【北欧イベント】志娥慶香のピアノで体感するフィンランドの風景

ヘルシンキには見所がたくさんあります。自家焙煎を行なっているこだわりのカフェや、外観内装に圧倒される図書館、洗練されたデザインショップ、雑貨巡り、コミュニケーションの場にもなっているマーケットなどなど。そこに1つリストで入れておきたいのが教会巡り。以前にLifTeでも紹介した静寂の礼拝堂とも言われる「カンピ教会」の他にも、光の教会「ミュールマキ教会」、そして必ずガイドブックに掲載されている岩の教会と言われる「テンペリアウキオ教会」も必見です。

※静寂の礼拝堂「カンピ教会」を紹介した記事はこちら

|岩の教会 テンペリアウキオ教会

LifTe 北欧の暮らし テンペリアウキオ教会
このテンペリアウキオ教会は、外観からも分かるように、岩をくりぬいて作られています。内観はさらに素晴らしく、むき出しの岩、光を取り込むためのガラス、そして銅で構成されています。この教会が建設されたのは1969年のこと。実に70年の月日が経過していますが、銅の変色具合と、岩の色味がマッチしていて荘厳な雰囲気をもたらします。

テンペリアウキオ教会が持つ、もう一つの顔

LifTe 北欧の暮らし テンペリアウキオ教会 内部
そして、この教会の特色がもう一つ。それは「音響」。岩の凹凸、ガラス、そして銅が微妙なバランスをとることによって、コンサートホールに匹敵するほど豊かな音響を誇るため、コンサートも多く開催されています。

この教会で日本人ピアニストがリサイタルをしたことがあるのをご存知でしょうか?

|ピアニスト 志娥慶香(しが けいこ)とフィンランド

LifTe 北欧の暮らし 志娥慶香

©️Jun Inadome

志娥さんは、熊本県をベースに置く作曲家・ピアニスト。3歳から音楽教室に通い、作曲を始めたのは6歳(!)から。その後も様々な楽器を演奏しながら音楽に馴れ親しみ、2001年から音楽家としての活動を始めた彼女に転機が訪れたのは2016年のこと。ヘルシンキから電車で北西に3時間程行った場所のハルヤヴァルタと言う街にある、エーミル・セーデルクロイツィ美術館で開催された、日本・フィンランド国際美術展「Realism of Movement Exhibition」で、現地のアーティストとコラボレーションをすることになったのです。これは、出展するアーティストから声がかかって実現したそうですが、幼少の頃から北の寒い国への憧れがあったこともあり、フィンランドのことは、ほとんど何も知らない状況で引き受けました。

心を奪われた雄大な自然

LifTe 北欧の暮らし 志娥慶香 川 氷

©️Zen Kono

初めてフィンランドに志娥さんが降り立ったのは3月。フィンランドではもうすぐ春の声が聞こえてきそうな頃。拠点となったハルヤヴァルタは、ヘルシンキとは比較にならないほど雄大な自然が色濃くあるエリアで、志娥さんが、まず衝撃を受けたのは風の音。
「極寒の薄青い朝、凍った川の上を烈風が走った瞬間のゴォーッという今まで耳にしたことのない重々しい低音は、まるでシベリウスの交響曲のようでした。この地だからこそ生まれた出た音楽の源と遭遇したかのようで魂が揺さぶられました」と当時の記憶を志娥さんは語ります。

繋がっていく縁、芸術を愛でる姿勢

LifTe 北欧の暮らし 志娥慶香 風景
フィンランドでの演奏は、志娥さんの想像以上の反響があり、縁が繋がって行き、2017年、2018年、フィンランドの様々な場所で演奏を行いました。そしてもう一つ志娥さんがフィンランドで感動したことがありました。

