2024年冬の北欧取材9日目・前編。
朝は滞在先の「Hotel Kauppi」で、名物の黒いソーセージ“ムスタマッカラ”を味わいながら一日がスタート。
午前中に訪れたのは、世界で唯一のムーミン美術館。原画や立体展示に囲まれながら、静かな空間でムーミンの物語世界をじっくり堪能しました。
その後は、地元の人々でにぎわうマーケットホールを歩き、赤レンガのアレクサンダー教会へ。文化と暮らしが自然に共存する、タンペレらしい穏やかな時間が流れていました。
👉【2024 北欧旅日記 8日目】ヘルシンキ→タンペレ<後編>はこちら
Hotel Kauppiの朝ごはんで味わうタンペレの名物グルメ -MAP①
Hotel Kauppiの朝食は、種類豊富なビュッフェスタイル。フィンランドらしいシンプルで健康的なメニューが揃い、新鮮な野菜やパン、チーズ、ヨーグルトなどが並びます。
特に嬉しかったのが、タンペレ名物の黒いソーセージ「Mustamakkara(ムスタマッカラ)」が提供されていたこと。
豚の血を使ったこの伝統的なソーセージは、外はカリッと香ばしく、中はしっとりとした独特の食感。
甘いリンゴジャムを添えて食べるのがフィンランド流で、意外な組み合わせながらクセになる美味しさです。
さらに、ホテルではグルテンフリーのオプションも用意されており、様々な食の好みに対応。
朝からしっかり食べて、タンペレ観光のエネルギーをチャージできる満足度の高い朝ごはんでした。
世界唯一のムーミン博物館、タンペレで体験するムーミンの世界 -MAP②
タンペレにある「ムーミン博物館(Moomin Museum)」は、世界で唯一のムーミンをテーマにした公式博物館。
ムーミンの生みの親であるトーベ・ヤンソンが寄贈した原画や立体展示を通じて、ムーミンの物語の世界に深く入り込むことができます。
館内には、トーベ・ヤンソンの手描きのイラストや、水彩画、スケッチなど貴重な作品が展示されており、ムーミンのキャラクターやストーリーがどのように誕生し、成長していったのかが分かる構成になっています。
特に目を引くのが、作家トーベ・ヤンソンのパートナーであるトゥーリッキ・ピエティラが制作したムーミン屋敷の立体模型。
細部までこだわって作られたジオラマは、まるでムーミン谷の中を覗いているような気分にさせてくれます。
また、博物館の雰囲気作りにもこだわっており、展示スペースはまるで物語の中に入り込んだような幻想的な空間。
静かで落ち着いた雰囲気の中、ムーミンの世界にどっぷり浸ることができます。
ムーミン好きなら一度は訪れたい、特別な体験ができる博物館です。
館内の展示をより深く楽しむために、ムーミン美術館では多言語対応のガイドブックが用意されているのも嬉しいポイント。
ガイドブックは、入り口脇にあるボックスに並んでいて、その中にはもちろん日本語版も。
展示の順路に沿って物語や背景を丁寧に解説してくれるので、フィンランド語がわからなくても安心して鑑賞できます。
ガイドブックは貸出制で、展示を見終えた後は出口付近の返却スペースに戻すスタイル。使い捨てではなく、共有型という点もフィンランドらしいエコな工夫。
ムーミンの世界観に浸りながら、自分の言葉でその魅力をじっくり味わえる素敵なサービスです。
ムーミン美術館併設のショップでは、ムーミン好きなら見逃せない限定アイテムがズラリ。
ショップ内はアートプリントやポストカード、しおり、カレンダー、ノートといったステーショナリーが充実し、特にトーベ・ヤンソンの原画をもとに作られた美術館オリジナル商品は要注目です。
さらに、イッタラやマリメッコなどフィンランドの名ブランドとのコラボ雑貨や、ムーミンの陶器マグカップ(アラビア製)なども並び、観賞の余韻をそのままお土産にできます。
ファンにはもちろん、デザイン雑貨好きにもぴったりの空間です。
タンペレのマーケットホールで味わう絶品ブイヤベース -MAP③
ムーミン美術館を後にして向かったのは、タンペレ中心地にある「マーケットホール(Tampereen Kauppahalli)」。
ここは、石造りの重厚な外観に刻まれた“1901”の数字が物語るように1901年創業の歴史ある屋内市場で、100年以上にわたり地元の暮らしに寄り添ってきた存在です。
入り口のアーチをくぐると、そこにはどこか懐かしく温かみのある空気が流れ、訪れる人をやさしく迎えてくれます。
このマーケットホールは、フィンランド最大級の規模で、地元の新鮮な食材やベーカリー、カフェが並び、歩いているだけで楽しい空間。
マーケットホール内にある「Ravintola 4 Vuodenaikaa(ラヴィントラ・ネリャ・ヴオデナイカ)」は、フランス料理のエッセンスを取り入れた人気のビストロ。
新鮮な地元食材を活かしたメニューが特徴で、魚介のスープやサラダ、キッシュ、サンドイッチなど、気軽に楽しめる料理が揃っています。
店内はオープンな造りで、マーケットのにぎわいと一体になったような開放感。
カジュアルながらセンスのある料理と、肩肘張らない雰囲気が心地よく、ランチタイムには地元の人々や観光客でにぎわいます。
この日注文したのは、店の名物ブイヤベース。
スープは魚介の旨味がぎゅっと詰まっていて、コクのある味わい。大ぶりの魚や貝がたっぷり入り、濃厚なのに後味はスッキリ。
添えられたアイオリソースをバゲットにつけてスープと一緒に味わうと、さらに美味しさが増します。
マーケットホールの賑わいの中、温かいスープをじっくりと楽しむ時間は、まさに至福のひとときでした。
静寂と芸術が調和する、赤レンガのアレクサンダー教会(Aleksanterin kirkko) -MAP④
マーケットホールを出て次に訪れたのは、美しい赤レンガ造りの外観が特徴な「アレクサンダー教会(Aleksanterin kirkko)」。
1881年に完成したこの教会は、ネオゴシック様式で設計されており、尖塔やアーチ型の窓、繊細な装飾が印象的です。
設計を手がけたのは、当時フィンランドで活躍した建築家テオドール・デッカー。
内部に足を踏み入れると、静寂に包まれた荘厳な空間が広がります。
アレクサンダー教会の内部は、高い天井と白を基調とした内装が開放感と神聖さを際立たせています。
正面に掲げられた祭壇画「キリストの栄光」は、1883年に描かれたもので、手がけたのはフィンランド初期のプロの女性画家、アレクサンドラ・フロステルス=ソルティン。彼女は国内外で研鑽を積み、70点以上の祭壇画を残した先駆的存在です。
信仰の場でありながら、芸術を身近に感じられる開かれた空間ー宗教と芸術、静けさと暮らしが自然に共存するこの柔らかな距離感こそ、フィンランドらしさなのかもしれません。
心にそっと余白が生まれるような、そんな体験ができる教会でした。
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