【9/7(日)まで】スティグ・リンドベリ展 ─ 約300点の名作でたどる多彩なデザインの旅 | 日本橋高島屋で開催中

スウェーデンを代表するデザイナー、スティグ・リンドベリの世界を紹介する展覧会「スティグ・リンドベリ展」が、現在、日本橋高島屋S.C.本館8階ホールで開催中です。

会期は2025年9月7日(日)まで。陶器やテーブルウェア、テキスタイル、絵本の挿絵まで、ジャンルを超えて活躍したリンドベリの多彩なデザインを一度に体感できる貴重な機会となっています。




ここに注目!リンドベリの世界


会場の入口では、リンドベリの“最初”と“最後”の彫刻が来場者を出迎えます。

1937年に制作された最初の彫刻《黒髪の女》(写真右)は、おそらく師であるエイナル・ルーテルコットの工房で手がけられたものと言われ、若き日のリンドベリが造形に向き合う姿勢を感じさせます。

対照的に、晩年の1982年に完成した最後の彫刻《頭に鳥を載せた女》(写真左)は、グスタフスベリの工房で未焼成のまま残されていたもの。

のちに娘マリタによって部分的に釉薬を掛け、焼成されたことで現在の姿となりました。


入口に並ぶこの二体は、まるでリンドベリの生涯の創作を象徴するかのよう。

ここから始まる展示は、この二つの間に広がる長い歩みをたどる旅でもあるのです。



次の部屋に進むと、リンドベリを象徴するテーブルウェアの世界が広がります。

壁一面のショーケースには、代表作《ベルサ》をはじめ、鮮やかな色彩と遊び心にあふれた数々の名作がずらり。

陶器の表現力を最大限に引き出しながらも、日常の食卓を豊かに彩るデザインの数々に、改めて彼の人気の理由を実感します。

さらに会場中央には、リンドベリの器を実際に使ったテーブルセッティングが展示されており、作品が単なる美術品ではなく「暮らしの中で息づくデザイン」であったことを感じさせてくれます。



続く展示室では、リンドベリのもうひとつの顔ともいえる「ファイアンス焼き」の作品が並びます。

ファイアンスとは、素焼きした陶器の表面に白い錫釉(すずゆう)をかけ、その上から絵付けを施す技法のこと。

紙に水彩画を描くように、自由で鮮やかな色彩を直接焼き物にのせられるのが特徴です。

リンドベリはこの技法を駆使し、人の顔や植物をモチーフにした大胆な絵柄を器に描き出しました。展示されている大きな壺や鉢は、まるでキャンバスそのもの。

日用品という枠を超え、彫刻や絵画にも通じるアート性の高い作品として、彼の創作の広がりを感じさせます。



さらに進むと、リンドベリの“もう一つの顔”を示すフィギュリン(人物と動物)のコーナーへ。

フィギュリンとは、人物や動物をかたどった小さな陶製の彫像で、実用の器とは異なる観賞用のオブジェとして作られた作品群です。

会場では、両手を掲げる人物像や素朴な表情のボトル型の像など、人をテーマにした作品がユーモラスなデフォルメで並び、向かいにはクマやカバ、アザラシ、ゾウ、キリンといった動物の小像がずらり。

