北欧諸国は、日本と比較すると読書率が格段に高いことでも知られています。これは現地の図書館に行くと特に感じるのですが、小さい子供から、お年を召した方まで、実に多くの方が図書館を利用しています。
例えばフィンランドで考えると、1人あたり年間平均20冊前後本の貸出、月1回以上は図書館を利用するというデータがあります(日本はそれぞれ年間5冊程度の貸出、年間3回程度の図書館利用に留まります)。
国によっては、図書館が完備されていない小学校があるという背景もあるのかもしれませんが、この図書館利用率の高さはいくつか理由があると思います。
長い冬を室内で快適に過ごす手段として「読書」が日本よりも日常だという理由が多い印象を持つ点と、勉強や仕事をするなど、図書館を利用するそもそものシーンも北欧は日本と比較すると多様です。
今回は、北欧で訪れた図書館をご紹介!どれも特色豊か!そして今回紹介する図書館は、どこも無料で入ることもできるので、観光スポットとしてもおすすめです♪
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|🇫🇮最新設備が整う世界一の公共図書館に選出された「OODI(ヘルシンキ中央図書館)」
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まずご紹介するのが、以前LifTeでもご紹介した、2018年12月にオープンしたばかりのヘルシンキにある図書館「OODI」。誰しもが目を奪われる素晴らしい外観と、コミュニティースペースと位置付けている図書館としての在りようは素晴らしいの一言です。
【時代の最先端を行く注目の公共図書館!】
内観もデザイン性が高く、市民の憩いの場としてはもちろん、観光名所としても知られるようになりました。
いたるところに配置された充電用のコンセントがあり、フリーWiFiも完備されているので、仕事や勉強する人達も多いのですが、他にもE-スポーツに興じる子供達がいたコンピュータールームがあったり、3Dプリンタの設置されているなど、時代の先端を走っている図書館です。
※OODIの各フロアを解説した記事はこちら
|🇫🇮歴史を感じる美しい建築と内観「フィンランド国立図書館」
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フィンランド随一の観光名所「ヘルシンキ大聖堂」のすぐ近くにあるのが、このフィンランド国立博物館。
OODIは図書館ながら、コミュニティという考えのため館内でおしゃべりをする人たちを良く目にしましたが、このフィンランド国立博物館は、専門研究のために訪れる方が多いので、僕たちが想像する静かな図書館です。
【380年の重みを感じる厳かな雰囲気】
このフィンランド国立図書館が建設されたのは、なんと1640年。実に380年以上の歴史を持ちます。そのため歴史的貴重な書籍も多いのがこの図書館の特徴です。中に入ると吹き抜けが美しく、まさに中世ヨーロッパに足を踏み入れたような感覚になる素敵な図書館です。
|🇫🇮モダンなセンス 曲線美が美しい「ヘルシンキ大学図書館」
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こちらも、ヘルシンキ大聖堂からほど近い場所にある「ヘルシンキ大学図書館」。2012年に建設されたまだ新しい建物ですが、外観は煉瓦造りのシックな様相です。
ただ、中に入ると光が差し込むモダンな作りで息を飲みます。特にロビー中央の天井は、楕円形が連なり、そこから光が差し込むので神々しさも感じます。
【館内に各所配置されたデザインチェアー、そして開放的な窓!】
ヘルシンキ大学図書館の面白い試みは、各所に配置されたデザイナーズチェア。
ウルヨ・クッカプーロ(Yrjö Kukkapuro)が手がけた黒の革張りに独特な曲線美を持つチェア。暖かい木の温もりを感じさせるイルマリ・タピオヴァーラ(Ilmari Tapiovaara)がデザインしたチェア。そしてボールチェアで有名なエーロ・アールニオ(Eero Aarnio)がデザインしたものも在ります。
ヘルシンキ大学図書館は大きな窓がいたるところに設置されているのも特徴です。デザインチェアーに座りながら開放的な窓からヘルシンキの街並みを眺める。そんな贅沢な時間の過ごし方も提供してくれます。
|🇫🇮アットホームな雰囲気を感じる「リクハルディンカトゥ図書館」には日本漫画が!
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フィンランドの図書館で最後に紹介するのは、こちらの「リクハルディンカトゥ図書館」。ここの図書館は、今まで紹介してきた図書館と比較すると、ちょっとカジュアルな雰囲気があります。
とは言っても、この「リクハルディンカトゥ図書館」も歴史ある公共図書館で、設立は1881年。デザインを手がけたのは、ヘルシンキの「アテネウム美術館」や、星付きのホテル「ホテルカンプ」を手がけた、セオドル・ホイエル(Theodor Höijer)ということもあり、建築ファン必見の図書館とも言えます。
※アテネウム美術館が全面協力したフィンランド映画『ラスト・ディール』を紹介した記事はこちら
【美しい吹き抜けの螺旋階段、そして心暖まる休憩スペース】
「リクハルディンカトゥ図書館」の見所もたくさんありますが、やはり象徴的なのは、館内中央にある4階までの螺旋階段。
螺旋階段と各フロアの色調がマッチし、館内を格調高くしています。他にもキッズ専用のスペースや、コーヒーが無料提供されている(訪れた日はクッキーもありました)くつろぎスペースはほっこりする雰囲気があります。そして、日本の漫画が数多く陳列されているのにびっくり!
【フィンランドで一番認知度がある日本漫画は・・・】
ちょっと横道に逸れちゃいますが、フィンランドで一番認知度がある日本漫画をご存知でしょうか?
