デンマーク発のインテリアブランド「BoConcept(ボーコンセプト)」が、AW26コレクションを発表しました。
東京・外苑前にあるBoConceptのフラッグシップストアで開催された発表会には、本国からデザイン&製品開発ダイレクターのクラウス・ディトレフ・イェンセン氏が来日。
さらに、今回の新作を手がけたイタリア人デザイナー、クラウディオ・ベッリーニ氏も約25年ぶりに来日し、自身のデザイン哲学や新作に込めた思いを語りました。
イタリアの豊かな感性と、デンマークデザインが大切にしてきた機能性や人を中心に考える視点。その2つが出会うことで生まれた、BoConcept AW26コレクションの魅力を紐解きます。
BoConceptが大切にする、家具と空間の考え方

発表会の冒頭に登壇したのは、BoConceptのデザイン&製品開発ダイレクターを務めるクラウス・ディトレフ・イェンセン氏。
1952年にデンマークで創業したBoConceptは、2027年に75周年を迎えます。
イェンセン氏は、BoConceptは単に家具を販売するのではなく、家具を通してそれぞれの人が自分らしい家や空間をつくることをサポートするブランドだと説明。

そのために大切にしているのが、「カスタマイゼーション」「統一されたスタイル」「ファンクショナリティ(機能性)」という3つの要素です。
住まいやライフスタイルに合わせて選べること、家具同士が美しく調和すること、そして日々の暮らしの中で快適に使えること。
この3つをひとつの家具、ひとつの空間の中で成立させることを大切にしています。
「家具だけを見ない」クラウディオ・ベッリーニのデザイン哲学

続いて登壇したのが、AW26の新作を手がけたクラウディオ・ベッリーニ氏です。
ミラノ工科大学で建築とインダストリアルデザインを学び、父であり、イタリアを代表する建築家・デザイナーのマリオ・ベッリーニ氏のもとで経験を積んだ後、1996年に自身のスタジオを設立。現在はミラノを拠点に世界で活躍しています。
BoConceptとのコラボレーションは、AW25で発表された「Milano(ミラノ)」コレクションからスタートしました。

ベッリーニ氏が大切にするのは、家具を単体で考えないこと。
その家具がどのような場所に置かれ、空間の中でどう存在するのかを、建築家のような視点で考えるといいます。
また、デザインに向き合ううえで大切にしているのが「Passion(情熱)」「People(人)」「Experience(経験)」。
試行錯誤を楽しみ、プロジェクトに関わる人との対話を重ね、日常の経験や記憶をデザインへとつなげていく。
その考え方が、今回の新作にも色濃く表れています。
イタリアとデンマーク、異なるデザイン文化が出会う
ベッリーニ氏は、イタリアのデザインには感情や豊かな表現力がある一方、デンマークのデザインには、人を中心に考える視点と洗練されたピュアな美しさがあると話します。
一見すると異なる2つのデザイン文化ですが、実際にBoConceptと仕事をするなかで、デザインの根底にある考え方には多くの共通点があることに気づいたといいます。
人を大切にし、経験や記憶をデザインにつなげる。そんな共通する価値観から、AW26の新作が生まれました。
石造りの街から生まれた「Volterra」

AW26で発表された新作のひとつが、ダイニングコレクション「Volterra(ヴォルテラ)」です。
名前の由来は、イタリア・トスカーナ地方にある街、ヴォルテラ。
大きな石を使った建築物が残る街並みや壮大なアーチ、石が持つ力強さや彫刻的な存在感からインスピレーションを得ています。

その特徴が最も分かりやすく表れているのが、コレクションの中心となるダイニングテーブル。
床に力強く立つ脚は、ヴォルテラの街に見られるアーチを反転させたようなフォルムをイメージ。
一方、その上には薄くシャープな天板を配置し、重厚感と軽やかさのコントラストを生み出しています。
美しいフォルムを支える、緻密な構造

実物を前に詳しく説明されたのが、特徴的なテーブル脚の構造です。
Volterraでは、デザインの美しさだけでなく、安定性と使いやすさのバランスにもこだわっています。
脚が細すぎれば安定性が損なわれ、太すぎれば座ったときに邪魔になってしまう。
その両方を成立させるバランスを突き詰め、現在のフォルムにたどり着きました。
内部には金属製の構造体が組み込まれ、テーブル全体の重量は約120kg。
荷重をかける試験なども行い、日常で安心して使える強度を確保しています。
Volterraのチェアも、全体をファブリックで包んだデザインでありながら、中央に抜けをつくることで軽やかな印象に。
柔らかな張地とスリムなフォルムが、エレガントな佇まいを生み出しています。

テーブルの天板には複数の素材が用意され、イタリア製のセラミックも採用。
自然な石を思わせる表情と高い耐久性を備えながら、本物の大理石を使用するより価格を抑えることで、美しさや機能性とのバランスを図っています。
家族の記憶から生まれたソファ「Paraggi」

もうひとつの新作が「Paraggi(パラッジ)」です。
こちらもイタリアに実在する場所から名付けられています。
パラッジは山々に囲まれた小さな入り江で、ベッリーニ氏の家族が休暇を過ごす家もこの場所にあるといいます。

自然に囲まれ、包み込まれるような安心感があり、心からリラックスできる場所。その記憶と経験が、Paraggiのデザインにつながりました。
まさに、ベッリーニ氏が語った「Experience(経験)」が家具として形になったソファです。
暮らしに合わせて姿を変えるParaggi

Paraggiの大きな特徴が、自由に動かせる背もたれと肘掛けです。
内部に可動機構を備えながら、それを感じさせない柔らかなフォルムに仕上げられ、背もたれや肘掛けを動かすことで過ごし方に合わせて空間を変化させることができます。
ひとりでゆっくり過ごしたいときには、背もたれを立てて身体を包み込むように。
家族や友人と会話を楽しむときには、背もたれを開いてよりオープンな空間に。
複数のモジュールも用意され、住まいの広さやライフスタイルに合わせた組み合わせが可能です。

さらに、可動部分には6,000回にわたって動かす耐久試験を実施。
柔らかなデザインの内側に、長く使うための機能と品質が組み込まれています。
家具ではなく「空間」をデザインするAW26

発表会の会場には、VolterraやParaggiを組み合わせた空間がつくられていました。
石造建築の力強さから着想したVolterraと、イタリアの小さな入り江で感じた安心感を表現したParaggi。
生まれた背景も表情も異なりますが、同じ空間に置くと自然に馴染み、心地よい調和を生み出します。
さらにAW26では照明にも力を入れ、家具だけでなく光まで含めてひとつの空間としてコーディネート。
「家具を単体で考えるのではなく、その家具が置かれる空間全体を考える」。
ベッリーニ氏が語ったデザインへの考え方が、VolterraやParaggi、そしてそれらが置かれた空間そのものに表現されていました。
イタリアの感性と、デンマークデザインが培ってきた機能性。そこに、暮らす「人」への視点が重なります。
BoConcept AW26コレクションは、家具そのものだけでなく、その家具が置かれる空間、そしてそこで過ごす時間まで考えさせてくれる内容となっていました。
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