テキスタイルデザイナー島塚絵里が語る新作CM製作の裏側

マリメッコ、ラプアン カンクリなどのフィンランドブランドへデザイン提供を行い、文字通り引っ張りだこ状態と言えるのが、フィンランドを拠点として活動するテキスタイルデザイナーの島塚絵里さん。

LifTe 北欧の暮らし 島塚絵里 自宅

最近は、サントリーのノンアルコールビール「オールフリー」のCMの仕事も手がけたということで、実際にどのように製作を進めて行ったのかを聞きに、ヘルシンキ郊外にある彼女の自宅に伺い、お話を聞いてきました。

ーまずこの仕事が来たきっかけはなんだったのでしょうか?

本当に突然の連絡でした。CM制作を手がけている監督が「テキスタイル」をテーマで進めたいということで、何名かが候補になり、私に決めて頂きました。制作の時間がとてもタイトでしたが、これはチャンスだと思い、引き受けることにしました。

|テーマが与えられてからは、ひたすらに描く

LifTe 北欧の暮らし 島塚絵里 自宅 稲垣五郎 香取慎吾 オールフリーCM

ー最初に与えられたテーマはどのようなものでしたか?

テーマは、「丸と三角でモチーフ化したい。図形っぽくなっても良いし、そうでなくても良い。オールフリーテイストのアロハを作りたい」というものでした。

ーなるほど。そこからどのようにデザインに着手して行ったのでしょうか?

とにかく描きました(笑)。丸と三角をひたすらに。その時描いたラフはこれです。

ー確かにこれは「ひたすら」という表現がピッタリくる程の量ですね。描く際にイメージしたものはありますか?

イメージしたのは、お2人の柄が一緒だと子供っぽくなるから違う柄、そしてオールフリーの白と青でした。あとは、青の水彩を中心にそのイメージに従ってどんどん描いて行きました。

ーラフを作った後の行程はどのようになるのでしょうか?

ラフを提出し、その後監督から修正の依頼を頂いて、それを反映してお戻しする。それを数回繰り返して決定しました。

|この仕事を通じて気づいた「手描きの強み」

LifTe 北欧の暮らし 島塚絵里 自宅 香取慎吾 稲垣五郎 オールフリーCM

ーその第1弾を皮切りに、第2弾のCMで使用されたテントには1回目で使用された大きな丸が描かれ、今年の2月に放映された第3弾では、お2人が纏う羽織に島塚さんがデザインした格子、波模様が採用されています

監督に評価して頂けて、本当に嬉しかったです。このプロジェクトはとても貴重な体験でした。

ー「貴重な体験」とは、どういったことでしょうか?

いつもは時間をかけて行う作業が多いのですが、今回は時間との勝負だったので違う脳を使った気がします(笑)。日頃は持久力だけど今回は瞬発力を発揮しました。あと今回、監督にこだわりがあった分色々な線を描きました。何回書いても同じ線には決してならないのですが、そこが手書きで表現する私の強みなんだと気づくことができたのは貴重だったと思っています。

|自分らしいスタイルで描く重要性

LifTe 北欧の暮らし 島塚絵里 自宅 インタビュー

ーそれにしても、こんなに大量のラフスケッチはどのように描くのですか?

床に座って描きました(笑)。座って描くと、大きな動きもつけられますし、立ち上がれば遠くから見ることもできるし、こういったラフスケッチを描く際にとても便利なんです(笑)。

ーそう言われると合理的ですが、まさか床に座って描かれているとは想像もつきませんでした

実は私が尊敬するマリメッコの伝説的デザイナー、マイヤ・イソラさんもそうやって描いていました。この本にもその様子が掲載されています。

LifTe 北欧の暮らし 島塚絵里 自宅 マイヤ・イソラ

ーまさかマイヤ・イソラさんのお話に触れるとは思ってもいませんでした。本当に今回は貴重なラフデザインから、興味深いお話ありがとうございました。

|インタビューを終えて

島塚さんは、柔らかい空気をまといながら終始にこやかに今回携わったCM制作の裏側を話してくれました。自分が合ったスタイルを崩さずに新しいデザインを生み出し、前向きに進み続ける島塚さんは、また新しい驚きを私たちに与えてくれるはずです。

|島塚絵里プロフィール

LifTe 北欧の暮らし 島塚絵里 自宅 ラフデザイン
ヘルシンキ在中のテキスタイルデザイナー。13歳の夏にフィンランドにホームステイして以来、すっかりフィンランドの人や自然に魅了され、27歳の時に移住する。津田塾大学学芸部国際関係学科卒業後、東京や沖縄で英語教員を務める。2007年にフィンランドに渡り、2008年よりヘルシンキ芸術大学(現・アールト大学)にてテキスタイルアートを学ぶ。2010年よりマリメッコ社アートワークスタジオにてデザイナーとして勤務。現在はプリントデザインの他、イラスト、執筆、コーディネート、翻訳の仕事にも携わっている。

|雑誌「LifTe 北欧の暮らし」vol.01では、島塚絵里さんのインタビューも掲載!

幅広く活躍をする島塚絵里さんのインタビューを、雑誌「LifTe 北欧の暮らし」vol.01で掲載しています!島塚さんがフィンランドへ渡った理由、マリメッコでの仕事の仕方などに触れた記事は、フィンランドのテキスタイルデザインに関心がある方にはオススメの内容です♪

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