北欧神話のチュール(オーディーンの息子)から来ていて、「土曜日」は「lauantai(ラウアンタイ)」と読み「入浴の日」という意味。

違和感が残る11月

そうなってくると興味が出てくるのは「月」の話。調べてみるとやはりそれぞれの月に意味合いが込められている。

例えば「2月」は「helmikuu(ヘルミクー)」と読み「氷の真珠ができる月」とか「水滴も凍る厳冬期」という意味合いがあり、「10月」は「lokakuu(ロカクー)」と読み、「泥んこの月」という意味が込められています。
※「helmi」は真珠、「loka」は泥の汚れという意味がそれぞれあります

その中で違和感を覚えたのが「11月」。

基本的にフィンランドの月は自然、農作業をイメージした意味合いがそれぞれ付けられているのですが、11月は「marraskuu(マッラスクー)」と読まれ、「死者の月」という意味になります。

翌月がクリスマスということで、その前の月に死者を尊ぶというか、慰霊する、日本のお盆などを指す意味なのかなとその時は考えていました。

フィンランド人男性から聞いた意外な答え

LifTe ヘルシンキ市街 夜

その後、あるフィンランド人の男性と会い意気投合して、フィンランドの疑問を色々と彼に投げたことがありました。そのうちの一つが「好きな季節の順番」の質問。

当然彼はまず夏といい、そしてその次、もしくは同じくらいに「冬」が好きと答えます。

正直自分にとって雪は移動も辛いし、建物はいるときに雪を払うのも大変だしマイナスなイメージしかなかったのであまりにも意外だったのですが、彼は続けます。

「雪が景色を明るくしてくれるから、雪は僕にとって必要なんだ」。

その言葉で世界観が変わりました。確かにその通りなのです。帳が下りるのは早いのですが、この時期街を歩いていても暗い印象はありません。夜中でも安心して歩けるのは国全体の安全さもありますが、雪が夜の景色を明るくしてくることも大きな要素なのです。

僕が勝手に思っていた「雪=マイナス」なイメージは、こうして脆くも崩れ去りました。この感覚は雪の多いエリアに住んでいる方々は北欧に関わらず持っているイメージかもしれませんが、僕にとってはまさに目からウロコ状態。

ちなみに彼が嫌いな季節は「秋」特に10月11月が嫌いで、その理由は「雪がないから」。その季節雨が多く、日も短くなり夜になると本当に暗くなり、気分が落ち込むそうです。最後に彼はこう言いました。

「だから11月の呼び名は「marraskuu(マッラスクー)」(死者の月)って言うだろ」。

そんな話を聞いて、フィンランドの雪がちょっと好きになりました。

LifTe ユヴァスキュラ 雪

追記:この話はあくまで僕が知り合ったフィンランド人男性から聞いた話なので、もちろん全てのフィンランド人がそう思っているという訳ではありません。でもこう捉えると雪への概念が少し変わってきませんか?

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コメント

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  • コメント (1)

    • Hitoshi OHSATO
    • 2018年 11月 11日

    フィンランドに住んで3年、多くの人が英語を話しますが、看板灯はほとんどフィンランド語。車を運転するので、地名くらいは読めるようにと、数日のフィンランド語入門クラスに入りました。アルファベット一つ一つに読み方があって、単語のそれを一つづつ読んで行くのが基本だと云うことを知りました。例えば、Helsinkiはヘルシンキ。英語のように多様な読み方はありませんので、日本人にとっては読みやすいと思います。日本語に似た点が多々あります。冠詞がない。性がない、未来形がない。単語が繋がる:本(Kirja)+店(kauppa)= 本屋(kirjakauppa);幾つか単語が繋がって長くなる:21(kaksikymmentäyksi)= 2(kaksi)+ 10(kymmenen) + 1(yksi)。日本語は一文全部繋がりますよね。日本語に似た韓国語は単語の間にスペースが入るので、韓国人からなぜスペースを入れずにつなげるのかと聞かれたことがあります。
    冬:夜が長くて(極夜)暗いと云うイメージが日本人にはありますが、フィンランド人は日没後も活発に動いています。犬の散歩に出かける人をショチュー見かけます。街路灯がどこもかしこも点いていて暗さを感じません。それにクロスカントリースキーが市内で出来ます。歩道が車道から分離されていて、立体交差していますので、信号もなく何キロメートルのコースがあります(フィンランド・オウル市)。でっかい雪の山を作って、スノーモービルで空中飛行のスポーツランドが有ったり、氷上で滑ったり・魚釣りをしたり人々は雪の生活を楽しんでいます。

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