北欧神話「カレワラ」のめくるめく世界観を体験する

みなさんに先日ご紹介した「カレワラ物語」。そしてそれを日本人アーティストが再構築してみせる展覧会「Universsal Nature」に行ってきました!

先日の記事はこちら

表参道駅から外苑前方面へ、だいたい徒歩10分弱のところにある、セゾンアートギャラリー。銀座線外苑前駅からだと、おそらくもうちょっと近いでしょうか。

外観が異彩を放つセゾンアーツギャラリー

外観は曲線美で近隣のビルを圧倒するこの景観。

こちらの1F、B1F、B2Fで今回の「Universal Nature」は開催されています。



セゾンアーツギャラリー入り口

今回参加している現代アーティストは6名。現地でのリサーチに基づき、新たな視点で解釈し作品を発表しています。
※それぞれの簡単なプロフィールは文末に記載しております

飯沼英樹さんのカレワラ物語冒頭の太陽と月が生まれるシーンから

1Fに入ると、まず目に入るのが飯沼英樹さん制作のこちら。
カレワラ物語冒頭の太陽と月が生まれるシーンから。カレワラはファンタジーの色も濃く、物語は本当に壮大。この後「海」もキーワードになるのですが、女性の腰に北斎が描かれその後のシーンをほのめかしています。

淺井さんの作品。 ヴァイナモイネン(ワイナミョイネン)が言葉の箱を開け、ものの起源を歌うシーン。

1F入り口入って右側の壁面に描かれているのは、淺井さんの作品。
カレワラ物語の主人公ヴァイナモイネン(ワイナミョイネン)がポポヨラへ向かうための船造りをするためにアンテロ・ピブネンに会いに行きます。アンテロ・ピブネンはフィンランド神話にも登場する強い知恵者。言葉の箱を開け、ものの起源を歌います。その歌(知識)の豊富さを表していて、細かい部分まで観る楽しみを与えてくれます。

飯沼さん作品

B1Fはカフェ&ダイニング「Café&Dining Bar 367°」が併設されていて、ここにも飯沼さんの作品が数点展示されています。こちらは「世を乱す大魚を 空飛ぶワシの力を借りて 退治するのも恋の力」。

鴻池さんの作品で、狼と熊の毛皮に刺繍を施した「動物との婚姻」。

B2Fに降りると室内は暗転されていて、鴻池さんや、太田さんの映像インスタレーションが上映されています。鴻池さんは狼と熊の毛皮に刺繍を施した「動物との婚姻」も制作されています。

インパクトがあったしりあがり寿さんの作品

ハイライトはB2Fの奥にある細い通路の先にあるこちらの作品。

しりあがり寿さんが制作したサンポ戦争。サンポは日本でいうと打ち出の小槌と言うとイメージが湧くでしょうか。サンポがあれば富が生まれてくるもので、これをポポヨラにいるロウヒと言う老婆から、ヴァイナモイネン(ワイナミョイネン)達が取り返しに行く、カレワラ物語のクライマックスシーンの一つです。

文字が翼となる1

文字が翼となる2

文字が翼となる3

しりあがり寿さんは、このシーンを文字で再現していきます。一つ一つの文章が漫画のコマ割り、吹き出しのようにも展開し、そのうち文字が自由に動き出し、様々な物や動物を描き出します。壁2面で繰り広げられる文字の躍動は時間を忘れさせ、カレワラの中に入り込んだような感覚さえ与えます。

日差しが入る1F、B1F、そして暗闇の中で展開されるB2F少しずつカレワラ物語の中に入り込み、最後のしりあがり寿さんの作品にノックアウトされる。素晴らしい構成でした。

カレワラ物語は、本当に壮大な物語です。既成概念を持つことなく、あるものをそのまま受け入れるというのが正しい接し方なのかもしれません。すでにカレワラ物語を読まれたかは是非、そしてまだ読まれていない方も楽しめる要素が詰まった多様な世界観が詰まった展覧会です。

セゾンアーツギャラリー外観2

「Universsal Nature」は今週末、8月27日まで!入場料は無料、館内の撮影は自由となっています。B1Fの「Café&Dining Bar 367°」では、代々木公園の「FUGUREN TOKYO」のバーマネージャー野村空人さんがフィンランドジンで作るオリジナルカクテル、その名も「カレワラ」を販売しているようなので、一度全体を観て、カレワラを体の中に入れ、再度ゆっくり観るのも面白いかもしれません。

「Universal Nature」
会場: セゾンアートギャラリー
会期:2017年8月6日(日)〜8月27日(日)
住所: 東京都渋谷区神宮前3-6-7
主催:フィンランドカレワラ協会
フィンランドセンター
共催:SEZON ART GALLERY
後援:フィンランド大使館
協力:KENJI KUBOTA ART OFFICE

ユニバーサル・ネーチャー: 日本の現代美術家6名によるカレワラ展

<参加アーティストプロフィール>

淺井裕介(あさい ゆうすけ)さん
抽象画、陶芸、様々な素材を使ったドローイング、巨大壁画、マスキングプラント、泥絵など、多方面へ精力的な活動を行う。2015年から2016年には、箱根彫刻の森美術館で、「淺井裕介 ー 絵の種 土の旅」も実施。

飯沼英樹(いいぬま ひでき)さん
木彫りの彫刻をメインとし、ファッショナブルな「女性」を生み出す。1999年からフランスに渡り、フランスやドイツなど欧州を拠点に創作活動も行い日本に帰国。欧州での展覧会も数多く実績としてある。

太田祐司(おおた ゆうじ)さん
虚構と事実が入り混じった、ボーダレスな世界を創り上げることを作品制作のテーマとしている。2013年には上野の森美術館で開催されたグループ展「VOCA展2013」に参加。また2010年の「ニュースをつくる」は現代社会を皮肉った作品だがメディアを賑わせた。

鴻池朋子(こうのいけ ともこ)さん
社会の境界に生息する森羅万象の物語を、絵画、彫刻、陶物、映像、絵本などの様々なメディアを駆使した壮大なトータルインスタレーションで表現する。2012年に「東山魁夷記念 日経日本画大賞」受賞。

しりあがり寿(しりあがりことぶき)さん
『真夜中の弥次さん喜多さん』を代表作に持つ漫画家。幻想的あるいは文学的な作品など次々に発表、マンガ家として独自の活動を続ける一方、近年ではエッセイ、映像ほか多方面に活動の幅を広げている。

田中愛弓(たなか あゆみ)さん
”記憶”をテーマにプライベートな写真やインターネットからダウンロードした写真などを用し、立体的なコラージュを施したジオラマから写真作品を制作してる。2016年には、New York Art Foundation Fellowship 2016を受賞。
※順不同




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