スウェーデン教育大臣から聞いた スウェーデン流子育て

北欧諸国は日本と比較して社会福祉制度、幸福度といったものが高いことでも知られていますが、もう1つ注目されているのは教育水準。最近は、スウェーデンの子育てに関する書籍も日本で出版されるようになってきています。今回は、スウェーデンのマティルダ・エーンクランス高等教育・研究担当大臣が京都で開催された「科学技術と人類の未来に関する国際フォーラム(STSフォーラム)」で来日をしていたので、お話を伺ってきました。

|スウェーデンが考える持続的社会とは

LifTe 北欧の暮らし スウェーデン 高等教育大臣 マティルダ・エーンクランス
マティルダさんが今回、京都の会合で基調講演を行ったテーマは「持続可能な社会」だったそうですが、スウェーデンが考える持続可能な社会とはどのようなものなのでしょうか

そもそも持続可能な社会を未来に作り出すために、社会への投資はあたりまえだと考えています。この問題は様々な分野に及びますが、我々は特に気候変動や、環境問題がとても重要だと感じています。スウェーデンは、以前から様々な取り組みをしてきて、現在では世界の平均から見ると、これらの問題に関しては大分進んでいます。

2017年には、これまでの取り組みを分析し、発表を行いました。また、これに基づき新しい法制度を整え現在も進行しています。我々スウェーデン政府の目標としては、2045年までに世界初の温室効果ガス排出0国家になることです。

確かに大きなチャレンジですね。

そうですね、私も政府の1人として、この運動をさらに早く進められるよう努力しています。政府としてもそうですが、このチャレンジを成し遂げるためには、様々な要素が必要です。社会全体を巻き込んでいくような。そういった意味で考えると、グレタ・トゥーンベリさんの活動も大きく影響していると感じます。

|スウェーデン環境活動家 グレタ・トゥーンベリという存在

LifTe 北欧の暮らし スウェーデン 高等教育大臣 マティルダ・エーンクランス

9月23日、ニューヨークの国連で開催された”国連気候行動サミット”で演説したグレタさんの様子は、多くの日本のメディアでも取り上げられましたグレタさんの運動やスピーチは、日本でも多く報道されました。

彼女が訴える、専門家の話に耳を傾けるべきだという部分や、政府がもっと努力するべきだという熱い意見は、我々にとっても、とても大切なものなのです。より持続可能な社会を作ることは、全国民が納得するようにしなくてはいけない。この社会的な変化は大きな挑戦にもなりますが、新しい職種も生まれてきます。簡単ではない、とても大きなチャレンジですが、達成できると信じています。

|スウェーデンにおける教育方法のベースになっているもの

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個人的には、日本では、あのグレタさんのような若い子が今後出てくるとは思えないのですが、これはスウェーデンの教育方法にも秘密があるのではないでしょうか?
日本でも彼女みたいな子は出てくるかもしれませんよ?スウェーデンでは、まず、子供達が自信を持って自分の意見を持てるように育てる習慣があります。そして子供達が、社会に積極的に参加できるような要素もあります。ここはスウェーデンの教育制度の基礎とも言えるもので、言い方を変えると本当の意味での民主主義的な考え方を子供達に持たせるのが大事なのです。そして大人たちの考え方や、社会に逆らうということも大事。

これは、教育制度の話でもありますが、もっと広い文化的な要素も絡んできます。例えばグレタさんは、1年前から国会の前で座り込んで訴えをしていました。ここまで固いいしを持った子はスウェーデンでも多くはいませんし、彼女の独特な力だと思います。ただ、ここで重要なのは、それを許す大人の文化があったということです。社会は大人だけのものではありません。子供も社会の一員だと考えるのがスウェーデンの在り方なのです。

|スウェーデン教育大臣が行ってきた、親としての子供との接し方

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マティルダさんには、お子様がいらっしゃいますよね?

ええ。2人の息子がいるわ。13歳と19歳ね。

僕も子供が2人いて、まだ幼いのですが、”子供はいつまでたっても子供”というような触れ方をしてしまっていて、これは日本の親でも多く見られる傾向だと思っています。マティルダさんはどのように子供に接してきたのでしょうか?

まず挙げられるのは、私も夫も育児休暇を2人ともしっかり取得しました。子育てをしながら仕事をするというのは、スウェーデンでは基本的なことです。親でありながら、仕事をすることが可能な事を子供達に見せることが重要だと思っています。

そして、子供は子供らしくいるべきだとは考えていますが、子供が大きくなるにつれて責任感を少しずつ増やしていくことは意識しました。この考え自身はスウェーデンの教育制度にも強く結びついていると思います。多くの家庭でも、学校でもこの方針は変わりません。責任感をつけていくことで、自分に自信を持った人間に成長していくのだと思います。幸せなことに、私の息子たちはそのように育っていると思います。ただ洗濯物はきちんと洗濯機に入れてくれるようになって欲しいわね(笑)。

本日はお忙しい中、お時間を頂きまして、誠にありがとうございました。

マティルダさんの仕事は、多岐に渡ります。現在は高等教育・研究担当大臣ですが、以前は教育委員会委員長、環境・農業委員会委員長も勤めており、今回の来日では、宇宙航空研究開発機構(JAXA)も訪れたそうです。キャリアを重ねながらも、2児の母という顔を持つ彼女の子育てに関する話は、とても説得力があるものでした。そして、マティルダさんが最後に子供の権利条約がスウェーデンで正式に法制化された話もしてくれました。この法制化は、スウェーデン全体で子供の権利を守っていく姿勢の表れでもあります。子供達の権利を守りながら、社会に積極的に関わらせていく。日本が注目するスウェーデンの本質を少し垣間見れたようなインタビューでした。

|マティルダ・エーンクランス 高等教育・研究担当大臣 プロフィール

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マティルダ・エーンクランス(Matilda Ernkrans)

1973 年生。ハルスベリ在住。既婚子供二人。

教育省
社会民主党
<担当分野>
高等教育/研究/奨学助成金/宇宙関係

<学歴>
1994-1997, 2002:エーレブロ大学準学士(政治学、社会学専攻)
1989-1992:アレー高等学校(社会学)

<経歴>
2019-:現職就任
2018-2019:教育委員会委員長
2010-2018:環境・農業委員会委員長
2006-2010:社会保険委員会委員
2002-2006:文化委員会委員
2002-:国会議員
1994-2002:職業安定所アドバイザー

<その他>
2017-:社会民主党執行部党員
2016-:エーレブロ県社会民主党地区代表
2011-2017:社会民主党執行部代員
2010-2018:国会内環境目標準備委員会委員
2010-2018:国会内戦争対策委員会委員
2007-2011:社会民主党ハリスベリ地区代表
1994-2011:ハルスベリ市市議会議員
1991-2002:地方自治体での余暇担当議員




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