“パパが女性になった”家族の物語 デンマーク映画『パーフェクト・ノーマル・ファミリー』絶賛公開中

LifTe 北欧の暮らし デンマーク 映画 シネマ パーフェクトノーマルファミリー a perfect normal family
「突然告げられた両親の離婚、そして、パパは女性になったー」

印象的なキャッチコピーのデンマーク映画『パーフェクト・ノーマル・ファミリー』。デンマーク・アカデミー賞で9部門にノミネートされ、メイクアップ賞、児童青少年映画賞を受賞。ロッテルダム国際映画祭では、一般の映画ファンから選ばれた審査員によってアワードを選出する"Big Screen Competition Award"で受賞しました。

現在新宿シネマカリテ他全国ロードショー中の本作『パーフェクト・ノーマル・ファミリー』の魅力をご紹介します。

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ストーリー

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デンマークののどかな郊外で暮らすエマ(カヤ・トフト・ローホルト)は、地元のサッカークラブに所属する快活な11歳の女の子。父親のトマス(ミケル・ボー・フルスゴー)、母親のヘレ(ニール・ランホルト)、姉のカロリーネ(リーモア・ランテ)とも仲良しなエマは、毎日をのびのびと過ごしていた。
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ある日突然、そんなエマの穏やかで幸せな日常が一変した。家族4人が勢揃いした食事時に、両親から離婚すると告げられたのだ。一瞬にして凍りついたように固まったエマは、ヘレの説明によってさらなる衝撃に見舞われた。「離婚の理由は、パパが女性になりたいから」。

以前から自分が女性なのではないかと感じていたトマスは、今後の人生を女性として生きる決意をし、すでに病院でホルモン治療を受けているという。「それなら、どうして子供を作ったの?」。エマにはパパの気持ちがまったく理解できなかった。
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まだあどけないエマとカロリーネが家族内に巻き起こった"急激な変化"に適応するために、クリニックでセラピーセッションの場がもうけられた。しかし未だに頭の中が混乱しているエマは、顔をマフラーでぐるぐる巻きにしてトマスとの対面を拒絶する。すると、トマスは「心からお前たちを愛してる……今後はアウネーテと呼んでほしい」と娘たちに語りかける。

ずっと黙りこくっていたエマは、別れ際に自らマフラーを取り払い、見た目もすっかり女性らしくなったパパと1対1で向かい合う。「これからもパパでいてくれる?」「約束する」。

『パーフェクト・ノーマル・ファミリー』見どころ

エマの心情的な揺れ動きを通してトランスジェンダーを知る

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突然の父親の告白を受け止めることができない主人公。母や姉がうまく気持ちの整理をして行く中で、自分だけ受け止めたくても拒絶してしまう。

少しずつ女性として生きていく決断をした父親を認めていこうとするが、何かの拍子にまた拒絶する本心が出てしまう。認めたいけど認めたくない、でも認められるようになりたいという複雑な揺れ動いて行く気持ちが本当に細かく描かれます。

日本でも少しずつトランスジェンダーに関しての話を目にするようになってきましたが、まだ社会的認知度で考えると北欧よりだいぶ遅れています。

エマの視線、気持ち、そして父親の姿を通して、トランスジェンダーに関して知識を深めることができます。

監督自身の体験が作品の深みを作り出す

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このエマが体験した葛藤、そして心の成長を丁寧に細かく描ききれた理由の1つに、今回長編監督デビューとなったマルー・ライマンにあります。

『パーフェクト・ノーマル・ファミリー』は、彼女の幼い時に体験したストーリーが反映されています。彼女は、本作品に関してこのようなコメントを寄せています。

「この映画を治療(セラピー)のような役割として作ったわけではありません。自分のために製作したのではなく、誰かに共感してもらえるようなストーリーを伝えたいのです。若い頃は、誰もがある程度は普通であろうとするものです。そして、本当の自分は何者なのかと自問自答し、最終的には自分探しの旅に出るのです。『パーフェクト・ノーマル・ファミリー』は、エマの旅であり、そして同時にエマの父親であるアウネーテの旅でもあります。彼らは、真の自分自身へと生まれ変わったことを受け入れる必要があるのです」。

普通とは何か

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本作品を通して考えさせられるのが「普通とは何か」。

自分の普通が、他人の普通ではない。自分にとって当たり前のことが、他の人にとっては当たり前じゃない。

それを受け入れるのか、拒絶するのか。これはトランスジェンダーに関わるものだけではなく、様々なシチュエーションで私たちの生活に起こり得ます。

相手を拒絶してしまうのは、実は簡単なことで、受け入れることの方がパワーがかかり大変なことです。エマも、アウネーテも、お互いを受け入れるために葛藤し、それぞれの答えを見出していきます。その葛藤が観ていて苦しくもなるのですが、葛藤から逃げずに、お互いに向き合う姿勢は心を打たれます。

監督が語るように『パーフェクト・ノーマル・ファミリー』は、エマ、そして父親のアウネーテの心の旅です。そして、作品を観終えた時、作品のタイトルの本当の意味が分かる、そんな素敵な作品です。

『パーフェクト・ノーマル・ファミリー』予告編

キャスト・スタッフ

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【キャスト】
エマ:カヤ・トフト・ローホルト
トマス/アウネーテ:ミケル・ボー・フルスゴー
カロリーネ:リーモア・ランテ
ヘレ:ニール・ランホルト
ナヤ:ジェシカ・ディネジ
ペトラ:ハデヴィヒ・ミニス

【スタッフ】
脚本&監督:マルー・ライマン
プロデューサー:マティルダ・アペリン、ルネ・エズラ
製作総指揮:ヘンリク・ツェイン
撮影監督:スヴェア・サアデール
美術:サビーネ・ヴィーズ クリスティーナ・コヴァクス
衣装:カミラ・ノアビェア
メイク:ヘンリク・スティーン
編集:イーダ・ブライニンゲ
音響:トマス・アーント・ハンス、クレスチャン・アーント・トープ

2020/デンマーク/デンマーク語・英語/ビスタ/カラー/5.1ch/97 分/PG12
原題:EN HELT ALMINDELIG FAMILIE 英題:A PERFECTLY NORMAL FAMILY
日本語字幕:中沢志乃 後援:デンマーク王国大使館 配給・宣伝:エスパース・サロウ
© 2019 NORDISK FILM PRODUCTION A/S

12月24日(金)、新宿シネマカリテほか全国順次公開

『パーフェクト・ノーマル・ファミリー』オフィシャルサイトはこちら

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