それは、人々の芸術に対する姿勢。

フィンランドの人々は、芸術に対して真摯に向き合い、そして寛容です。例えばレストランで開催されるジャズライブを聴く姿勢、小さな街のギャラリーで開催される展覧会に足を運ぶ老若男女の姿、僕も実際現地で彼らの芸術に対する姿勢を体験しました。国籍など関係なく良いものは素直に評価する。こう行った姿勢は多くのフィンランド人が持っている基本の感覚のような気がします。そして芸術が生活に身近というのもフィンランドの良さの1つ。
LifTe 北欧の暮らし 志娥慶香 湖
志娥さんも、自身がフィンランドでの体験をこう表現します。
「日本から来た名前も知らない作曲家の曲を興味を持って聞いてくださって、日本に想いを馳せてくれたり、時には涙を流し、音楽や芸術を愛するフィンランドの人々のあたたかい心にも触れ感激しました。翌年からはコンサートを企画してくださったり、新聞に掲載されたり、毎年なん度も演奏を聴きにくださったりと、いつでもウェルカムに接してくださるのが嬉しかったです。教会や集会所にはどこでもピアノがあり、讃美歌を歌ったり、合唱団がたくさんあったりして、音楽が身近にある国なんだなぁと実感しました」。

フィンランドの自然にインスピレーションを受ける

LifTe 北欧の暮らし 志娥慶香 作曲風景
志娥さんが作曲する際にインスピレーションを受ける場所は「自然」。日本でも自然を肌身に感じることによって創作意欲が湧くそうで、自然に溢れたフィンランドでも志娥さんは作曲を行いました。志娥さんがフィンランドに訪れた時期は3月中旬のまだ寒い時期、7月中旬、そして8月初旬の真夏の3回。どの時期も変わった表情を持つフィンランドの自然は、志娥さんにとって最高の作曲の場所となりました。

|志娥慶香ピアノリサイタル〜北欧・フィンランドの風景@熊本市健軍文化ホール

LifTe 北欧の暮らし 志娥慶香 ピアノリサイタル チラシ
志娥さんがフィンランドで書き綴った曲を中心としたピアノリサイタルが、熊本市健軍文化ホールで2月27日(水)に開催されます。

今回のピアノリサイタルは2部構成で、第1部は志娥さんがフィンランドの自然を体験して創り上げた曲が中心。第2部では趣向を変え、フィンランド民謡を志娥さんとピアノデュオを結成している杉本ゆみさんと共に演奏します。

元々民謡や民族音楽に関心が強い志娥さんは、フィンランドでも多くのフィンランド民謡に触れ、語り継がれている民謡が持つ、素朴さ、そして美しいメロディーに感動し、今回演奏することを決めたそうです。

第2部の最後には、フィンランドで最も有名な曲とも言われる「フィンランディア賛歌」も演奏されます。ジャン・シベリウスが作曲したこの曲は、フィンランド第二の国歌とも呼ばれるもので、ロシアから独立を勝ち取る際の国民を鼓舞したという存在で、いまでもフィンランドの主要なリサイタルでは最後に演奏されるほどフィンランドの人々にとって大切な曲。今回のフィンランディア賛歌演奏に関して志娥さんは、「日本・フィンランド外交関係樹立100周年を記念し、今回は特別なアレンジをした演奏で日本とフィンランドをつなげます」と想いを寄せます。
LifTe 北欧の暮らし 志娥慶香 テンペリアウキオ 演奏 リサイタル
2018年の夏に冒頭で紹介したテンペリアウキオ教会で演奏した志娥さんの演奏は、「繊細で、まるで風景画のような音楽」と評されたそうです。今回もきっとフィンランドの風景が目の前に広がるような演奏になるはずです。

志娥慶香オフィシャルサイト(本リサイタルの詳細もこちらでご確認できます)

|アクセス

【志娥慶香ピアノリサイタル〜北欧・フィンランドの風景】
会期:2019年2月27日(水)
時間:18:30開場 19:00開演
会場:熊本市健軍文化ホール
入館料:前売一般 2,000円/高校生以下 1,500円
当日一般 2,500円/高校生以下 2,000円
※全席自由席(未就学児の入場不可)
※前売が完売の場合、当日券の発売無し
チケット販売窓口:熊本市健軍文化ホール TEL 096-368-1221
熊日プレイガイド びぷれす店 TEL 096-327-2278
チケット予約と催事に関する問合せ:TEL 096−273−4362(担当:上田)

住所:熊本県熊本市東区若葉3-5-11




関連記事

コメント

  • トラックバックは利用できません。

  • コメント (0)

  1. この記事へのコメントはありません。

Translate

sponsored

sponsored

ページ上部へ戻る