2024年冬の北欧取材11日目・前編。
朝はヘルシンキ・トーロー地区にある人気ベーカリー「LAYERS(レイヤーズ)」の。焼きたてのシナモンロールやデニッシュでスタート。
その後は、骨格標本やリアルに再現された動物展示を通して、動物たちの姿をじっくり観察できる「ヘルシンキ自然史博物館」へ。
👉【2024 北欧旅日記 10日目】タンペレ→ヘルシンキ<後編>はこちら
ヘルシンキの人気ベーカリー「LAYERS(レイヤーズ)」で、香り高い北欧の朝を -MAP①

11日目の朝は、ヘルシンキ・トーロー地区にある人気ベーカリー「レイヤーズ」へ。
大きな“BAKERY”のサインと、外からも見えるおいしそうなペイストリーに吸い寄せられるように入店。
ショーケースには焼きたてのシナモンロールやクロワッサン、デニッシュがずらりと並び、どれにしようか迷ってしまうほど。

この日選んだのは、見た目からして心が躍る、シナモンロールとデニッシュ。
シナモンロールは、ひねるように編み込まれたスウェーデン式のタイプ。フィンランドのシナモンロールが“つぶれた耳”のような形なのに対し、こちらはスウェーデンらしい美しいねじり成形。
シナモンとバターが香る生地は、表面が香ばしく、中はしっとりもっちり。ひと口食べるたびに、北欧のベーカリー文化の奥深さを感じる味わい。
もうひとつは、チョコレートを包み込んだサクサクのデニッシュ生地に、オレンジの砂糖漬けスライスをトッピングした一品。
濃厚なチョコと爽やかな柑橘の組み合わせは、甘すぎず朝にぴったり。
圧倒的な完成度!フィンランドの自然・生命・文化を体感できる「ヘルシンキ自然史博物館」 -MAP②

朝のパンでお腹を満たしたあとは、徒歩で「ヘルシンキ自然史博物館」へ。
到着してまず驚いたのは、その外観。建物のバルコニーには熊、入口の上にはフクロウ。まるで「ここは動物園?」と錯覚してしまうほど、存在感のある動物たちが迎えてくれる。
実はここ、ヘルシンキ大学が運営する本格的な自然史博物館。1900年代初頭に建てられたこのクラシックな建物は、動物学、植物学、地質学などを網羅する、フィンランドでも有数の“自然を学べる場所”なんです。

最初に訪れたのは、「LUUT KERTOVAT(骨が語る)」という展示室。
目の前に現れたのは、まるで生きているかのような虎の標本。そのすぐ横には、まったく同じポーズをとった“骨格だけの虎”が並んでいます。
毛並みの美しさや筋肉の張り、そして骨格の精密さまで、今にも動き出しそうなリアリティ。
骨格の美しさ、体の構造、爪や歯の鋭さなど、一つひとつの要素が視覚的に訴えてくる、まさに“骨が語る”という展示でした。

次に足を運んだのは、鹿やムース、トナカイなど、フィンランドの森を象徴する動物たちの展示ゾーンです。
壁には立派な角を持つ頭骨標本がずらりと並び、まるで動物たちの“肖像画ギャラリー”のような迫力があります。
とくに印象的だったのは、その下に無造作に積み重ねられた無数の角たち。
展示というより、森の中に落ちていた角をそのまま持ってきたかのような、生のままの迫力があり、思わず足を止めてしまいました。
フィンランドでは、野生のトナカイやムースは今でも身近な存在であり、人々の暮らしと自然が深くつながっています。
この角の山は、そんなフィンランドの“自然との共生”を象徴しているようにも感じました。
“動物たちの世界”が息づく展示空間

この自然史博物館の魅力は、なんといっても動物たちの再現度の高さです。
ただの標本ではなく、“いまこの瞬間”を切り取ったかのようなリアルな情景が、館内のあちこちに広がっています。
まず目を奪われたのが、ライオンたちの狩りの場面。
倒れ込むシマウマ、その体に噛みつくライオン、そしてそのまわりを囲む子ライオンと、くつろぐ仲間。
驚いたのは、足元にさりげなく置かれたフンまでしっかり再現されていること。
ここまでやるか!?という細部へのこだわりに、思わず見入ってしまいました。