滑らかなフォルムに釉薬の表情が重なり、手のひらサイズの中に“観察眼とユーモア”がぎゅっと凝縮されています。

日用品としての器から一歩離れたこれらの小品は、リンドベリが造形作家として追求した遊び心と彫塑的感覚を、最も近い距離で感じさせてくれます。


リンドベリの才能は陶器にとどまらず、テキスタイルデザインでも大きく花開きました。

会場には、物語性あふれる大胆な柄から、日常に取り入れやすいシンプルなパターンまで、多彩な布地が壁一面を飾ります。

例えば、青地に人々や動物が描かれたテキスタイルは、おとぎ話のワンシーンのように幻想的で、眺めるほどに新しい発見があります。

一方、赤や黒を基調とした柄は力強く、暮らしにインパクトを与える存在感。

リンドベリは、日常にユーモアや彩りを添えるべく、布という身近な素材をキャンバスにして豊かな世界観を描き出しました。

陶器と同じく、生活の中で“使いながら楽しむデザイン”という彼の哲学が、テキスタイルにも息づいています。



リンドベリの創作の幅は、大人だけでなく子どもたちの世界にも広がっていました。

会場では、彼が手がけた絵本やカードゲーム、おもちゃなどが紹介されています。

絵本『にぎやかな音楽バス』や『ちゃっかりクラッケールのおたんじょうび』は、鮮やかな色づかいとユーモラスなキャラクターで、子どもはもちろん大人も思わず笑顔になる魅力があります。

また、トランプのデザインでは、王や兵士といったモチーフがユニークに描かれ、遊びの中に新鮮な驚きをもたらしています。

実用性と遊び心を軽やかに融合させ、日常を楽しくする工夫を惜しまなかったリンドベリらしさが、この「子どものためのデザイン」にも息づいています。

お土産にぴったりのオリジナルグッズ


会場出口には充実したグッズコーナーが設けられています。

今回の展覧会にあわせて刊行された図録は、表紙にはリンドベリの人気デザイン《プルーヌス》のアイテムが、裏表紙には《ベルサ》のアイテムが使われています。

陶器からテキスタイル、絵本やファイアンスまで、約300点に及ぶ展示作品を網羅し、リンドベリの多彩な活動を一冊で振り返ることができる充実の内容です。

作品写真も美しく、会場で感じた余韻を持ち帰り、何度でも楽しめる記念の一冊となっています。


本展覧会のために作られたオリジナルグッズがずらりと並びます。

なかでもリンドベリを代表する《ベルサ》のデザインを使ったアイテムは種類豊富で、ポシェットやカードケース、コスメポーチなど日常使いしやすいラインナップが揃っています。

シンプルな形にグリーンの葉模様が映え、持ち歩くだけで気分を明るくしてくれる存在感です。


グッズの中でも特に注目を集めていたのが、日本の老舗メーカー「富士ホーロー」とのコラボレーションで誕生したアイテム。

《ベルサ》や《プルーヌス》のモチーフが、ホーロー製のドリップポットやマグカップ、保存容器にデザインされて登場。

ホーローならではの清潔感ある白地に鮮やかな葉や果実の柄が映え、キッチンをぱっと明るく彩ってくれます。

丈夫で使いやすい実用性と、世代を超えて愛されるデザイン性が一つになったこのシリーズは、まさに「日常に持ち帰れるリンドベリ」。

会場限定先行販売という特別感もあり、展覧会の記念にぴったりのアイテムです。


リンドベリが手がけた約半世紀にわたるデザインの旅を一度に体験できるのは、この展覧会ならでは。

まだ訪れていない方は、ぜひ足を運んでみてください。きっとあなたの毎日に寄り添う“お気に入りのデザイン”と出会えるはずです。

👉9月7日(日)まで開催中!「スティグ・リンドベリ展」詳細はこちら

展覧会概要


■展覧会名:「20世紀北欧デザインの巨匠 スティグ・リンドベリ展」
■会期:2025年8月21日(木)〜9月7日(日)
■開館時間:10:30〜19:30
※入館は閉館の30分前まで
※最終日は18時閉場(入場は17:30まで)
■会場:⽇本橋⾼島屋S.C. 本館8階ホール
■入場料:一般1,200円、大学・高校生1,000円、中学生以下無料
※「障がい者手帳・デジタル障がい者手帳」を提示の際、本人、ならびに同伴者1名まで入場無料
※小学生以下のお子様は保護者の同伴必須
■主催:スティグ・リンドベリ展実行委員会
■特別協⼒:スティグ・リンドベリ・デザイン AB、ヴィラスティール・デザイン・プロダクションHB
■後援:スウェーデン大使館
■協力:フィンエアー、フィンエアーカーゴ
■企画協⼒:アートインプレッション
■住所:東京都中央区日本橋2-4-1




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