【お勧めBOOK】幸せとは何か 椎名誠(著)「アイスランド」

|椎名誠作品との出会い

僕が椎名誠さんの作品に触れたのは、高校生の時。当時クラスにいた男友達に勧められたのがきっかけでした。彼は、いつも僕を含めた男連中でふざけていた人間で、例えば、当時まだ珍しくなかった電話ボックスに何人入れるかとか、どうやって授業中に脱走を図るかとか、今考えると馬鹿だなぁと思える事をよくやっていたのですが、それの発案者が彼だったことが多かった。その彼が教えてくれたのが、椎名誠さんの「哀愁の街に霧が降るのだ」でした。

この作品は、椎名誠さんの自伝的小説と良く位置付けられていて、椎名誠さんを含む男4人の共同生活を描いています。詳細は割愛しますが、僕の心に響いたのが冒頭の1章、2章。1章目のタイトルは「話はなかなか始まらない」、そして第2章は「まだ話は始まらない」。そう、なかなか本編に入らないのです。2章というページ数を割いてもなかなか本編に入らない、特殊な構造ですが、読み手を飽きさせないのは、椎名誠さんの文章力に寄るもの。作品全体も椎名誠節が炸裂していて、読了感も素晴らしい。というわけで、彼の作品を色々読んできたのですが、今回皆さんにお勧めしたいのは、この本。

|椎名誠が訪れて書き綴るアイスランド

LifTe 北欧の暮らし 椎名誠 アイスランド ナショナルジオグラフィック
タイトルは「アイスランド 絶景と幸福の国へ」。発行は2015年ということで3年前ですが、既に当時アイスランドは国連の世界幸福度ランキングで上位に位置していて、観光立国としても世界的に注目を浴びていました。本書は、椎名誠さんがアイスランドの雄大な自然、そしてそこで暮らす人々の生活に触れ、アイスランド国民が感じる幸福度の現実を探りに行く紀行誌になっています。
一言でいうと素晴らしい本でした。

出版は、あのナショナルジオグラフィック社

LifTe 北欧の暮らし 椎名誠 アイスランド ナショナルジオグラフィック 火山

今回のアイスランド紀行誌のテーマの一つにもなっている風景。本作品は単行本サイズで、巻頭、巻末にカラー写真が多く掲載されています。どれも息を飲む美しさ。それもそのはずで、発行はあのナショナルジオグラフィック社。全世界180カ国で発刊されていて、地球の今を掘り下げるビジュアル月刊誌で、ハッとさせるような写真と、深く考察されたレポートで構成された雑誌は、誰しもが一度は目にしたことがあるはずです。

本文を読んで、写真を眺めると、また本文を読み返したくなる。そんな魅力がこの本にはありました。

椎名誠節健在

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そして、やはりこの本の魅力は椎名誠節。出だしは、アイスランドに向かうところから始まります。飛行機内でのエピソードや、トランジットでのエピソードもあります。いきなり「アイスランドに降り立った」から始まらないのが椎名誠さんらしく、その様々なエピソードの中にも、過去訪れた国の話がどんどん放り込まれます。椎名誠さんが持ち出す本線から逸れるエピソード、いわゆる脱線話が実に面白い。実に数多くの国を訪問している彼ならではの視点で、一つの事象を多面的に捉えることができるのです。

また、自然を表現する手腕にも長けているのも魅力的。文章で自然を描写することはとても難しく、写真やイラストに頼ってしまうことの方が簡単な時もあります。それを飄々とやってのけてしまうのが椎名誠さんの凄さ。アイスランドが誇る、滝、火山の表現はもちろん、フィヨルドを手になぞって表現する手法は流石の一言。

|椎名誠が思う幸福とは

LifTe 北欧の暮らし 椎名誠 アイスランド ナショナルジオグラフィック アイスランドシープ

この取材旅行は3週間の旅だったといいます。首都レイキャビクから始まりアイスランドの北西部を中心に回る旅。今回特に面白かったのは、生活をしている普通の人々への取材も多く行っている点。長年アイスランドで暮らす人々と実際に話をし、食卓を囲み、アイスランドの国民が本当に幸福を感じているのかを掘り下げて行きます。彼が出した結論は、ここで書くと、皆さんが本書を楽しく読む機会を奪ってしまうので触れることはできないですが、今まで彼が旅をしてきた国の様々なシーンと重ねながらアイスランドの幸福を考察した結論の説得力はとても強いものを感じました。

いまの日本社会は暗く、幸福を感じることはとても少ないという人が多いですが、そんな人達に是非手に取ってもらいたい本。もちろん紀行誌としてのクオリティも高いので、アイスランドに興味があったり、訪れたことがある方にも是非オススメです。

椎名誠(著)「アイスランド 絶景と幸福の国へ」

|補足 ひるねこBOOKS

LifTe 北欧の暮らし ひるねこBOOKS

この本に出会ったのは、谷中にある「ひるねこBOOKS」さん。この本屋さん、お店の名前が指し示す通り猫の本をはじめとして、絵本・児童書、衣食住など暮らしの本、アート本の古書、新書を取り扱っているのですが、北欧関連の本も充実しているのが面白い。特に、店内に入って右奥には北欧コーナーがあり、古典から紀行誌も多く取り揃えています。僕がここに訪れた時目に入ったのが、本作品でした。実はこの時、北欧関連の本をもう1冊購入しているので、また次の機会に紹介しようと思っています。お店の方も気さくに色々と話をしてくれるので、コミュニケーションを取りながら掘り出し物を探すことを是非オススメします。

「ひるねこBOOKS」アクセス

住所: 東京都台東区谷中2-1-14-101
電話: 070-3107-6169
営業時間:11:00~20:00
定休日:火曜日
ひるねこBOOKSオフィシャルサイト

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