次のブースでは、ムース同士が角をぶつけ合う決闘の瞬間が再現されています。
力強い筋肉の張り、緊張感のある目線、踏みしめる前足、その場の空気まで伝わってきそうです。

そして海のエリアでは、アザラシが泳ぐシーンが立体的に展示されていました。
水中で反転する鳥、周囲を泳ぐ魚たちも含めて、まるで水の中に迷い込んだような没入感があります。
見て学べる、リアルな“きのこ模型”展示

フィンランド自然史博物館の中でも、ひときわ目を引くのがこちらの「きのこ模型展示」。
精巧に再現されたキノコたちは、見た目の特徴や分類ごとに並べられていて、食用キノコと毒キノコの違いを“見て学ぶ”ことができます。
フィンランドでは、小さな頃から家族と一緒に森に入り、ベリーやキノコを採る文化があります。これは「自然享受権」という権利があるから。森は誰のものでもなく、“みんなのもの”と考えられているのです。
そんな環境の中で育つフィンランドの子どもたちは、「このキノコは食べていい?それともダメ?」という自然との対話を、遊びながら覚えていきます。
この展示は、そうした暮らしの知恵を視覚的に伝えてくれるもの。旅の途中で森に入る予定がある人にも、ちょっと立ち止まって見てほしい、学びに満ちたスポットです。
太古の地球へタイムスリップ。「生命の歴史」ゾーンへ

ヘルシンキ自然史博物館の中でも見応え抜群なのが、「Elämän historia(エラマン・ヒストリア)=生命の歴史」ゾーン。
地球に命が誕生してからの壮大な歩みを、迫力満点の展示とともに体感できます。
展示室の中央には、全長10メートルを超える恐竜の骨格標本がドーン!
頭上を飛ぶ翼竜の模型や、周囲に広がる太古の環境の再現セットなど、まるでジュラ紀にタイムスリップしたような感覚に。
フィンランドには恐竜の化石は少ないですが、こうした展示を通して“命の多様性”をしっかり伝えています。

天井から吊るされたこの奇妙な姿の生き物。
一見イカのようにも見えますが、実はこれはオルドビス紀(約4億8千万年前)に生息していた古代の頭足類(ベレムナイトの仲間)の復元モデル。
その不気味な美しさに、思わず見上げたまましばらく動けなくなってしまいます。

そして見逃せないのが、日本でも話題になった「サカバンバスピス」の復元模型!
数年前、SNSで「かわいすぎる!」「なんだこの顔…」と世界中で話題になったサカバンバスピス。
口が「ω」型、目がやや寄り目という独特すぎるビジュアルは、まさに“古代のゆるキャラ”と呼びたくなる存在感です。
サカバンバスピスは約4億5千万年前、オルドビス紀の海に生息していたあごのない原始的な魚類。
現代の魚類や脊椎動物の祖先に近い存在で、「魚の進化史」を語るうえで欠かせない存在なんです。
博物館では、この人気者をちゃんと丁寧に紹介してくれていて、じっくり見入ってしまう人も多いはず。
SNSで見かけたことがある人も、実物大の復元模型を前にすると、愛着がグッと増すこと間違いなしです。

ぬいぐるみや絵本、パズルやフィンランドの動物図鑑まで、店内は“自然と学び”をテーマにしたアイテムでいっぱい!
フクロウやトナカイなど、フィンランドの動物たちのぬいぐるみは子どもにも大人気。
ゲーム好きな方には、恐竜や昆虫がテーマのボードゲームもおすすめです。

こちらは、博物館オリジナルのグッズコーナー。
「LUOMUS」と描かれたマグカップには、展示室をモチーフにしたユニークなイラストがデザインされていて、おみやげにぴったり。
また、北欧の野鳥をテーマにしたポストカードセットも人気。おしゃれな缶入りで、贈り物にも最適です。
見て・感じて・学んだ“フィンランドの自然”を、おみやげとしてそっと持ち帰れる場所。
このミュージアムショップも、旅の記憶に彩りを添えてくれる大切な立ち寄りスポットです。
👉【2024 北欧旅日記 11日目】ヘルシンキ<後編>へ続く
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