もちろん「ドラゴンボール」「ワンピース」や「NARUTO-ナルト-」なども人気ですが、一番認知度が高いのは、1980年代週間少年ジャンプで連載された、この「銀牙」(高橋よしひろ著)なのです。
まだVHSが主流の時期、日本のアニメがフィンランドに入ってなかった頃、最初の日本アニメVHSが「銀牙」だったということと、フィンランドが大国ロシアに立ち向かった歴史と、小さな主人公の「銀牙」が強敵に立ち向かっていくところが大きな共感を得たそうです。
そんな「銀牙」の続編にあたる「銀牙伝説WEED」もしっかり「リクハルディンカトゥ図書館」にはありました。
【フィンランドで訪れた図書館はここ!】
今回ご紹介した図書館は、下記のmap内で赤くナンバリングしてマーキングしています。訪れた際は是非ご参考になさってください。
※番号は、ご紹介している上記記事内の数字とリンクしています(ex:map-①)
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|🇸🇪世界一美しい図書館と称されることもある「ストックホルム市立図書館」
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正面エントランスから入り、階段を上がると目の前に広がる絶景。この景色を最初見たとき本当に息を飲みました。ぐるっと360度囲む書棚、開放感を感じる室内の雰囲気、そして思い思いに過ごす人々、どれをとっても完璧な景色でした。
圧巻の書棚は国ごと、ジャンルごとに分かれているので、どんな本があるのかぐるぐる歩くのも本当に楽しい。ちなみに日本の書籍ももちろんおいてあり、村上春樹や吉本ばななの本などがおいてありました。
【近代建築の巨匠アスプルンドが手がけた必見の図書館】
ストックホルム市立図書館の建築を手がけたのは、スウェーデンモダン建築の巨匠とも称される、エリック・グンナール・アスプルンド(Erik Gunnar Asplund)。
彼が手がけたストックホルム郊外にある「森の墓地」が世界遺産に登録されています。アルヴァ・アアルトやアンネ・ヤコブセンにも多大な影響を与えたと言われるアスプルンドが作り上げたストックホルム市立図書館は、まさに行く価値ありです。
|🇸🇪スウェーデンに関するあらゆる書籍を保有する「スウェーデン国立図書館」
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「スウェーデン国立図書館」は、ストックホルムの東側にある大きな公園「Humlegården」の中にあります。堂々たるいでたちの建築物は、1878年に建設されたものでメインの建物は230年以上の歴史を持ちます。
【書籍、新聞、映像系作品、リンドグレーンの貴重な原画も!】
元々は「スウェーデン王立図書館」としてスタートしましたが、後に「スウェーデン国立図書館」となり、現在ではスウェーデンに関する書籍、新聞、映像系作品など全てのものが所蔵されています。
スウェーデンでは知らない人がいないと言われる、童話作家"リンドグレーン"が描いた『長靴下のピッピ』の原画も保管されています。中は重厚な作りで中世ヨーロッパの雰囲気を残している本館と、モダンな造りが印象的な新館に分かれています。
【スウェーデンで訪れた図書館はここ!】
今回ご紹介した図書館は、下記のmap内で赤くナンバリングしてマーキングしています。訪れた際は是非ご参考になさってください。
※番号は、ご紹介している上記記事内の数字とリンクしています(ex:map-①)
|🇩🇰モダンと伝統が融合した「デンマーク王立図書館」
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デンマークの首都コペンハーゲンにある「デンマーク王立図書館」は「ブラックダイヤモンド」と称されます。その理由は、この黒を基調とした外観にあります。「デンマーク王立図書館」は、1999年に建設された"新館(ブラックダイヤモンド)"と、1906年に建設された"旧館"が道路を挟んで共存しています。
新館はとにかくモダンで、大きなガラス窓のおかげで開放感もあります。旧館に繋がるフロアまでエスカレーターで上がれるのですが、エスカレーターから窓を通して見ることができるコペンハーゲンの街並みは言葉を失います。
そして旧館には"読書室"が設けられていて、この中も素晴らしい設え。読書室で撮影ができなかったため、お見せすることができませんが、「デンマーク王立図書館」に行くのであれば、是非抑えておきたいポイントです。
【デンマークで訪れた図書館はここ!】
今回ご紹介した図書館は、下記のmap内で赤くナンバリングしてマーキングしています。訪れた際は是非ご参考になさってください。
※番号は、ご紹介している上記記事内の数字とリンクしています(ex:map-①)
|🇳🇴ノルウェーで2番目に大きい公立図書館「ベルゲン公立図書館」
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ノルウェー第2の都市"ベルゲン"にも、素敵な図書館があります。「ベルゲン公立図書館」は、1872年に建設され240年弱の歴史を持ち、ノルウェー国内で2番目に大きい図書館としても知られています。
ベルゲンはディズニー映画『アナと雪の女王』の舞台としても知られ、古き良きヨーロッパの街並みが色濃く残ります。そこに溶け込むような印象を与えてくれるのが「ベルゲン公立図書館」の外観。
ベルゲン市民憩いの場
中にはカフェもあり、訪問した日は、学生らしき人たちが熱心に勉強する姿や、コーヒーを飲みながら談笑する姿を見ることができました。
「ベルゲン公立図書館」ではミニコンサートが開かれたり、ノルウェー語の無料勉強会が行われたり、カルチャーの発信基地としても機能していて、まさにベルゲン市民憩いの場とも言えます。
そして、ベルゲンはノルウェーが誇るクラシック作曲家グリーグの故郷でもあるので、グリーグが創った交響曲の自筆譜が「ベルゲン公立図書館」に所蔵されている貴重な図書館でもあります。
【ノルウェーで訪れた図書館はここ!】
今回ご紹介した図書館は、下記のmap内で赤くナンバリングしてマーキングしています。訪れた際は是非ご参考になさってください。
※番号は、ご紹介している上記記事内の数字とリンクしています(ex:map-①)
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